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ヒロインが勝負をしかけてきた!  作者: ポット


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第15話 メガネキャラのレンズはやたら反射する

鈴小春すず こはるちゃんだよ。うちのクラスの学級委員長の!」


 学級委員長?そんなのいつ決まったんだ……?


「んー……。どんな子なの?」

 

「前髪が長くて、メガネをかけてる子だよ。あと、すごく大人しいね」

 

「なるほど。だからちゃんと顔を見たことがないって話してたのね」

 

「そだよ〜。……なんか松村くんと話してても、同じクラスの人と話してる気がしないんだけど」


 そんな事言われても、知らないものは知らない。

 

「いつも情報提供、ありがとうございます」

 

「まったくだよ」


 ここで、眉をハの字にして笑っていた天羽さんが口を開いた。

 

「蒼汰君、クラスで学級委員長を決めた時のこと覚えてないの?」

 

「え、その時って俺もいた……?」

 

「え、蒼汰くんって私と一緒に図書委員になったよね?その前……皆の委員会を決める前に委員長を決めたから、教室にはいたはずだよ……?」


 確かに俺は、迷うことなくラクそうな図書委員を選択した。

 だけど、その前?委員長を決めた時、本当に俺は教室にいたのか……?

 各々が自分の記憶を辿り、一瞬だけ沈黙の時間が流れる……。


 

「あ、ああ!」

 

「宇月さん、なにか思い出した?」

 

「あの時だよ!大怪獣トントン相撲バトルの!」

 

「……そうか思い出した!」


 俺と宇月さんが二人で納得していると、天羽さんと誠一郎は揃って首を傾げた。

 

「実はあの時間、紙相撲のコマ作りに集中してたんだよ。……その時にいつの間にか委員長が決まってたってことだね」

 

 大怪獣トントン相撲バトルとは、宇月さんが急にやろうと言いだした紙相撲の事だ。

 人型じゃなくて怪獣型にしたら面白いでしょと言うので、2人それぞれがマイ怪獣を製作した。……が、両者4足歩行で安定感バッチリな怪獣を生み出したため、いくらトントンしても決着がつくことはなかった。


「そうそう、一生懸命作ったよね……。放課後、私の大怪獣ウヅラが松村くんのツムラを圧倒する予定だったのに。ずっと引き分けだったんだよ」

 

「実はツムラは第二形態があるから、あのとき全力は出し切ってないんだけどね」

 

「いやいや、ウヅラもその気になれば火を吐くんだから。まだまだ本気ではなかったよ」

 

「……お前ら、大事な話のときにそんな事してたのかよ」

  

 俺と宇月さんが腕を組んで懐かしんでいると、誠一郎からごもっともなツッコミが入った。

 

「ま、私はウヅラ製作中もちゃんと話聞いてたんだけどね」


 宇月さんがドヤ顔でこちらを見る。

 ……またか。宇月さんは手元に集中していても、意外と大事な話だけは聞いている。……俺は教えを乞うしかない。


「ごめんなさい。その時の話も教えてください」

 

「もう、仕方ないなぁ〜」


 仕方ないと言いつつ、宇月さんは嬉しそうに話し始めた。


「あの時、学級委員長は立候補で決める事になったんだよ。たしか先生は、委員長はやらされてやるもんじゃない!って言ってたかな」

 

「へぇ〜。じゃあその鈴さん?が立候補したってこと?」

 

「うん、そうなの」


 ……さっきの話によると、鈴さんは大人しいタイプだったはずだ。そんな子がクラスを仕切る委員長なんて立候補したくなるものだろうか?


「まぁその経緯はだな……」


 俺が不思議がっているのを察したのか、誠一郎が話し始めた。


「そもそも俺らのクラスで学級委員長をやりたがる奴なんていなかったんだよ。委員長なんていろんな責任もあって面倒そうって印象だからな」

 

「なるほど、それはそうかも」

 

「それでも佐藤先生は誰かが手を挙げるのを待ってたんだ。心優しい生徒はいないのかーって感じで。……で、皆ガヤガヤヒソヒソと相談し始めたんだが、結局誰も立候補しなくてな。最終的にはあいつが手を挙げて委員長に決まったんだ」


 ずっと誰も手を挙げない中で自分を犠牲にするなんて、想像以上に勇気がいる事だろう。控えめな性格なら尚更だ。

 鈴さん、名前も容姿もピンときていないが、よくできた人なんだな。

 

「そういうことだったんだね。それは怪獣を作ってたのが申し訳なく思えてきたよ」

 

「もうっ、蒼汰くんっ。先生の話はちゃんと聞きなさいっ」

 

「次から気をつけます」


 天羽さんが可愛らしい声でしかってくれた。

 そして宇月さんは、なぜか天羽さんの言葉にウンウンと頷いている。……そっち側だったの?


「明澄もだよっ」

 

「は、はいっ、気をつけますっ」


 よかった。こっち側だった。


 

 「……あ、悪い。手が止まってたわ」

 

 ここで誠一郎がジェンガを自分の番で止めてしまっていた事を思い出し、再びトントンと緩いブロックを探し始めた。


「ねぇ、やっと松村くんも話についてこられた事だしさ、作戦を考えようよ」

 

「作戦って、誠一郎にお願いされた例の件の?」

 

「そうそう!……(i)員長、(so)の可愛いお顔を (mi)せてちょうだい作戦!……略してI・S・M作戦!」

 

 わー。大丈夫かな、この作戦。


「おぉ!なんかイケてる感じがするぜそれ!」

 

「でしょでしょ?」


 ……大丈夫かな、この作戦。

 

 ふと天羽さんの方を見ると、彼女も自分と同じ様な表情をしている。心配しているのは一緒なのだろう。


「それでその作戦って、遠足の日に決行なんだよね?委員長は同じグループじゃないけど大丈夫なの?」

 

「先生に聞いたんだけどね、グループで行動するのは午前中までらしいの。だから、午前中はみんなで頑張って、お昼もみんなで頑張る。それで、午後はそれぞれ各自で頑張る……って感じで頑張ったらどうかな??」


 ……どんだけ頑張ればいいんだ。

 

 ここで、いつの間にかジェンガを成功させていた誠一郎が、爽やかな顔で会話に合流する。


「とりあえず別グループでも攻め続けるって事だな!」

 

「そうそう、仲良くなるチャンスでもあるんだから、攻めるのが大事なの!」


 そう言って宇月さんは、ジェンガのタワーから1つのブロックを引っこ抜いた。


 ガシャーーーンッッ。バラバラッ……。


 ……大丈夫かな、この作戦。

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