第2話「リベリオン」part-A
壁紙もなく、混凝土の壁がむき出しになっている質素な部屋。窓は夜のせいで黒く塗りつぶされており、外に何があるのかははっきりとは見えない。
白い机と、何も書かれていないホワイトボード。そしてパイプ椅子が二つ――そのどちらにも、人が座っている。片方は、眼鏡をかけた茶髪と黒目を持つ白衣の青年。もう片方は、不機嫌そうな顔で両手足を縄で縛られているシオンである。二人は向かい合って互いの目を見ていた。その傍で、長い金髪に青く鋭い目つきの女性が腕を組んで壁にもたれかかっていた。
彼らは今、千葉にある反連合組織プレイス・日本支部基地内のある一室にいるのだ。
(ここが、プレイスの基地……?)
シオンは怪訝そうな顔で室内をちらちらと見、誰かが発言しないかを待っていた。
先程、彼はここに来て早々に兵士と思しき者達に取り押さえられてここに連れて来られ、手足の自由を奪われた。もちろん、警戒心を働かせる彼としては暴れる気など一切ない。
(当然と言えば当然の扱いなんだだろうけど……)
そうは思えど、誰も何も言わないのではこの状態も改善されない。「何か言え」と先程から眼鏡の青年に視線で訴えかけるも、口の端を釣り上げて馬鹿にするような笑みを浮かべるばかりだった。
ふと、その視線を金髪の女性に向けると、特に何か感情が表情に出ている、という風ではなかった。彼女もシオンと同じく、誰かの発言を待っているのだろう。
(いつまでこのままなんだ……!?)
シオンはついにこの状況に耐えがたくなって、顔が引きつり始めた。それを見た眼鏡の青年は、口の端をさらに釣り上げる。
そしてようやく、口を開いた。
「いや、すまんな。お前が本当に市民か、それを見させてもらっていた」
「……今のでわかるんですか?」
「ああ、敬語はいい。ここの連中はお前とそう歳の離れた奴はいないからな」
「はあ……そう、か」
違和感を感じつつも、シオンは言われた通りに口調を変える。
「素直なのは良いことだ。で、今の質問だが……まあ、大体はな。仮に連合のスパイか何かなら、ダンマリ決め込んでも表情を変えることはない。しかし普通の人間なら我慢できずに顔を引きつらせる、もしくはよそ見をする。
また、スパイの類ならばこの部屋に入って来た時点で何か罠が無いか、同時に緊急時の逃走ルートやそれを手伝う道具が無いかを探すために目がギョロギョロと動く。座ってから目が動くことはそうない」
「……全部見られてた、のか」
「そりゃあ一般人でも知らない部屋に来ればどんな部屋かを見るためにざっと見るくらいはするだろうさ。だが、あくまで『ざっと』。その上で何か見つかれば……って感じだろうよ。ま、要は目の動き様だ。お前の目ン玉はさほど動いちゃいなかった」
「つまり、俺の疑いは晴れたのか?」
「可能性は低くなった、って程度だな。何せ市民はあんなモノ持っちゃいない」
(まあ、そりゃそうか……)
それに関して、シオンは何とも言えない。そう言われて当然だからだ。が、しかし理不尽にも似たモノを感じてはいる。いや、理不尽と言うよりかは――不自然、だろうか。
それは今の状況の事ではなく、今の状況に至るまでの過程に、だ。
「お前はこの戦争のことをどれくらい知ってる?」
「ざっくりと、連合軍とプレイスが戦ってる、くらいしか。……いつも、あんなデカいロボット――エイグ、だったか。あんなものを使って戦争してたのか?」
「名前はあのエイグに聞いたか。ま、市民で、学生ともなればその程度の知識で当然か」
「……あの、俺の質問は?」
「ああ、すまん。まあ生身で戦うこともないわけじゃないが、9割方あのエイグだ。さて、少年」
「……シオン・スレイドだ」
