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全裸で異世界落ちした俺の、今日も誤解される街暮らし 〜魔法少女見習いと亡霊パンツと牢屋生活〜  作者: 月影ポンコツ


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管理計画初日で即事故る

絶対にろくなことにならない予感は、だいたい当たる


魔力操作に、ようやく“目処”がついた。

草原での地獄の四日間を経て、アキトは一つの結論に達していた。


(使いすぎるとネガティブになる。

 でも、コントロール自体は……できなくもない)


つまり

危険だけど、放置はもっと危険、というやつだ。


そんな折。


「入るぞ」


牢屋の扉が、いつになく重々しい音を立てて開いた。

立っていたのは、隊長だった。


書類の束。

真剣な顔。

嫌な予感しかしない。


「アキト。魔力管理計画を立ち上げる」


「……ろくな響きじゃないなあ」



隊長主導・魔力管理計画(仮)


「本日より、魔力は記録・測定・制御する」

「三段構え!?」

「安心しろ。すべて“安全第一”だ」


横でエルミナが元気よく手を挙げる。

「アキトさん!私、補助係です!」

「一番安心できない配置なんだけど!?」


ラーデンは腕を組み、にやりと笑う。

「初日は必ず事故る。賭けてもいいぞ」

「やめてください不吉な予言!」



管理計画・初日


場所:牢屋なぜか

理由:管理しやすいから(隊長談)


「ではまず、魔力を“ほんの少し”出してみろ」

「草原でやったやつですね。刈り取り系なら――」


アキトは集中する。

手のひらに、穏やかな光。


ぽわっ。


牢屋の床が、ピカピカに磨かれた。


「……」

「……」

「……清掃?」


エルミナが即記録。

「魔力使用:微量。効果:床が新品!」

「方向性がおかしい!」


隊長は咳払いをした。

「よし。次は“抑制”だ。出さないように意識しろ」


(出すな……出すな……)


ギシィ。


牢屋全体が、妙に静かになった。


「……音、消えてません?」

「……空気、重くないか?」


アキトの頭に、じわっとした感覚が広がる。


(あー……なんか……

 全部めんどくさい……

 俺、ここにいなくてよくない……?)


「アキトさん!?顔が暗いです!」

「ネガティブ兆候、記録!」


ラーデンが即座に叫ぶ。

「抑制解除!今すぐじゃ!」

「はい!」


アキトが慌てて意識を緩めた瞬間


ドン!!


牢屋の壁に掛けてあった看板が、なぜか粉砕された。


「なんで!?」

「方向が迷子じゃ!」



決定的事故


「……最後に、補助魔法を併用する」

隊長が言った。


「え、今それやります?」

「管理には実験が必要だ」


エルミナが胸を張る。

「任せてください!

 補助魔法《安定化・微》いきます!」


(嫌な予感しかしない)


キラァン!


魔法陣が光った瞬間。


アキトの魔力が、

妙に“素直”になった。


「……あれ?」


牢屋の装飾が整い、

空気が心地よくなり、

全員の姿勢がなぜか良くなる。


「……おや?」

「……これは」


次の瞬間。


全員の本音が、口から漏れた。


「書類多すぎて死にそうだ」

「私、反省してないです」

「わし、この牢屋好きじゃ」

「え、ちょ、俺の心の声!?」


補助魔法、大暴走。


隊長はその場に崩れ落ちた。

「……計画、初日で見直しだ……」



静かになった牢屋で、

アキトは天井を見上げる。


「……魔力管理って、

 管理する側が一番ダメージ受けてない?」


ラーデンが肩をすくめる。

「だから言ったじゃろ。初日は事故ると」


エルミナは記録帳に大きく書いた。

《管理計画:危険。全体的に》


隊長の胃が、静かに悲鳴を上げていた。


今日も牢屋は、計画書より先に崩壊した。

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