エルミナの《牢屋見習い記録帳》
『エルミナの立派な勤務記録帳(極秘)』
※アキトには絶対に見られたくない(すでに二回見られている)
第一章:牢屋勤務について
1日目
・アキトさんが牢屋に入った。
・私は見張りを任された。
・任務なので全力で働く。
・でも、椅子が固い。ケツが死ぬ。
2日目
・アキトさんが「なんでエルミナが牢屋に?」と質問。
・上司に言われたので、と答えたが、上手く説明できなかった。
・後でちゃんと説明するつもりが、今も説明できていない。
・うまく話す魔法が欲しい。
第二章:アキトさんについて
観察ポイント(※真剣)
・よく騒ぐ。
・よくツッコミをする。
・何かと私を止める。
・でも実は優しい。
・たまに褒めてくれるので心があったかくなる。
・でもたまにバカにされている気がする。なんでだろう。
アキトさんの弱点
・怖い話。
・パンツの亡霊(※実在しない)。
・水が濁ってるだけで死ぬほどビビる。
・じいさん。
第三章:ラーデンじいさんについて
初見メモ
・オーラが強い。
・でも捕まっている。
・捕まっているのに偉そう。
・意外と優しい。
・大賢者。たぶん本当。
危険点
・知識量が多すぎて、正しいのか正しくないのか判断不能。
・アキトさんと二人にすると治安が悪くなる。
・会話が不健全になりかけるので、常に監視する必要あり。
第四章:本日の事件メモ
【事件番号 28:バケツ水スープ事件】
原因
・ラーデンじいさんが“命懸けスープ”を作ろうとした。
結果
・アキトさんが泣いた。
・私はメモを取った。
・スープはただの水だった。たぶん。
反省
・アキトさんを押さえつけたのはやりすぎだったかもしれない。
・でも味見は必要だったと思う。
第五章:明日の目標
・アキトさんの役に立つ。
・できれば怒られないようにする。
・ラーデンじいさんの“サラダ編”で失敗しない。
・今日こそ「ちゃんと見張ってます感」を出す。
・魔法を暴発させない(重要)。
第六章:極秘メモ(閲覧禁止)
アキトさんが褒めてくれたときのことを書いてある。
心の中がふわっとした、とある。
書いたあと恥ずかしくなり、ぐちゃぐちゃに塗りつぶしてある。
でも、読める。
「アキトさんに“ありがとう”と言われた。
わたし、もっとがんばろうと思った」
最終ページ:決意
わたしは見習いだけど、ちゃんと成長する。
魔法も、仕事も、人としても。
でもまずは、
牢屋のメシを改善したい。