「――シオン。こう思ってるんじゃないか? 何故あんな巨大なモノが存在しているのか。そしてそれで戦闘を繰り返して、市民はその存在を一切知らないのか」
「まあ、そりゃ」
先程から自分の思考を全て見透かしたような口調で話す青年に、シオンは完全にペースを取られていた。だが下手に発言して会話を止める必要もないため、そのペースに合わせることにした。
「簡単に言ってしまえば、情報統制だ」
「……それだけでなんとかなるものなのか?」
「俺達がテロ組織だという事を忘れていないか? お前らは知らんだろうが、実際には政府と汚い交渉ばっかりしてるんだぞ?」
つまり、それすらも情報統制ということらしい。シオンは騙されたような不快な気分になり、歯軋りした。
「――なんてな」
「は?」
何が何だか分からなくなり、シオンの口から咄嗟に出たのは素っ頓狂な言葉だった。
「まあ、交渉をしてるのは確かだ。こっちも物資が無限、ってわけじゃないからな。だがこの日本という国は第二次世界大戦以降から平和主義で通している。歴史の授業なんかじゃなくても知ってるんじゃないか?」
「……一応は」
「ま、その辺を利用したんだよ。戦闘拒否の為の国連からの脱退――それに伴った外国との繋がりが絶たれれば、ほぼ孤立して崩壊一直線の島国だからな」
「脱退しただけで孤立するのか?」
今まで考えたことのなかった日本の実態を聞かされ、シオンは目を丸くした。輸入に頼る面が多いとは聞いていたが、そこまでだとは思っていなかったのだ。
「世界を股に掛ける大規模テロ組織が相手。ならば世界の治安維持を掲げる国連は総力を以てこれを鎮圧しなくてはならない。だったら憲法を塗り替えてでも戦争への参加を強いるのは目に見える」
「でも実際の国連は、そんなことはしてないんだろう?」
「その通り、むしろ向こう様がテロ組織みたいなもんだ。そういうわけで、俺達が日本を占拠という名目で国連から解放したんだよ。日本からしてみれば、俺達は願ってもない存在だったってわけだ。他にも解放した国はあるから、そことのパイプは維持される。俺達もいるしな」
「でも、武装組織なんだろ。平和主義の日本が戦争してていいのかよ」
「戦争してるのはあくまで俺達だ。日本は裏で俺達に協力してくれているだけ」
「つまり……日本はプレイスに占拠されてると思われてるだけ、ってことか。となると、日本は自由に動かせる戦力を手にしたことにならないか?」
シオンがふと思った問いをそのまま口にすると、青年は鼻を鳴らし、笑みをこぼした。
「やろうと思えばできるが、あの馬鹿真面目の日本だぞ? きっちり憲法守って平和主義を主張してるさ。俺達は俺達で自由にやらせてもらっているがな」
「……テロ組織に手を貸してる時点で馬鹿真面目も何もないと思うけど?」
「戦争も大人も汚いもんさ。敵にバレなきゃいい。大人ってのは人間の欲が出やすい生き物だと思うが、俺は」
「そうかい……」
生憎とそれに対抗できる意見を持っていなかったシオンは、青年の言葉を受け流す。そこから呆れの溜息を吐くと、あることに気付き、はっと顔を上げる。
だが彼が言葉を発するよりも早く、今まで黙っていた金髪の女性が壁から身を離して口を開いた。
「さて、ここまで聞いて、私達がお前を洗脳しているように聞こえたか?」
「その声……あんた、さっきの!」
「レイアだ」
女性――レイアから発せられた凛とした声は、シオンが先程学校の校庭で赤紫のエイグから聞いた声と同じだった。
つまり、彼女はあのエイグの搭乗者だということ。それを理解するのに、時間はそう多くを要さなかった。
「私からも聞きたいことはあるが、ひとまず質問に答えてもらおうか?」
