プロローグ
はじめにこれだけは言っておこう。
この物語には決して幸せなことなど起こらない。
起こるのは人々を混乱させ、不幸にさせることばかりだ。幸せだと思っていたものもいずれ豹変しその期待を裏切るのだ。幸せなんてそんなものだ。求めるに足らない、手に入れるだけ無駄なのだ。
あの男はそれに気づいていた。幸せであることがどれだけ無価値であるか。だがそのことに目をそむけていた。それが彼にできる精一杯の世界への抵抗。彼にしかできない精一杯の過去への反省。
幸せなんていらない。そんな贅沢は言わない。幸せのつぼみはいずれ不幸の花を咲かせてしまう。そして、いずれ絶望の果実をそこから実らせる。幸福が幸福のままでいられるわけがない。
ただ、それでも彼のほんの小さな願いを聞いてほしい。
「世界に絶望しないでくれ」
おそらくこんなくだらない願いしか彼には持つことを許されないだろう。世界は決して彼を許さず、ただでたらめに彼の運命をねじ曲げる。
でも、それでいい。それでいいから、願いを諦めたくないから、あの男はどこまでも不幸に落ちていった。
今は何もできないとしても、体を動かすことすらもできなくても、悲愁の涙で目の前が見えなくても、そこにいてくれる限り夢を捨てないでくれ……
この物語は過去を清算することができず、過去の自分がいた世界に絶望してしまった男と、未来に明るい夢や希望を持ち、あるいは自分の過去を完全に消し去りたいと願う少女たちが、激動の運命の渦のなかで共鳴し、そして「無」という名の終着点に辿り着くただの不幸な日常の物語。
彼らが目の前にある迷妄を打ち破ろうとするありふれたもしかしたら語るまでもないエピソードなのである。
愉快な日常にある見えない落とし穴に落ちる勇気を君は持てるだろうか――。
初投稿緊張MAX
汗が止まらないですw(冬なのに、、、)
いつみても中二臭いですねw
これからも自分は楽しく書かせていただく予定です。