エロトーク厳禁!? エルミナの冷えきった視線
昼下がり。
牢屋はまったりと、静かで、少しだけ退屈だった。
そんな空気をぶち壊す声が、隣から聞こえる。
「アキトよ……若い娘というのはの……ああ見えてじゃな……」
「やめてくださいラーデンさん。もうその前置きの時点で嫌な予感しかしません」
「ふぉっふぉ。例えばエルミナ嬢のような」
ここで、アキト、つい油断した。
「いやまあ、わかりますけどね。エルミナって意外と胸」
ギギギギギ。
鉄格子がゆっくり軋む音がした。
アキトとラーデンは、同時に後ろを振り向く。
そこには、
黒パンをかじる手を止め、
魂の冷めた目でこっちを見つめるエルミナ
が立っていた。
「……二人とも、今の、聞こえましたけど?」
「ち、違うんだエルミナ! ラーデンが勝手に話を」
「うむ、わしは何も言っておらん。すべてアキトの独走じゃった」
「この裏切りじじい!!」
エルミナはため息をつく。
「……なんで男の人って、すぐそういう話するんですか?」
「それは……本能というか……」
「若さというか……」
エルミナの目はさらに冷える。
「“若さ”で誤魔化せる年齢でもないですよね?」
「うっ……!」
「ぐはぁっ……!」
二人は同時に胸を押さえて倒れ込む。
エルミナは黒パンをぽりぽり食べながら、さらりと言った。
「アキトさん、ラーデンさん。
次に変な話したら、私、魔法の自主練しますからね。」
「「それだけはやめてくれ!!!!」」
牢屋の空気が一瞬で引き締まる。
今日も牢屋は、だいたい平和である。




