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その⑪ 真冬間近
今日は数日ぶりに暖かな日中だった。
屋根にからぶら下がったつららが溶け出して
あちこちで雨だれの妖精たちが
「ぴちょん、ぴちょ~ん」と合唱する声が聞こえる。
まるで晩冬のような日差し。
でも、僕の足元を縫い、時折白くて丸い物たちが
駆け抜けていくのを見ると
「やっぱり、もうすぐ冬なんだな」と思う。
雪だまの精霊蟲、僕命名「ころころ」。
何も無い雪原を風が駆け抜けると、
いつのまにかあちこちに雪だまが転がっているときがある。
それがこいつらが、風に押されて
回りの雪を巻き込みながら転がっていくからだ。
なぜこいつらが雪だまを作るのかは解らない。
けど、こいつらにも何か訳があるんだろう。
湖を見ると、そろそろ完全結氷しそうだ。
本格的な冬はもう間近まで迫っている。