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全裸で異世界落ちした俺の、今日も誤解される街暮らし 〜魔法少女見習いと亡霊パンツと牢屋生活〜  作者: 月影ポンコツ


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エルミナ改善案即実行

反省は、実行と同時に消える


防音改修が中止になった、その直後。


「……というわけで、

 当面は現状維持だ」


ガルド隊長が言い切る。


エルミナ

「なるほど……」


真剣な顔。


アキト

(嫌な予感しかしない)


ラーデン

「その顔は、

 “聞いとらん”顔じゃな」


「分かりました!」


エルミナが、

勢いよく手を挙げた。


「私が改善します!」


「却下」


即答。


「大丈夫です!

 もう案はあります!」


「聞いてない」


エルミナ

「まず!

 夜うるさいのは

 声と足音と、あと……雰囲気です!」


アキト

「雰囲気?」


「なので

 全員で静かになる訓練をします!」


ラーデン

「意味が分からん」



第一改善案。


【ささやき生活】


「声は、

 このくらいです」


エルミナが、

耳元で囁く。


「……静かですよね?」


ドン!


隣の牢から、

怒号が飛ぶ。


「うるせぇ!!」


「え!?

 小声なのに!」


ラーデン

「小声は、

 遠くまで届くのじゃ」


アキト

「知らなかったの!?」



第二改善案。


【足音ゼロ作戦】


エルミナは、

全員にスリッパを配った。


「これで完璧です!」


ラーデン

「それ、魔導……」


バチッ


スリッパが起動。


床が、

ぷるぷる震えた。


「!?

 地面が柔らかいです!」


次の瞬間。


ぼよん!


アキトが、

天井に跳ね返る。


「なんで跳ねる!!」


ラーデン

「弾力増幅じゃ」



第三改善案。


【完全沈黙】


「最後はこれです!」


エルミナが、

封印札を貼る。


「喋れなくする魔法です!」


隊長

「待て!」


遅かった。


パァン!


札が燃え、

全員の口が塞がる。


「―――」


声が出ない。


アキト

(なにこれ!!)


ラーデン

(これはこれで面白いの)


そのとき。


『沈黙とは、

 もっとも響く音です、ご主人』


パンツの声。


口が塞がっているのに、聞こえる。


エルミナ

(あっ……)


隊長

「……解除しろ」


解除。


一瞬の静寂。


そして


「「「うるさい!!!」」」


全員同時に叫んだ。



数分後。


牢屋前。


ガルド隊長は、

床に座っていた。


「……改善案は、

 禁止だ」


エルミナ

「ええー!?

 でも三つも試しました!」


「三つもやったからだ」


ラーデン

「一つで十分じゃった」


アキト

「全部地獄でした」


エルミナは、

少しだけ反省した顔をして


「じゃあ次は、

 改善しない改善を考えます!」


「それが一番怖い」


隊長は、

壁に頭を預けた。


今日も牢屋は……改善されるたび、騒音が進化した。

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