「……テロ組織だということを踏まえると、その可能性も否定できない。だが御存じの通り、俺にはアテがない。お前らを信じるほかない」
「お前の現状はいい。お前の意志を、YESかNOで答えろ」
レイアに強く言われ、シオンは喉が締まったような感覚に陥り、言葉が出なかった。だが落ち着いて思考を整理し、その鋭い目に反抗するような瞳で彼女を見据えた。
その僅かな間で、彼女はその目を見て何かに気付いたように、眉を微かに動かした。
「NO」
「……そうか」
「そんな怖い顔したら、誰もYESなんて言えねえだろ……」
呆れた口調で青年がレイアに言うが、当の彼女は特に反応を示さない。慣れているのか、青年の方も溜息を吐くだけだ。
シオンは二人の無言の会話を無視して、発言する。
「正直疑いが晴れないところもある。けど、それがあるからと言って俺はどうすることもできない。それに、その原因は俺が何も知らないからだ。だから俺はあんたらを信じたい。信じて、世界を知りたい」
「子供にしちゃ、少しは言うじゃねえか。だがいいのか? テロ組織に入るってことは今までの生活を失うことを意味するんだぞ」
「それなら、あのエイグに乗る時に捨てた。家族もいないし、学校では人種差別を受ける。おまけに訳の分からない呪いを――っと、これはいいか」
「呪い?」
流れで思わず出た言葉に、青年が眉を顰めて反応した。
シオンはばつが悪そうに頭を掻いてから、「まあいいか」と話を始めた。
「――――はっ」
気合でも込めるかのようにシオンが息を僅かに吐くと、机の上に光る粒子が収束し、ヒトなら一度は見たことがあるだろう果実の形を取り始めた。その輪郭が固定すると、次に底から鮮やかな赤が色づいてゆく。それが全てを塗りつくすと、そこに林檎が出現した。
それを見て、青年だけでなくレイアもほう、と感嘆の息を漏らした。
「ヒュレプレイヤーか、お前」
「ひゅれ……なんだ、それ?」
聞き覚えのない言葉に、シオンは首を傾げた。ただ、あの光の粒を収束させてモノを作る能力を持つ存在か何かを指す言葉だということはすぐに分かった。
「ざっくり言うと、想像を実体化させる能力を持つ人間だ」
「想像を……実体化?」
確認するようにシオンが言うと、青年は「そう」と首肯した。
シオンは今までにそういった現象を起こすことのできる機械を開発しているだとか、そういう噂を聞いたことはあれど、人間がその能力を有しているとは聞いたことが無かった。
「詳しいコトは俺もよく知らんが、まあ、政府の奴隷になるって意味じゃ呪いで違いないな」
「奴隷って、どういうことだ……!?」
「意味そのままだ。お前は今林檎を出したが、その気になれば鉄塊や木材を腐るほど出すことも可能だ。さっきも言ったがこの国は多少汚くても人権はあるからな、奴隷にしたりはしないが……そいつら集めて資源を確保してる国もちょいちょいある」
「……確かに、呪いか」
「まあ、使い方次第だ。なるほど、プレイヤーか……レイア、どうだ?」
「エイグ乗りのプレイヤーは貴重だ、是非とも戦力に加えたいが……そうだな、まず戦えるか、そして戦う理由があれば聞かせてくれ。戦意のないヤツを無理に戦場に出しても仕方ない」
「戦えるのは、戦えるけど……」(理由、か)
さすがに、神を殺す、なんて言えはしない。彼にも人並みの常識は備わっている。そんなことを言えば指を差して笑われるのは必至だからだ。
だが、皆を守る、などという青臭く、中身・現実味のない理由でも同じだ。
「……戦争を終わらせる。それで、前よりマシな生活が送れればいい」
「ま、単純でいいな。じゃあ俺からもう二つ。まず一つ、死ぬ覚悟は?」
「死んでも問題ない。それに、死ぬ気はない」
「威勢がいいのは結構だ。じゃあもう一つ、俺達がお前を騙していたとした場合、どうする?」
