エルミナの《牢屋見習い記録帳》特別篇 “アキトに見られてしまった日”の慌て記録
時刻:昼食後/牢屋内は比較的平和
今日は、いつものように見張り業務。
アキトさんはパンを半分床に落として泣いていた。
(※落とした瞬間、パンより先に心が折れていた)
その隙に、私は記録帳を書こうとして……
うっかり机に置きっぱなしで席を外してしまった。
水を汲みに行って戻ると
発見、アキトさんが私の記録帳を読んでいる
アキトさん
「……“心がふわっとした”ってなに?」
エルミナ
「ぎゃああああああああああああッ!?!?!?」
(※心の叫びは記録のため文字にしてあります)
私は全力で飛びつき、記録帳を奪還。
その勢いでアキトさんに頭突きしてしまった。
申し訳ないと思っている(でも少ししか思っていない)
慌て行動一覧(時系列)
1.叫ぶ
→「やめてください見ちゃダメ見ちゃダメ見ちゃダメぇぇぇ!!」
2.奪う
→“見習いとは思えない速度”とラーデン様に言われた。
3.隠す
→記録帳をポケットに無理やり入れた結果、
ポケットが破れる。
4.誤魔化す
→「ア、アレは……あの、えっと……訓練です!」
5.顔が真っ赤になる
→アキトさんに「トマト?」と言われて泣きそうになる。
アキトさんの反応
アキト
「……なんで俺のこと、こんな細かく観察してんの?」
「“怒られないようにする(毎日失敗)”ってなんだよ」
「……でも、ありがとう」
最後の“ありがとう”で
さらに私は記録帳をポケット奥深くへ押し込んだ。
(※まだ破れていない別のポケット)
ラーデンじいさんの証言
ラーデン
「……青春じゃのう」
「わしも若い頃はそうやって日記をの……
おっと、殴らんでええ殴らんでええ!!」
(※年齢は 200 歳以上なので青春ではないと思う)
反省点
・記録帳はもっと安全な場所にしまう。
・感情を書きすぎない(※すでに無理)
・アキトさんの前で絶対に広げない。
・じいさんは黙らせる。
今日の最重要教訓
“好きな人の前に記録帳を置きっぱなしにしないこと”
(……と書いたけど、このページも絶対見られたくない)
今日は牢屋が、ときめいている?




