ラーデンじいさん特別寄稿
《勝手に追記:青春講座》
※エルミナの記録帳の最終ページに勝手に挟まっていた。
手書きでやたら達筆。
エルミナはまだ気づいていない。
ふむ。
どうやらこの記録帳は、エルミナ坊の
“ひそかな青春と成長”が書かれておるようじゃな。
よってわし、大賢者ラーデンが
勝手にではあるが、
青春についての指南書を追記しておく。
読むなよアキト。
絶対に読むなよ。
(※フラグ)
第一講 青春は爆発するものじゃ
青春とは、魔力の暴発と似たようなもの。
自覚がないうちに勝手に爆発する。
しかも周囲を巻き込む。
エルミナ坊の火球魔法がそうであったように、
心も火球を撃つ時期があるのじゃ。
アキトに向かってな。
気をつけい。
第二講 記録帳は見せるものではない
記録帳とは、
心の中に秘めておくためのもの。
間違っても、
机の上に置いて席を外すなどという愚行はしてはならん。
これは“青春の自己防衛魔法”じゃ。
まあ、もう遅いがのう。
第三講 好きな相手はだいたい鈍い
よほどの天才を除き、
大抵の男は気づかん。
・視線に気づかん
・好意に気づかん
・声音の変化にも気づかん
・記録帳を読まれて死にそうになる気持ちにも気づかん
アキトなど典型例じゃ。
しかし気づかんからこそ、
じわじわ仲良くなるのもまた青春よ。
急ぐでないぞ。
第四講 恥ずかしがる姿は最強の魔法
男というものはな、
照れてる女の子に弱い。
なぜ弱いか?
知らん。
わしも若い頃は弱かった。
ただひとつ言える。
エルミナ坊よ、
今日のその“叫んで真っ赤になった顔”は
アキトの記憶に一生残る呪文となったじゃろう。
よかったな。
第五講 恋の成就には“第三者”が必要
恋愛においてはな、
必ず“余計なお節介をするヤツ”が必要なのじゃ。
昔は幼なじみや友人がその役割をしたが
今回はわしである。
遠慮はいらん。
どんどん巻き込んでくれてよいぞ。
脱獄計画も恋愛も、
外野が動くほど楽しくなる。
第六講 結論
エルミナ坊よ。
青春はのう、
自分じゃ止められん。
止めようとすればするほど転ぶし、
転ぶほど相手に覚えられるんじゃ。
よって
もっと転べ。
ふはははははッ!!
追記・エルミナによる落書き
※後で気づいたらしい
やめてください!!!!
このページ書いたの誰ですか!?!?
→ ラーデンじいさんデスよ
(じいさんの文字)
燃やします!!
(※しかし燃えない魔法火のせいで燃えなかった)
今日も牢屋は、賑わっている。




