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全裸で異世界落ちした俺の、今日も誤解される街暮らし 〜魔法少女見習いと亡霊パンツと牢屋生活〜  作者: 月影ポンコツ


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新たな災難ーエルミナの魔法、暴発する

 パンツの呪いが解けた翌朝。


 俺、アキトは今日も牢屋の藁ベッドでしょんぼりしていた。


「なんで今日もここなんだよ……」


「昨日の“鐘楼ほぼ破壊事件”のせいだよ」


 衛兵がきっぱり言い放つ。


「パンツがやったんだ!!」


「記録上は君だってば」


「昨日もそれ聞いたぁぁぁ!!」


 もうこれ牢屋のサイクルから抜けられないんじゃ……?


 そんな絶望に打ちひしがれていると、鉄格子の外に、エルミナが満面の笑みで現れた。


「アキトさん!! 今日こそ外に出ましょう!!」


「なんでそんな楽しそうなんだよ……」


「だって、今日は、新しい魔法の練習日なんですよ!!」


「やめろそのワード!! 絶対嫌な予感しかしない!!」

 仮釈放され、渋々エルミナに連れられて郊外へ向かう。


 青い空。鳥の鳴き声。森のそよ風。

 そして、俺の胃痛。


「アキトさん! 見てください! 新しく覚えた魔法、その名も」


 エルミナが胸を張って杖を構える。


「《きらめく愛の超増幅スーパーブースト光線》です!!」


「なんだその破壊力高そうな名前!!?」


「違います! 愛の力を増幅する優しい魔法です!」


「いや“光線”って時点で優しくない!!」


 俺が必死に止めようとしたが、エルミナはもう詠唱を開始していた。


「ちょっと!? 聞いてんの!? やめっ」


「《きらめく愛のーー超増幅ブースト光線!!》」


 ビュゴォオオオオオオ!!!!


「やっぱりビームじゃねぇかぁぁぁ!!!?」


 光線はまっすぐ俺に向かって飛んでくる。


「避けろ俺ぇぇぇ!!」


 死に物狂いで横に飛んだ、その瞬間。


 光線は後ろの岩に直撃し


 岩がハート形になった。


「……え?」


「成功です!!」


「成功の基準どこ!? なんで岩が愛の告白みたいになってんだよ!!」


「アキトさん、あれを街中にも広めたいですね!」


「絶対だめだろ!!?」


 しかしエルミナはキラキラした目で俺の腕を引っ張る。


「次、もっと大きい岩で試しましょう!!」


「死ぬ死ぬ死ぬ!! 俺が!!」


 逃げ回る俺。追いかけて撃ちまくるエルミナ。

 森には次々と、ハート型の岩や木が量産されていく。


「やめろぉぉぉ!! 森が全部告白会場になる!!」


「アキトさん、愛は世界を変えるんです!!」


「言ってることは良いのに結果が地獄!!」

 そのとき。


 またも聞き覚えのあるあの鳴き声が空に響いた。


「キュルルルルルル!!」


「またお前かブルルぅぅぅ!!?」


 昨日の青い巨大鳥“魔力鳥ブルル”が現れ、エルミナの光線に興味津々で近づく。


「あっ鳥さん、撃たせてください!」


「撃つなぁぁぁ!!!?」


 しかし時すでに遅し。


「《きらめく愛のーーブースト光線!!》」


 ハートビームが鳥に直撃し、


 ブルルの全身がピンク色に光り、


「キュ……キュルルルル……♡」


「え、なんか可愛くなった!!?」


「アキトさん!! ブルルさんが恋に落ちました!!」


「誰に!?」


「もちろんアキトさんに!!」


「なんで俺ぇぇぇ!??」


 ピンクに輝く巨大鳥が、恋する乙女みたいな目で俺にすり寄ってくる。


「キュルルル……♡」


「来るなあああああ!!!?」


 俺は全力で逃げ出した。


 だが鳥は本気。

 恋の力で加速してくる。


「アキトさーーん!! 逃げないであげて!! 愛ですよ愛!!」


「俺が愛で死ぬわァァァ!!」

 逃げ回った末、街の外れでついに捕まった。


 巨大鳥の羽ばたきで派手に転がされ、そのまま衛兵に取り押さえられる。


「昨日に続いて今日も騒ぎを起こしたね?」


「今回はエルミナだ!! 俺じゃない!!」


「記録上は君だよ」


「またかよぉぉぉ!!!」


 そして俺はまた牢屋に逆戻り。


 鉄格子の前でエルミナが申し訳なさそうに手を合わせていた。


「アキトさん……すみません……でも、魔法は成功したんですよ!」


「成功の基準ほんとどうした!!?」


 そこへ、今日のラスボスが顔を出す。


 鉄格子の外に……

 ピンクに光り輝いたブルルが、うっとりした顔でこちらを覗いていた。


「キュルルルル♡」


「だから来るなってのぉぉぉ!!」


 今日も異世界は平和(?)である。

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