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全裸で異世界落ちした俺の、今日も誤解される街暮らし 〜魔法少女見習いと亡霊パンツと牢屋生活〜  作者: 月影ポンコツ


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予定外の面会通知

夕方。


エルミナは、

詰所で書類をまとめていた。


いつも通りの時間。

いつも通りの作業。


の、はずだった。



「エルミナ」


隊長の声。


少し、

低い。


「はい!」


立ち上がる。



隊長は、

一枚の紙を差し出した。


「これだ」


「……?」


受け取る。



紙の上。


簡潔な文面。


《隔離対象・アキト

 予定外の面会許可》



一瞬、

意味が分からなかった。


「……面会、ですか?」


自分の声が、

少し遅れて聞こえる。



「正式な手続きだ」


隊長は、

淡々と言った。


「魔力測定の追加確認が出た。

 担当者立ち会いが必要だ」


「……私が、ですか」


「他に適任がいない」



胸が、

強く鳴る。



「これは例外だ」


隊長は続ける。


「君の判断ではない。

 命令だ」



命令。


その言葉で、

足が地についた。


逃げ道も、

言い訳もない。



「……承知しました」


深く、

頭を下げる。



紙を胸に抱えたまま、

廊下を歩く。


足音が、

やけに大きい。



(面会)


頭の中で、

何度も反芻する。


会える。


でも

会っていいのか。



牢屋区画の前で、

立ち止まった。


扉の向こう。


静かすぎる場所。



「……」


息を、

整える。


制服の襟を、

きちんと直す。



(私は、

 見習い)


(これは、

 仕事)


そう、

何度も言い聞かせる。



でも。


手が、

少し震えていた。



扉の前。


看守が、

鍵を確認している。


「準備はいいか?」


「……はい」


答えは、

少し遅れた。



鍵が、

鳴る。


その音が、

胸に響く。



エルミナは、

紙を握りしめた。


予定外。


想定外。


それでも、

確かに届いた。



面会通知。


それは、

誰の感情も聞かずに、

ただ、

現実だけを動かしていた。


会える理由は、いつだって感情より先に、紙の上に書かれている。

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