表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
全裸で異世界落ちした俺の、今日も誤解される街暮らし 〜魔法少女見習いと亡霊パンツと牢屋生活〜  作者: 月影ポンコツ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

123/149

新人衛兵訓練場・朝

訓練場の空気は、妙に張りつめていた。

整列した新人衛兵たちは、全員が一冊の分厚い本を抱えている。


表紙には厳かな文字。


『牢屋事変史 第一巻(公文書)』


隊長が腕を組み、偉そうに顎を上げて言った。


「よし。では確認する」

「本文ではない。脚注だ」


新人たちが一斉に息をのむ。


「脚注こそが現場の真実であり、余白にこそ歴史は宿る」

「異論は認めん」


アキトは端の方で立たされていた。

完全に部外者の顔だ。


(なんで俺、立ち会わされてるんだ……)


暗唱開始


隊長が一人の新人を指名する。


「第十二章、脚注三。暗唱」


新人衛兵は背筋を伸ばし、叫んだ。


「はっ!」


そして、淀みなく読み上げ始める。


「脚注三。

この日、被記録者アキトは『何もしていない』と主張したが、

周囲の被害状況から判断するに、

本人が“何もしていない時ほど事態は悪化する”傾向が見られる」


アキト「待て待て待て」


新人は止まらない。


「なお、この傾向は本人の自覚と反比例し、自覚がゼロに近い場合、被害規模は“展示・観光・商品化”にまで発展する可能性がある」


アキト「それもう予言書だろ!」


次の新人


隊長は満足そうに頷く。


「よし。次」


別の新人が続く。


「第十五章、脚注七!」


「被記録者アキトは、自身が“何も知らない状態”を最も危険とする存在であり、周囲が説明を省いた場合、

事後的に本人が一番驚く結果となる」


アキト「それ俺の感想じゃん!」


新人はさらに声を張り上げる。


「補足。この脚注は、被記録者本人のツッコミを予測して書かれている」


アキト「脚注が先読みしてくるな!」


牢屋側の見学席で、ラーデンがニヤニヤしている。


「いやあ、脚注だけで人物像が立体的じゃのう」

「わし、筆が冴えすぎたかもしれん」


アキト「冴えすぎた結果、俺が教材になってるんだけど!?」


隊長は咳払いし、威厳たっぷりに言い放つ。


「よいか新人ども」

「本文は状況説明だ」

「脚注は、犠牲者の心の叫びだ」


新人たち「はっ!!」


アキト「俺、いつ犠牲者になった!?」


アキトは分厚い歴史書を見下ろし、震える声で呟いた。


「……これ、脚注だけで一冊作れるだろ」


ラーデンが即答した。


「もう第二巻の草稿はあるぞ?」


牢屋の外で、今日も歴史が積み上がっていった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