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誘われし狐  作者: こう茶
22/44

壱拾九巻

スキルが多くなってきたので、色々とまとめて一つのスキルとしました。

別の話でも随時改訂いたしますのでご了承ください。


例1)【早治術】【軽身術】【鬼動術きどうじゅつ】【硬化術】【即神術】

改定後【身体強化術/早/速/力/硬/神】


例2)【火属性魔法・初級】【火属性魔法・中級】

改訂後【火属性魔法・中級】

 狩猟・採取・雑務依頼を繰り返して一ヶ月が過ぎた。

 その間に俺たちはレベルを上げ、装備も整えることが出来た。



 ステータスは上がり、新しいスキルも手に入れた。そして、身体も大きくなった。おかげで目の前の扉、組合に入るのにも屈まなければならなくなった。存在進化ランクアップした時に妙なアナウンスが流れたが、嫌な予感しかしなかった。様々な依頼をこなして、早く忘れたい。

 今日は組合の途中で会った時宗も一緒だ。時宗は組合に依頼を頼もうと来たらしい。ちなみに依頼は毒消草どくけしそうという薬草を採ってきて欲しいというものだった。狩猟依頼を受けるついでに、一緒に受けてしまおうかと思う。


「ん? 何か騒がしいね」

 時宗の声に誘われて、組合の奥を見る。そこには見知った顔の人物たちがいた。


「嫌よ! 何で私がこんな事しなくちゃいけないのよ!」

「いい、寧々? 今まで貴方が他人様ひとさまにどれだけ迷惑をかけてきたかを分かってないからよ。言っても分からないでしょうから、迷惑をかけてきた当事者、狩猟者になって考えなさい! 分かるまで家に入れません!」


 寧々とよど――養成所の中で会った時には名前を聞くことが出来なかったが、この一ヶ月の間に仲良くなり聞いた養成所の院長だ――の雪女の母娘だ。どちらも整った容姿をしているため、組合中の視線を集めているが近づいたり、母娘喧嘩を止める者はいない。二人の怒りに比例して、室温が下がり彼女たちの周囲は凍りつき始めているのだから仕方ないだろう。

「よし、一旦帰ろう」

 俺は即座に決断する。淀は問題ない。顔を合わせればにこやかに応対し、手土産もくれることもあった。非常に仲は友好的と見て間違いない。

 だが、問題なのは寧々だ。気軽に名前を呼びあえるように仲良くなったのは良いが、事ある度に依頼を出し、依頼条件を上手く使い、俺たちを指名してくる。行ったら行ったで、凍りついた部屋の中で作業させられる。俺は大丈夫なのだが、鈴はいつも震えている。流石に気の毒だと思い、凍りつかせるのを止めるように言うが適温だから問題ないといって決して止めようとしない。それでいて、チラリと盗み見ると口元を隠してはいたが笑っていた。俺がこっそり魔法を使って鈴を温めなければ、風邪を引いていただろう。

 だから、当事者イコール狩猟者というのも分かる。つまり俺たちの事だ。とは言ってもはい、そうですかと寧々が頷くはずもない。でなければ何度も俺たちにちょっかいをかける事はない。


 バタンッ!


 そうこうしている間に淀は寧々を残し、出ていってしまった。余程怒っていたのだろう。俺たちに気づくことなく出ていってしまった。この場合は巻き込まれなくて嬉しいという気持ちが先行した。


「じゃあ、適当なところで出て行って期を改めてくるか、今日は依頼を受けるのを止めるという事で」

 鈴は凄い勢いで頷いている。余程寧々と関わりあいたくないと見える。寧々の悪戯で一番被害を受けるのは鈴だから仕方ないが。

 そう言って潜んでいたが、この場で一番体が大きく、真っ白で目立つ姿をしている俺が寧々から逃げれるはずもなかった。


「あ! 貴方たち!」


 寧々の高く澄んだ声は組合中に響いた。先ほどまで行われていた喧嘩のおかげで静かになっていた組合ならば尚更だ。寧々に向けられていた視線が一斉にこっちに向けられた。


「やべ、逃げ――」


 体を翻した瞬間だった。俺たちと寧々の間に一直線に凍りつき、組合の扉も同様に凍っている。


「じゃじゃ馬姫どういう事だよ?」

 怒りをぶつけるかのように床の氷が強く踏み込まれて、ひび割れている。頭のかんざしと白い着物には桜の花が模られている。寧々を水色の薄い膜が覆っている。どうやら黙って見ていた事が寧々の気に障ったようだ。その怜悧な美貌が彼女の怒りを引き立てた。

