表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
全裸で異世界落ちした俺の、今日も誤解される街暮らし 〜魔法少女見習いと亡霊パンツと牢屋生活〜  作者: 月影ポンコツ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/149

盗撮されたアキトの寝相事件 寝てる間に文化遺産扱い

 その夜、俺は珍しく熟睡していた。

 パンツの亡霊(気のせい)も現れず、ラーデンじいさんの寝息も穏やか。

 牢屋がこんなに静かなのは奇跡だった。


 だが。


「……ね、寝た? 完全に寝た?」


「寝たのう。これは今がチャンスじゃ」


 後ろでひそひそ声がしてるんだが……?


 だが俺は疲れが限界で、そのまま夢の世界へ落ちた。


 翌朝。


「アキトさぁん!! 大変です!!」


「なんだよ……まだ夢の中でいたい……」


「アキトさんの寝相が……展示されてます!!」


「は?」


 俺が飛び起きると

 牢屋の端っこには見覚えのない新しい展示棚。


 タイトル


『アキトさん寝相写真展(第一部:無防備の極み)』


「やめろぉぉぉ!!? 俺の寝相なんで写真化してんだよ!!」


 そこには


・寝ながら壁に頭突きしてる俺

・牢屋の床と同化してる俺

・寝ながらパンツの亡霊(気のせい)に怯えてる俺

・謎の“指ハート”ポーズを無意識でしてる俺


 エルミナが胸を張る。


「夜中のアキトさん、すっごく可愛かったので……!」


「可愛いとかじゃなくて盗撮だよ!! 刑法では犯罪なんだよ!!」


「アキト、ここ牢屋じゃぞ。法の適用範囲が曖昧じゃ」


「どんだけ都合のいい世界だよ!!」


 そこへ、隊長が視察に来た。


「ん? 新しい展示か?」


(やばい、絶対怒られる……!!)


 しかし隊長は写真を見て固まった。


「……おい、これは……」


「ご、ごめんなさい隊長! 私が勝手に撮っ─」


「この“床と同化してる寝相”、どうやって撮った?」


「そっち!? 興味そこなの!!?」


 ラーデンじいさんがやたら誇らしげだ。


「ワシが撮ったのじゃ。ほれ、魔導レンズ“夜目の極み”でのう」


「いやじいさん何してんの……?」


 隊長は腕を組み、低くつぶやいた。


「……これは、公式資料として残すべきでは?」


「やめろォォォォォ!!?」


 午後。


 牢屋の前には、また人の列。


「今日は寝相の新作あるって聞いたんですけど!」


「アキト様の“丸まってる寝相”が可愛すぎると聞いて!」


「可愛くない!! 寝てただけ!! 無防備なだけ!!」


「寝相ファンです!! サインください!」


「そんな界隈あるの!? どこで生まれたの!?」


「アキトさん、今日はありがとうございます!」


「何がありがとうなんだよ……俺の尊厳どこに置いてきた……?」


「第二部の展示も準備してますね!」


「まだ増やす気か!!?」


 ラーデンじいさんもにやにやしながら言う。


『次は“寝言コレクション”じゃな。楽しみじゃのう』


「録音するなぁぁ!!」


 その夜、俺は緊張で眠れなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