表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
全裸で異世界落ちした俺の、今日も誤解される街暮らし 〜魔法少女見習いと亡霊パンツと牢屋生活〜  作者: 月影ポンコツ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/149

禁止賭博取り締まり編 能力よ、黙っとれ

 今日も牢屋は、妙な緊張感に包まれていた。


 昨日の“寝相賭博事件”を受け、

 隊長が張り切って罰則強化を発表したのである。


「いいか、囚人ども! 寝相賭博は

 本日より全面禁止だ!!」


 が、囚人たちの表情はどこか自信満々だった。


「(……ふっ)」「(まぁ無理だろ)」

「(隊長さん、知らないんだな……)」


 その中心にいたラーデンじいさんが、髭を撫でて笑う。


「隊長殿、賭博を取り締まる前に……

 賭けの元凶であるアキトの寝相をどうにかせにゃならぬ。」


「元凶って言い方やめてもらえませんか!?」アキトが抗議する。


「仕方ありません……!」

 エルミナは胸に手を当て、息を吸った。


「私が! アキトさんの寝相を!

 完全固定魔法スリープ・ロックで封印します!!」


「やめろォォォォ!? 人にかける魔法じゃないそれぇ!!」


「大丈夫です! 理論上は安全です! 理論上は……!」


 エルミナが魔法陣を展開した、その瞬間?


 アキトの体がふっと宙に浮いた。


「……ん?」


 エルミナの魔法はまだ発動していない。


「ちょっ!? アキトさんが勝手に浮いたんですけど!?」

「自動発動!?」「寝相の自律進化!?」


「いや寝てないんだけど今!?」


 アキトは焦り、ばたばたと宙で手足を動かすが

 さらに不可思議な現象が起きる。


 牢屋の壁が、ぺらりと一部だけ紙のようにめくれたのだ。


「な、なんだ今の……!? 壁が薄く……」


「アキトくんの能力……『寝相異空間操作』……?」

「そんなネーミング初耳なんだけど!?」

「理論上は」が一番怖い。


「隊長、これ……賭博じゃなくて研究では?」

「アキトの寝相に新しい現象が出るたびにデータが取れる……!」


「賭けの対象が“未知能力の発現回数”に変わっただけだぁ!」


「ダメだろ!!?」


 隊長は怒鳴るが、既に手遅れだった。


 囚人たちは

 『今日の能力出現率』

 『壁めくれの角度予測』

 『浮遊継続時間オッズ』

など、よりタチの悪い賭博へと進化していた。


「もう!! 全員!! 聞いてください!!!」


 牢屋がビリッと震えるほどの怒声。

 エルミナの頬は真っ赤で、涙目だ。


「アキトさんの……アキトさんの寝相で遊ばないでえええ!!

 わ、私だって!! ……毎日見てるけど!!

 そんな……賭けの対象にされたら……!!

 なんかこう……ダメなんです!!」


 珍しく感情をむき出し。


 囚人たちは静まり返った。


「……“毎日見てる”のところ詳しく」


「ラーデン黙れええええ!!」


 エルミナが魔法杖を振り上げる。


「もう怒りました!

 《拘束魔法・完全多重ロックアップ》!!

 賭博器具も! 記録紙も! 全部没収です!!」


 魔法が牢屋中を走り

 記録用紙や石チップ、メモ板などが空中に浮かぶ。


「没収です!!……って、あれ?」


 浮かんだまま、動かない。


「え? え? 魔法……止まった……?」


 次の瞬間。


 没収したアイテムが全部、アキトの周りにワープして積み上がった。


「なんで俺の周りに集まるのぉおお!?」


「やはり……アキトの能力が魔法干渉を……!」


「能力のせいで没収ができないってどういう事なんだよおお!?」


今日も牢屋は、取り締まりより、説明書が先だ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