「へえ、そんな口きけるんだ? どうせ貴方たちの事だから隅の方からずっと見てたんでしょうけどね!」

 黙っていれば十人いれば十人が振り向くような美貌の持ち主なのに残念だ。今の寧々からはとても視線を背けたくなる様な迫力があった。だが、そうしてしまえば負けてしまうような気がした。

「まあな。けど、淀さんがああ言うのも仕方ないだろ。お前に非があるわけだしな」

 そう俺たちはこの一ヶ月間で気軽に名前を呼び合えるほど仲良くなっていた。慣れてきたのか、何なのか事あるごとに依頼の条件を上手く使い俺たちに受けさせるようにしてきたからだ。必然的に顔を合わせる機会は多くなる。しかも、依頼は普通のものではなかった。極寒の中作業させられたり、床が凍りつき滑り易い中荷物運びをさせられたりだ。時には遠くに行きたいから背中に乗せろというのもあった。前二つは俺は厚い毛皮に覆われているから良いが、鈴はそうはいかなかった。見かねた俺と鈴が凍らせるのを止めるように言っても適温だと言って聞かなかった。俺が魔法でこっそり鈴を温めなければ鈴は凍りついていたかもしれない。

 そのせいで鈴は寧々に対し、敵対心と苦手意識を持ってしまったようだ。俺も鈴と差はあれど苦手だ。だが、このじゃじゃ馬姫は違うようでからかってくる。それも楽しみながらだ。しかし、良い事もあった。淀だ。淀は寧々が迷惑をかけている事を知ってか知らずか、俺たちには良くしてくれる事が多くなった。顔を見るとお菓子をくれたり、色々と役に立つ物をくれたりと寧々と淀に対する評価は反比例していった。

「ふうん。貴方たちは母様の味方なんだ。そうなんだ」

 顔はにこやかだが、声は冷たい。鋭い射抜くような視線に耐えられそうもない。鈴は俺の後ろに隠れているし……そして、俺は時宗の方を見てしまった。これが事の発端だった。

「あ! と、時宗様!? どうしてこちらに?」

 今頃になって気づいたようだ。しかし、この差は何なのだろうか。釈然としないが理由は簡単に察する事が出来る。しかし、時宗に意識が向いたおかげで室内の氷は急速に溶け始める。凍らないように必死に抵抗していた者たちから時宗は英雄を見るような目が向けられる。すると、即座に水浸しになった部屋と依頼書の処理に取りかかる。見事なまでの職人芸だ。

 寧々は頬を赤らめ、瞳を潤ませ、時宗の手を握る。驚くほど鮮やかな手際である。この様子を見れば分かるが、寧々は時宗を好いている。前から気付いていたので、時宗はどう思っているか聞いたところ曰く、「僕は皆が好きだ。だから、彼女だけを愛する事は出来ないよ」だそうだ。

「あ、ああ。そこで小次郎たちと会ってね。一緒に依頼――」

 その言葉に目を輝かせながら、くい気味で問う。

「奇遇ですね! 私、今から依頼を受けるところでしたの。しかし、女一人では些か不安で仕方ありませんでした。そこで相談なのですが是非ともご一緒して下さらないでしょうか?」

 寧々は笑顔だったり、しおらしい態度を取ったりとその表情を目まぐるしく変えていく。対する時宗は苦笑い一択である。恋は人を盲目にするというが、見えてなくちゃいけないものまで見えなくするとは都合のいいものだ。

「ええと。僕は……」

 それが演技だと分かっていてもそう頼まれてしまうと断れないのが時宗だ。困ったような表情を浮かべて隙を見て此方をちらりと見る。

 俺が時宗を巻き込んでしまったようなものだし、助け出すほかにあるまい。


『グルラアァァ!』


 【咆哮・衝】を使い、寧々の注意をこちらに向けさせ、寧々が時宗に対して渋らないようにと脅しのため、凍りつかせ始めていたので衝撃波で振り払った。

「うるさい! 何してくれんのよ、この馬鹿狐!」

 邪魔をされて頭に血が上っているようだ。

「何を言ってるんだ? あと少しで時宗を氷漬けにするところだったんだぞ」

「え? 時宗様本当ですか?」

 その問いに時宗は曖昧な笑みを浮かべて答えた。寧々はとても驚いた表情をしている。この事から凍らせようとしていたのは気付かずにやってしまっていた事なのかもしれない。

「時宗様申し訳ありません!」

 必死になって頭を下げる寧々を見ながら、これ見よがしに時宗はこちらを見て口だけを動かす。「どうしようか?」と。

 そう俺も時宗も知っているのだ。謝るのが終われば、このお嬢様は時宗と一緒に依頼を受けようと言いだす事を。幸いというか不幸というか鈴を除いた俺らは皆位階が四位以上。つまり、一緒に依頼を受けようと思えば可能なのだ。それは寧々も気づいているだろう。ならば、少しで楽、ゴホン、有利な条件で進めないと。そうするにはこっちが主導権を握らないとな。

