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全裸で異世界落ちした俺の、今日も誤解される街暮らし 〜魔法少女見習いと亡霊パンツと牢屋生活〜  作者: 月影ポンコツ


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牢屋メシ改善プロジェクト 第二弾

 昼の鐘が鳴り、例の“牢屋メシ”が運ばれてきた。


「今日のは……うわ、粘度が上がってる……!」


 アキトは皿を持った瞬間、手首に吸い付くような感覚に震えた。

 ひと目でわかる。これは食べ物ではない。何かの新生命体だ。


「こ、この料理……光ってます……?」

 エルミナが恐る恐るスプーンで突くと、ぷにゅっと跳ね返ってくる。


 そこへ、隣の牢屋からラーデンが腕を組んで


 白衣もないのに、なぜか白衣を着ているかのような


動きで材料を分析し始めた。


「まず、このスープ……粘度が高すぎる。これは魔力の流れが滞っておる証拠じゃ」


「料理に魔力使ってる時点でおかしいだろこの世界!!」


「アキトさん、私も魔法で味を整えてみますね!」


「やめろ!! 一番危ないやつがスイッチ入った!!」


 だが止める間もなく、エルミナが両手を掲げる。


「《味覚調整フレーバー・アジャスト》!」


 スープがぼこぼこ泡立ち

 次の瞬間、牢屋全体が甘い香りに包まれた。


「お、なんか美味しそうな匂い……」

 アキトが一口すくって


「甘ぁぁぁぁぁっっっ!!?」


 口に入れた瞬間、脳まで刺す激甘。

 もはやスープではない。

 甘味あまみ魔法の暴走体だ。


「す、すみません……! 後味を調整します!」


「待て! 二発目はもっと危険だ!!」


「《後味すっきり(クリアアフター)》!!」


 結果。


 スープは

“甘いのに後味が強烈にしょっぱい”

という、味覚の概念を破壊する液体に進化した。


「うああああ!? なんで前よりひどくなってんだ!!?」


「味の魔力が喧嘩しておるな……ふむ、ここはわしが炎で一度リセットしよう」


 ラーデンが指を弾く。


「浄化のピュリファイア!」


 どろり、と燃え上がるスープ。

 だが次の瞬間、火は

メラメラしながら冷気を発する“燃えない火”

へと変質した。

 

 牢屋中が寒いのに明るいという異常現象。


「ちょっと待てこれ、前回の“燃えない魔法火”の残りじゃね!?」


「うむ。再現したつもりはないんじゃが……」


「なんで再発してんだよおおお!!」


 スープはとうとう、

炎なのか冷気なのか判別不可能な“食べ物ではない何か”

に進化してしまった。


 結論。


「……今日のメシ、これで出すかの?」


「絶っっ対やめろおおおお!!!」


 こうして牢屋メシ改善プロジェクトは、

第二弾にして最悪の記録を打ち立てた。


 牢屋の日常は今日も平和(?)である。


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