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ヒロインが勝負をしかけてきた!  作者: ポット


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第46話 第一印象は武器が9割

「う、宇月さん、委員長ショック受けてるよ。いつもお昼の放送楽しみにしてるって言ってたじゃん……」


「え?あ、ご、ごめんコハちゃんっ、私もちゃんと聴いたことないから!まだ面白い可能性もあるから!」


「いいんです。……少数派なので。1人は慣れてるので」


 涙目の委員長が目に入り、宇月さんを睨む。

 こちらの視線に気付いた宇月さんは、慌てて話の続きを始めた。


「で、でさ、改善案だけどっ、ゲストを入れるとかどうかな?」


「放送部以外の人を呼ぶってこと?」


「そう!」


「たしかにお昼の放送って、放送部の方しか出てきてないですしね……!」


 それはいい案かもしれない。

 いつもの2人が違うトークをしたところで、聴いていない生徒は内容の変化にすら気付かないだろうし。

 違う人の声が入ることで注目するキッカケにはなるし、少なくとも出演ゲストの知り合いは聴いてくれる。


 宇月さんは話しながら、ペンをクルクルと手で回した。

 

「でしょ~? ゲストの人にもトークに参加してもらえば、少し変わった感じになるんじゃないかな?」


「なるほど……それは一度試してもらいたいね。放送部の人たちに提案してみようか」


「そうですね。私、その提案を伝えてみます!」


 それらしくなってきたぞ。

 放送部の2人がどう思うかは分からないが、俺たちはできるだけ積極的に動いていきたい。


「いい感じになってきたね~っ。後は何かアイデアないかな?」


「それじゃあ、俺からも」


「おぉっ、松村くん、どぞっ」

 

「クイズとか、聴いてる人も参加できるようなコーナーがあればどうかな?」


「いいねそれ!私やってみたいかも!」


「私も賛成です。ただお喋りしているよりも、興味を引けそうな気がします」


「よし、じゃあこれもコハちゃんに提案してもらおー!」


「わかりましたっ」



 協力的な委員長のおかげもあって、そこからもアイデアはポンポンと出てきた。こうして3人で話しているとなんか部活っぽい。生徒相談部、好調な滑り出しかもしれない。

 そして委員長には放送部に伝えてもらう役割を担ってもらったのだが、善は急げということで、明日の放課後に早速放送部へ提案してくれる事になった。



「お2人とも、ありがとうございました」


「いやいや、委員長にも色々とお任せしちゃってるけど。少しでも役に立てそうなら良かったよ」


「いえ、本当に感謝です。宇月さんとももっと仲良くなれた気がして嬉しいですっ」


 委員長の言葉を聞いた宇月さんは、目をうるうるさせながら両手を合わせて喜んだ。

 

「えへへっ。私も嬉しい! あと松村くんとも、もっと仲良くしてあげてねっ。あんまり口数多くないけど」


「そうですか? 松村さんは結構お話ししてくれると思うのですが……」


「え?」


 宇月さんがこちらを見る。その顔、全然信じてないな。


「特に2人でいるときは積極的に話してくれてる気がしますよ……?」


「ええ、おかしい。私のときはそんなんじゃない。いつもツンツン言ってるもん」


「いや、言ってはいないでしょ」


「でも口数は少ない気がするけど?」


 なんだその膨れた顔は。委員長はこっちから話しかけないと会話が続かないから、俺も頑張ってるんだよ。

  

「宇月さんは黙っててもずっと喋ってるし」


「なっ……。じゃあ私、今から喋らないっ。話しかけてきたって、ツンって返すからね。はいっ、すたーと」


「………………」


「………………」


「…………………………」


「………………………………」


「………………………………」

 

「…………………………んふっ、なにその顔」


「はい、宇月さんの負け」


「勝負してないもんっ、大人げないから松村くんの負けですぅ~」


「そもそも俺は変顔なんてしてないんだけど」


「いや、だって長時間見つめてられないよ。眠そうな顔してたし」


「それいつもでしょ」


「ふふっ、そうだった」  

 


「あ、あの……」


 やりとりを眺めていた委員長が、会話を遮るように切り出した。


「放送部、もう行ってきてもいいですか……?」


 