「なあ、寧々。お前は一歩間違えれば時宗を殺してしまうところだった。これはいいな?」

 しゅんとした様子で頷く。そんな風にされていると俺が悪者に見えるから不思議だ。組合に居る者の中でも騙されてこっちを非難するような目を向ける者も多い。そいつらに言いたいのはお前らは騙されてるぞだ。寧々の本当の恐ろしさは殺されかけないと伝わらないようだ。

「じゃあ、二人だと危ないから俺たち・・・も一緒に依頼を受けるぞ」

「分かったわ」

 寧々が渋々頷く一方で異なる反応を示しているのは二足歩行する猫、鈴だ。鈴は全身の毛を逆立て冗談ではないと主張する。だが、俺が諦めるように首を横に振ると、何やら考え始めた。

「そうにゃ! 鈴は位階が離れすぎているから一緒には受けれないにゃ。残念だにゃあ」

 驚くほど見事な棒読みだ。それを言うと我先に帰っていった。

「……まあ、いっか。事実だし」

 確かにあの言い訳は一理あるのだ。俺には【成長促進】のスキルがあるため、どうしてもレベルの上がり具合には差が出てしまい組合の位階差は二位以内までという規定に違反してしまうのだ。だから、最近はこっそり後から鈴が付いて来て、こっそり一緒に依頼を受けるというあまり褒められた事ではない事をしていたからだ。しかし、いつも考える事をほとんどしない鈴がとっさに思いついた言い訳にしては上出来だった。やはり、危機感が為せる技なのだろう。

「じゃあ、俺が受ける依頼は決めるぞ」

 そう言ってちょうど良いのを選ぶ。とりあえず時宗の依頼は決まりでもう一つ一緒に受けてみたいところだ。それなりに経験値が稼げそうなものが良い。迷っていると頭の中に文字が浮かび上がった。


『クエスト:白蛇はくじゃを倒せ!』


 このアナウンスを見た時、俺の脳裏に存在進化の時の期待感と嫌な予感が蘇った。

 とは言ってもこの能力は神が俺に充実した生活を送れるようにと与えてくれたものであるからして、大事には至らないだろうとふむ。

「ん、これにしよう」

 狩猟依頼。もちろん、白蛇が狩猟対象となっているものだ。報酬もそこそこだし、白蛇なら薬草のある草原に生息していて、何度か倒した事もある。一緒に受けるにはちょうどいいだろう。

 すぐに受けようと寧々が言いだしたが、幸いにもどちらの依頼も期限には時間があるため、万全を期して準備をしてからまた日を改めるという事で落ち着いた。

 そして、俺は掃除で忙しくしている組合員を手伝った。




巳年ですからね!

 名前:小次郎

 種族:五尾の大白狐びゃっこ

 位階:六位

 スキル:【魅惑の瞳】【魅了】【鋼毛】【迷彩】【操尾術自動化】【見切り】【身体強化術/早/速/力/硬/神】【咆哮・衝】【狐火】【伸縮術】【火属性魔法強化】【火属性魔法・上級】【成長促進】【災厄】【長寿】【狐神の寵愛】【??へと至る道】


 名前:鈴

 種族:三又の猫

 位階:三位

 スキル:【三連斬さんれんざん】【高速採取・剥ぎ取り】【操尾術】【見切り】【身体強化術・軽/神】【風属性魔法・初級】


 【咆哮・衝】

 大きな声を出し、周囲の者の注意をひきつける。体力を消費すればするほど声は大きくなり、よりその効果を上げる。また、使用時使用者の付近に衝撃波を追加することも出来る。


 【火属性魔法・上級】

 【火属性魔法・中級】の上位互換。魔力を消費して、中級の火属性の魔法を使うことができるようになる。使用の際に呪文が必要だが、適切なものでないと発動はしない。その際、魔法に関することを強くイメージをすると威力が上がる。





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