「一人でも終戦目指して戦うさ」
「青いな」
「そりゃあ、まだ15だし」
「口も減らない」
フッ、とまた笑みをこぼし、青年は席を立った。
そして眼鏡の真ん中を押し上げて、シオンを鋭いまなざしで見下ろした。
「おまけでもう一つ、最終確認。世界を敵に、最後まで俺達と戦えるか?」
先程とは調子が違いシオンは少し戸惑ったが、にやりと笑い、その目を睨みつけた。
「縄を解いてくれたらな」
◆
話を終えて解放されたシオンは、前にいる二人と共に整った雰囲気の廊下を歩いていた。どこへ行くとも知れず。
「なあ、俺は今どこに向かってるんだ? ええと……」
青年の名前を知らないシオンは、言葉が続かず戸惑った。
それに対し、青年は自嘲気味に笑った。
「アーキスタ・ライルフィードだ。長いだろ?」
「だから皆、ラルと呼ぶ。慣れない者はアーキスタと呼ぶが」
二人とも背を向けたまま、シオンに言う。
彼は少し考えるようにして、彼の名を発音した。
「じゃあ、アーキスタ」
「あえて長い方を選んだか、まあいい……それで質問の答えだが、居住区だよ。この基地は大学とその周辺の施設を改装して作ったモノだからな、あんまり実感がないと思うが。ちなみにここは居住区への連絡通路だ。他の移動手段も無いわけじゃないが、とりあえず慣れてくれ」
「……了解」
「そう固くなる必要はない。ラルの言う『慣れろ』には、ここの雰囲気もそうだが、境遇にも、という意味も含まれている」
「なるべく早く慣れるよう、頑張るよ」
「そうしてくれると助かる」
疲れたように溜息を吐くレイア。
人知れない気苦労があるのかもしれない、少し言葉を選んでから発言すべきだろう。シオンはそう心に決めた。
「部屋割りとか隊員章とか、色々あるがひとまず仲間との顔合わせが必要だろうな。そういうわけで今起きてる奴を呼び出ししてみた」
「こんな時間に呼び出しって……結構、自由なんだな」
「戦闘時以外は基本的に自由行動だな。ただ、いつでも戦えるようにはしてある」
(テロ組織ってそんなに自由なのか……?)
自分の持っていた知識とは違い、シオンは内心驚いていた。もっと、ずっと訓練だとか作戦の考案だとか、いかにも軍隊のしそうなことをしているモノだと思っていた。
「ところで、シオン。お前がただの市民なのはもう分かったからいいんだが、あのエイグはどこで入手した?」
「どこで、って言われても……正直、よく分かってない」
「よく分かってない、ってのはおかしいだろうよ。突然そこに現れるようなシロモノじゃないんだぞ、エイグは」
(と言われても、本当にそうだとしか……)
「私達も子供ではない。それで納得するとでも?」
若干のトゲと共に言及されるが、シオンは顎に手を当てて唸るしかできない。
「……それなら、あのシエラって子に聞いてくれよ。流石に仲間の言葉なら信じるだろ」
「シエラ、か……いや、仲間だからとは言え限度はあるだろ」
(だろうな……)
三人でそう話していると、廊下の雰囲気とは違う、西洋の城にでもありそうな大きめの扉が彼らを阻んだ。
「この先が、居住区?」
「そう。なんとなくわかるだろうが――」
言いながら、アーキスタは扉を片手で開ける。するとシオンはその先に、赤い絨毯によく分からない模様の壁紙……と、やたらと豪華な装いのロビーがあるのが見えた。それに縁のないシオンでも見ただけで分かる。
「ここは、ホテルだ」
「……なんでこんな、勝手に使ってるんだ?」
「ドロップ・スターズの被害に遭った施設を利用してるだけだからな。国の許可も得てる」
(それで、世間からは勝手に修繕したとしか思われてない、ってことか……)