 とりあえず、その日の部活は解散。

 これ以上話し合って無駄になると悲しいので、次の日に委員長からの返事を聞いて話を進めることにした。



 そして次の日の放課後。

 とりあえず委員長が来るまで、俺と宇月さんは部室の整理を進めていた。


「松村くんは、おっきい机と小さい机、どっち派?」

 

「部室の机の話?」

 

「そう!部室に欲しいって先生に頼んでみたんだけどさ、やっぱり買うとなると大きいのは高いみたいで。買うのが無理ならどこかからもらえないか交渉しなくちゃならないんだよね~」


「そっか」


 この部屋にポツンと小さい机があってもあまり格好がつかない。入手が難しくても、一応大きい机が欲しいところだ。

 

「……でもまぁ、正直言うと大きい方がいいな」


「お、そうなんだね」


「やっぱり大は小を兼ねるし」


「そうか、松村君は大きい派かぁ」


「宇月さんは?」


「私も大きい方がいいと思ってたんだけどね。小さいのも可愛くて、良さがあるっていうか」


「なるほどね」

 

「でも、松村くんは大きいのがいいみたいだし……私頑張るよ!少しでも大きくなるように」


「ありがと。楽しみにしてるよ」



「……おお、お、お二人は、もうそんなところまで進んでいたんですか」


 気が付くと部室の入口に、顔を赤らめながら口を手で抑えている委員長が立っていた。


「松村さんは、大きいのがお好きなんですね……。宇月さんは既に魅力的な大きさだと思うのですが……」


 委員長の視線は、宇月さんの首の下辺りに向いている。


「こここ、コハチャンっ! ちがうの!たぶんだけど、その話じゃ……!」


「い、いえ、すみません、また大事な話の途中で邪魔してしまって……!」  


 委員長の天然が再び炸裂している。


「放送部の方から、提案の了承を得たので今日はそのご報告ですっ」


「おお、さすが委員長。仕事が早い」


「それで、打ち合わせも必要かと思いまして。ここに呼んだのですが…………あっ、今、ちょうど来てくださったようです」


 部室の入り口で話していた委員長が、廊下の方へ視線を送る。

 すると、視線の先から男子生徒2人がソロソロと部室の中へ入ってきた。

 

 ……初めて見る顔だ。この2人が放送部ってことか。


「放送部3年の広島(ひろしま)さんと、1年の仙台(せんだい)さんです」


「どうも、よろしくお願いします」


 広島さんと紹介された方から丁寧に挨拶され、まずは会釈で返す。

 隣の宇月さんを見ると、立ったまま肩を吊り上げ、ガチガチに固まっていた。緊張しすぎでしょ……。


「で、では、私は生徒会の集まりがあるので……。松村さん、すみませんが、ここからはよろしくお願いします」


 委員長は放送部の地方中枢都市コンビを部屋に残し、急ぐように部室から出ていった。


 

 

 突然出会わされ、取り残された俺たち4人……。

 今のところ宇月さんが使い物にならなさそうなので、俺が前に出て2人を部屋の奥に招き入れる。


「すみません、まだ部室が片付いてなくて。椅子ぐらいしかないんですけど、どうぞ座ってください」


「ありがとう、松村君……で、合ってるかな?」


 用意した椅子に腰掛けながら、3年の方の部員、広島先輩が返事をした。


「合ってます。ちなみに、こちらは相談部のもう1人の部員で……」


「うう、宇月ですっ。わわ、わたしも、大きい派ですっっ」


「大きい派?」


「す、すみません。なんでもないんです。気にしないでください、本当に」


「そう?まぁ、紹介ありがとう。……宇月さん、僕たち悪い者じゃないから、そんなに怯えないで」


 たった今会ったばかりだが、広島先輩はかなり優しい人柄だ。突然知らない人2人を入れられて震えている宇月さんにも、かなり気を遣ってくれている。

 ……しかしまぁ、宇月さんがこんなに震えているのにも理由がある。広島先輩が手にハンマーを持っていたからだ。


「……わわ、わ、わ」


「広島先輩、すみません。彼女、怯えてるんじゃなくて人見知りしているだけなんです。そのうち慣れてくるはずなので、気にしないでください」


 横で宇月さんがバイブマシンの如く小刻みに頷いている。


「そ、そっか、怖がられてるんじゃないなら良かったよ」


 広島先輩がハンマーを自分の横に置くと、宇月さんはホッと胸を撫でおろしていた。

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