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ヒロインが勝負をしかけてきた!  作者: ポット


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第98話 コンパの予習となり得るか

 夜が明け、俺は早朝から家を出発した。

 島へは電車で移動し、港から船に乗り継えなければいけないためだ。


 島に行くメンバーは福徳さん、俺、宇月さん。

 それに予定どおり天羽さん、誠一郎、委員長の3人が手伝いに来てくれることになっている。6人全員が駅で集合し、皆で移動する予定だ。


 駅に到着すると、既に4人の姿があった。俺が5人目ということは……最後ではなかったようだ。


 

「おはよー」

 

 

 みんなに挨拶すると、朝から元気そうな誠一郎が声をかけてきた。少し日に焼けていて、夏休み前よりもどこか体つきがガッシリしたように見える。

 

 

「おっす蒼汰! なんか久しぶりだなっ」


「久しぶり。誠一郎が部活で忙しすぎて会うタイミングもなかったもんね」


 

 残る女子たちは、皆キャリーバッグやらリュックやらを持っていて海外旅行にでも行くかのような風貌。それでもハキハキと挨拶を返してくれたので、とりあえず全員元気そうだ。

 今いるのがこの3人ということは……あと来ていないのは委員長か。

「委員長はまだ来てないんだね」と誠一郎と話していると、入り口から来た見知らぬ少女が俺たちの前に現れた。


 

「あ……あのっ」


「あ、は、はい」



 話しかけられると思っていなかった俺は、分かりやすく動揺して返事をしてしまう。

 同い年ぐらいの、綺麗な顔をした少女だ。



「しゅ、集合時間……ギリギリになってすみません」


「え?……あいやっ……」


「…………あ!……え?!……コハちゃんコンタクトにしたの?!」



 すぐ近くで女子同士喋っていた中から、宇月さんが大きな声をあげた。

 俺はその声を聞き、ようやく事態を把握する。

 目の前にいる美少女は委員長だったのだ。……道理で話しかけられたわけか。メガネをかけてないせいで気付かなかった……。



「めっちゃ可愛いよ! たまにね、もしかしたら数字の3なんじゃないかって、ほんとに少しだけ心配してた事もあったんだけど……よかった! やっぱりめっちゃ可愛いよ!」


「数字の3……? あ、ありがとうございますっ」

 

「ほんとにっ! 小春ちゃんかわいいっ!」


 

 横にいた天羽さんも、目を細めて委員長に向かって微笑む。

 それらのやり取りを見て、委員長と特に絡んだこともないであろう福徳さんは目を丸くした。


 

「今日手伝いに来てくれることになってる鈴さんだよね?……こ、こんな可愛い娘がまだうちの学年にいたのっ?!……わ、私のリサーチ不足だったわ。ていうかB組レベル高すぎないっ?? 羨ましいんだけど~っ」



 B組の女子3人を見る福徳さんは目をウルウルさせ本気で羨ましがっているようだ。女子でも羨ましいとか思うものなのか……?

 そして彼女はなぜか俺の方へ視線を移した。


 

「そーたん、もっと自分の置かれている環境に感謝した方がいいわよ」


「え……あ、ありがたいです」


「あとこの状況のキッカケを作った私にも感謝した方がいいわよ」


「……あ、ありがとうございます」



 そしてここで、隣でずっと可愛い可愛い言っていた宇月さんが、誠一郎に向かっていつものやつを繰り出した。



「ねぇペン見くん。コハちゃん、めっちゃ可愛いよね?」


「なっ……俺に振るのかよっ」


「うん。だってもう松村くんはそういうの言えるようになったもん。ほらっ」


「……委員長、すごくいいね。もちろんメガネも似合ってたけど、コンタクトもすごい似合ってる」


「あ……ありがとうございますっ」

 

「……ね? "コンタクト似合ってる"って表現はかなりイマイチだけど。ちゃんと褒めてるでしょ?」



 イマイチだったらしいが、一応及第点なようだ。



「で、ペン見くんはどうなの?」


「うっ、……あぁ、うん。いいと思うぞ」


 

 素っ気なく言っている風だが、誠一郎は明らかに恥ずかしそうだ。

「ありがとうございます……」と俯いている委員長も、顔を赤くして照れを隠しきれていない。


 にしても委員長、急にコンタクトにしてくるとは驚きだ。この期間中に告白したいと言っていたし、そういった覚悟の表れなのだろう。後でいろいろと聞いてみよう。

  

 甘い青春の香りが漂ってきていたところだったが、あまり空気を読んでいない福徳さんはここで「ちゅうもーく!」と全員に声をかけた。

 彼女が手に持っているのは、新幹線のチケットだった。



「じゃあ全員揃ったみたいだし、新幹線のチケット配っちゃうね。せっかくだからランダムにしよっか!」



 そう言うと福徳さんはチケットをシャッフルし、裏返しにして俺たちに向けてきた。



「おお~、いいね。かおりんナイスアイデアだよっ」


「へへ~ん、そうでしょ? ちなみに3人掛けのシートを2つ予約してあるからね」



 俺としては本当は委員長と誠一郎を一緒にしてあげたかったが、そんなあからさまに2人をくっつけるような提案はできない。

 何も言わず、目の前に出されたチケットの中から1枚適当に選ぶことにした。



「9ーBか……」


「あっ、じゃあ蒼汰くん隣だねっ。私9ーAだったから」



 ニコニコとチケットを見せてくれたのは天羽さんだ。

 つまり、俺は天羽さんと誰かの間の席ってことか。端っこが良かったんだけどな……。



「おぉっ、私9ーCだ! 松村くん、両手に花だねぇ」



 俺の次にチケットを引いた宇月さんも、嬉しそうにチケットを見せびらかしてくる。

 

 ……もう片方の隣は宇月さんか。自分で花って言っちゃってるが、まぁそれは間違いはない。そして俺にとってはあまり着かない席になりそうだ……。



 改札を抜け駅のホームに行くと、既に乗車予定の新幹線は停車していた。

 俺たち6人は早速予約していた車両に乗り込む。


 女子たちの重い荷物を棚の上に置いてあげてから自分の席に座ると、隣に座ってきた宇月さんはニヤけながら話しかけてきた。



「ねぇ友梨乃、松村くん。今からゲームしようよ」


「えぇ?まだ発車すらしてないのに? まぁ私はいいけど、何のゲームするの?」



 それを聞き、待ってましたと何かの箱を取り出した宇月さんは、ドヤ顔で答えてみせた。



「じゃ~んっ。ポッキーゲームだよっ♪」


「え?…………わ、私やっぱりやめとくね~……」


「えー。なんでよぉ。じゃあ松村くんはやるよね??」



 ……高校生一年生、初めての女子との旅行。

 ……やっちゃっていいんでしょうか?

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