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全裸で異世界落ちした俺の、今日も誤解される街暮らし 〜魔法少女見習いと亡霊パンツと牢屋生活〜  作者: 月影ポンコツ


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牢屋ゆるゆる騒動編 『昼寝してるアキトにイタズラしてはいけない(戒め)』

 今日も牢屋は妙に静かだった。


 アキトが昼下がり、

 床の上でぬくぬくと丸まって寝ているからだ。


 その寝相は本日も絶好調。

 左手は空中で“握手の途中”、右足は“逆さま”。

 もはや芸術の領域である。


「……アキトさん、気持ちよさそうですね」

 エルミナが頬を緩める。


「うむ。これは絶好のイタズラ日和じゃな」

 ラーデンじいさんが悪い顔で笑った。


「よくないですよ!?(でもちょっと興味ある……)」


「エルミナよ、これを使うのじゃ」

「えっ……チョーク?」

「寝ておる間に、アキトの額に『肉』と書くのじゃ」


「なんで“獣人の日常”みたいな事するんですか!」


 と言いながらも、

 エルミナはそっとチョークを構える。


「ちょっとだけ……なら……」


 アキトの額に近づいたその瞬間。


 ぱらり。


 床が一部めくれ、アキトの頭がすっと沈んだ。


「か、壁めくれ現象!? 昼寝バージョン!?」

「この能力、寝相変化だけじゃないのか……!」


 額は届かず、落書きは失敗。


「では次は、寝てる間に三つ編みにする遊びじゃ」

「それは可愛いから許します!」


 エルミナがアキトの髪をそっと指に取る。


 静電気がバチッ!!


「きゃっ!?」

「おお、アキトの“反射バリア”が発動しおったの……」


 次の瞬間。


 アキトの髪の毛がふわぁぁ……と上昇し、

 勝手に“スーパーサイヤ◯風ツンツン頭”に変形した。


「え……アキトさん……?」

「寝ておる間の自己防衛か……? 便利じゃのう」


「便利じゃないです!!」


「最後はこれじゃ。寝言誘導」

「へぇ、そんな高度なイタズラもあるんですね」


 ラーデンがアキトの耳元で囁く。


「……アキトよ……好きな食べ物は……?」


 アキトが微かに動き、寝言をつぶやく。


「……パン……つ……」


「パン!?」「パンツ!?」

「いや“パン”でしょ!? パンツじゃないよね!?!?」


 エルミナの顔が一瞬で真っ赤になった。

 ラーデンはニヤリ。


「では次じゃ。アキトよ……好きな人の名前は……?」


 その瞬間だった。


 牢屋の空気がびりびりと震え、

 アキトの体がふわっ、と宙へ浮いた。


「わわわっ!?」「ちょ、能力暴発!?!」


 浮遊したアキトは、

 上空で“布団巻きつきコースター回転”を始めた。


「誰か止めてぇえええ!!?」

「これは……感情刺激による自動防衛反応じゃな……!」

「え、そんな能力あったの!?!?」


 アキトは最後にスパンッと床に落ちて、

 うっすら目を開けた。


「……ん? なにしてるの……?」


「イタズラです!!!」

「正直すまんかった!!」


今日も牢屋は昼寝ひとつで実験場になる。



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