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全裸で異世界落ちした俺の、今日も誤解される街暮らし 〜魔法少女見習いと亡霊パンツと牢屋生活〜  作者: 月影ポンコツ


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再会 言葉が、必要ない時間

鍵の音が、

短く鳴った。


扉が、

ゆっくり開く。



中は、

静かだった。


アキトは、

奥の椅子に座っている。


いつもより、

少し姿勢がいい。



エルミナは、

一歩だけ中に入る。


扉は、

閉まらない。



「……」


声が、

出ない。


出してはいけない気もした。



アキトが、

顔を上げる。


一瞬、

目が合う。


それだけで、

胸が詰まった。



「……久しぶり」


アキトが、

小さく言った。


声は、

いつもより低い。



「……はい」


エルミナも、

それだけ答える。



沈黙。


数秒。


でも、

長い。



「……元気そうですね」


エルミナは、

視線を逸らしたまま言う。


嘘だった。


分からなかった。



「まあ……

 生きてはいる」


アキトは、

肩をすくめる。


いつもの癖。


それを見て、

少しだけ安心した。



「……」


また、

言葉が途切れる。



エルミナは、

書類を取り出す。


仕事。


これが、

面会の理由。



「追加の……

 確認です」


紙が、

少し揺れた。



「うん」


アキトは、

素直に頷く。



沈黙の中で、

視線だけが交わる。



「……ご迷惑、

 かけました」


エルミナが、

小さく言った。



アキトは、

少し考えてから、

首を振る。


「俺のほうこそ」


それ以上、

言わない。




二人の間に、

言えなかった言葉が

静かに積もる。



「……戻ります」


エルミナが、

先に言った。


仕事だから。


そう、

自分に言い聞かせる。



アキトは、

立ち上がらない。


ただ、

少しだけ笑った。


「……またな」



「……はい」


それだけで、

十分だった。



扉が、

閉まる。


鍵が、

かかる。



エルミナは、

廊下を歩き出す。


振り返らない。



それでも。


胸の奥に、

確かに残った。


会えた、

という事実だけが。


今日の牢屋は言葉が少ない再会ほど、確かに“戻ってきた”と分かる。


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