つくづく上手く隙を突いたな、とシオンは呆れと共に感心しつつ、ホテルの中に入る。そしてその凄さを部屋中見回していると、「こんばんは」という落ち着いた声がかかってきた。
見ると、橙色のセミロングヘアに静かな青色の瞳を持つ大人しそうな少女と、深い青色のショートヘアに紅い瞳を持つ少年がいた。
「ミュウは?」
「仮眠中だってさ。んでんで、そっちが例のエイグパイロット?」
「そうだ」
アーキスタの言うミュウのことなどどうでもいいのか、少年は無邪気な笑顔でシオンの方を向いた。当の彼はと言うと、困惑していた。
明らかに、彼より年下に見えたからだ。
「……何歳?」
名前を聞くよりも先に、彼の口からそんな問いが漏れた。
「ボク? 13歳だよん!」
「へ」
「シオン……勘違いの無いように言っておくが、その少女――アヴィナ・ラフは自分の意志でここに身を置いている。先程も言ったが、戦意のないヤツを戦場に出す気はないからな」
「戦意……って、この子もエイグに乗ってるのか!? ……てか、女ッ!?」
衝撃的過ぎて声量を抑えられていないシオン。騙されている気しかしていなかった。目の前にいる少年――いや少女は、どう見ても年相応の男のする格好だったからだ。
何よりも、戦場に出る人間にはとても見えなかったのだ。
「やははー、おにーさん騙されたね。改めまして、ボクはアヴィナ・ラフ! 目には自信あるよん。何はともあれこれからよろしくだよー!」
少年のような少女――アヴィナは元気に一気に言い、一方的にシオンの手を取ってぶんぶんと上下させた。
子供特有な有り余る元気に、シオンは完全に調子を乱されていた。
「それで、こっちがシエラ・リーゲンス。そこにいるレイアの妹で、お前が最初に会ったヤツだ」
「あ、ど、どうも……」
「あ、うん」
緊張した様子で頭を下げられ、シオンもそれを見て頭を下げる。
シエラ、という名前から学校でのことを思い出すが、どうもイメージと違う。
「シエラ、って……こんな大人しいのか?」
「人見知りなんだ、こいつは。それでも私の妹か」
「お姉ちゃんと一緒にしないで……」
呆れと怒りが混ざった声色と、それに動じないところを見るに、姉妹らしさが出ている。シオンは何となく、そう思った。
「というわけで、近いうちにでもコイツが戦線に入る。シエラの開けた穴の代わりになるかは、まだ分からんが」
「そんな。私、戦えるよ!」
「肩。損傷をしたと聞いた。たかが肩に一撃、と侮るな。修理が終わるまで留守番だ」
姉に言われ、妹は押し黙る。やはりその上下関係は崩せないらしい。
「まあ、顔合わせはこんなモンでいいだろ。とりあえずシオン、お前に部屋鍵と――」
と、アーキスタが場を収めようとした時。
シオン以外の四人から、それぞれ同じ、けたましい警告音が鳴った。
「な、なんだ!?」
「落ち着け、敵接近のアラームだよ。アヴィナは『シアス』の整備具合と相談しとけ、レイア、お前はさっさと行け。シエラは自室待機。いいな」
「了解だ」「了解です」「りょーかーいっ」
各々に指示を出し、皆それに従い行動を始める。その素早さと素直さに、シオンはアーキスタが何者なのかと思わずにはいられなかった。
そしてその問いを見抜いたように、アーキスタはシオンの方を向いてにやりと笑った。
「突然で悪いが、場合によってはお前も出撃だ。いいな?」
「そ、それはいいけど。お前、何者なんだ?」
待ってましたと言わんばかりに、アーキスタは口の端を釣り上げた。
「反連合組織プレイス日本支部司令、アーキスタ・ライルフィードだ。今後ともよろしく頼むぜ」
「え……はぁぁ!?」
シオンのこの叫びを聞いたのは、この状況を想定していたであろうレイアだけだった。
この叫びで飛び起きた者も少なからずいたと、彼は後で知ることになる。