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全裸で異世界落ちした俺の、今日も誤解される街暮らし 〜魔法少女見習いと亡霊パンツと牢屋生活〜  作者: 月影ポンコツ


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隊長の後日談(胃痛)

その夜、隊長は執務室に一人残っていた。


机の上には、

・展示会報告書

・非公式グッズ対応記録

・公式化判断書

・観光客対応マニュアル(暫定・三回改訂済み)

が、きれいに積み重なっていない状態で散乱している。


「……胃が、痛い」


隊長は書類を一枚めくる。


展示来場者数:想定の三倍

問題行動:想定の五倍

原因:想定不能


「想定不能ってなんだ……」


次の紙。


展示物説明文(抜粋)

『こちらが“ご主人の人生を狂わせたパンツ”です』


「誰が書いた」


さらにめくる。


注釈:

※ご主人は現在、存在を把握していません。


「把握していないのはこっちだ」


隊長はこめかみを押さえた。


胃が、きゅう、と鳴る。


昼間の光景が脳裏をよぎる。


・楽しそうに写真を撮る観光客

・「パンツ様!」と手を合わせる一部の来訪者

・説明員が誇らしげに語る「呪いと愛の物語」

・そして

 その横を、何も知らずに通り過ぎようとしたアキト。


(……あいつは、悪くない)


隊長はそれだけははっきり思っていた。


悪いのは、

・止められなかった自分

・善意を暴走させたエルミナ

・面白がったラーデン

・勝手に口を出したパンツ

・そして、なぜか通ってしまった書類


胃が、また鳴る。


そこへ、控えめなノック音。


「し、失礼します……」


顔を出したのはエルミナだった。


「隊長、その……今日は、本当に善意で……」


「わかっている」


隊長は即答した。


「わかっているからこそ、胃が痛い」


「えっ」


「善意でここまで行くな」


エルミナは少し考えてから、胸を張った。


「でも、みんな笑ってました!」


「そうだな」


「アキトさんも、最終的には驚いてました!」


「そうだな」


「だから成功だと思います!」


「……そうだな」


隊長は深く息を吸った。


「一つだけ、覚えておけ」


「はい!」


「次に“善意”を出すときは、事前に相談しろ」


「わかりました!」


(わかってない顔だ)


隊長は内心でそう呟いた。


エルミナが去ったあと、隊長は最後の報告書に目を通す。


今後の方針

・展示は縮小

・パンツの発言は記録のみ

・アキト本人への説明は慎重に


ペンを置き、隊長は椅子に深くもたれた。


「……静かになったな」


その瞬間。


廊下の奥から、観光客の声が聞こえた。


「次は“ご主人不在でも成立した奇跡の展示”ですよー!」


隊長は、ゆっくりと机に額をつけた。


「……明日、胃薬を増やそう」


今日も牢屋は……平和だった。隊長の胃以外は。


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