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全裸で異世界落ちした俺の、今日も誤解される街暮らし 〜魔法少女見習いと亡霊パンツと牢屋生活〜  作者: 月影ポンコツ


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仮出所終了 → 牢屋帰還

夕方。


街の鐘が、

「本日の業務終了」を告げる音を鳴らした。


その音を聞いた瞬間、

ガルド隊長は即座に言った。


「……時間だ。

戻るぞ」


アキト

「早っ!

まだ鐘一回目だぞ!?」


隊長

「一回目で十分だ。

これ以上は街がもたん」


エルミナ

「でもアキトさん、

今日は静かでしたよね?」


隊長

「“音が出なかっただけ”だ」


ラーデン

「本質を突いておるな」


牢屋前。


見慣れた石壁、

見慣れた鉄扉、

見慣れた“帰ってきたな感”。


アキトは立ち止まった。


「……なあ。

俺、今日一応“善行”したよな?」


隊長

「ああ」


アキト

「誰も怪我してないし」


隊長

「ああ」


アキト

「じゃあなんで……」


隊長は鍵を取り出しながら、

淡々と言った。


「街で起きる問題の九割が、

お前の半径五メートルで解決するからだ」


アキト

「解決してるのに!?」


エルミナ

「すごいですアキトさん!

問題吸引体質!」


アキト

「嬉しくねぇ!!」


扉が開く。


ギィ。


中は、

妙に落ち着く空気だった。


ラーデンが一歩先に入る。


「ほれ。

我が家じゃ」


アキト

「言い方!」


エルミナは荷物を置き、

ほっと息を吐いた。


「……外より、

ここ静かですね」


隊長

「そりゃそうだ。

ここは“お前ら専用”だ」


アキト

「ひどくない?」


隊長は最後に、

アキトをじっと見る。


「……仮出所は終了だ」


一拍置いて、

低い声で続ける。


「だがな」


アキト

「……?」


隊長

「今日の件で分かった」


嫌な予感しかしない。


隊長

「お前は外に出すと危険だが、

使うと厄介で、

放っておくと街が困る」


アキト

「最悪の評価文!!」


隊長は背を向ける。


「当分、ここで大人しくしてろ。

……仕事の話は、また来る」


アキト

「来なくていい!!」


扉が閉まる。


ガチャン。


静寂。


数秒後。


アキト

「……なあ。

俺、外出た意味あった?」


ラーデン

「空が見えたじゃろ」


エルミナ

「市場も見ました!」


アキト

「牢屋からも見えるんだよなぁ……」


そのとき。


くすり。


どこからか、

聞き覚えのある声。


『おかえりなさい、ご主人』


アキト

「……」


エルミナ

「……」


ラーデン

「……やはりな」


アキトは天井を見上げた。


「……やっぱりここ、

落ち着かねぇわ」


今日も牢屋は……出て分かったが、最適解だった。

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