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ヒロインが勝負をしかけてきた!  作者: ポット


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第9話 思春期の香りは簡単に洗い流せない

 俺は元々友達が多い方ではない。しかし、イベント事を一人で過ごすなんて事はなかったし、それなりに学校生活を楽しめるだけの友人はいた。

 ただ、友達を作ろうと思って作った経験は無い。というか、普通はいつの間にか仲良くなっているものなのでは……?


 帰宅して風呂に入り、明日からどうしようかと考えながらリビングでくつろいでいると、今日も凛が濡れた髪のままドライヤーを持ってきた。


「お兄、何か考え事してるの〜?」

 

「ああ、遠足のためにクラスで四人グループを作ることになって。あと一人のメンバーをどうしようかなと」

 

「なるほどね〜」


 俺がドライヤーを受け取ると、凛はまた体をクンクンと嗅いできた。


「おお?すでに決まってるメンバーって、美少女が二人でしょ〜?」

 

「……なんでそんな事まで分かるんだよ」

 

「だってお兄から男の子の匂いがしないの」


 ……その言い方はやめてください。


「これまで男子と話す機会が無かったんだよ。だからもう一人のメンバーは男子がいいなって」

 

「そういう事ね〜。『友達 作り方』でググってみたら?」

 

「そんな事したらGoogle先生に心配されるわ」

 

「……あっ、たしか今部活動見学行ってるんでしょ〜?じゃあ一緒に体験とかすれば仲良くなるんじゃないかなぁ?」


 嗅覚が優れているだけあって、割と的確なアドバイスだ。そういえば、既に接触していたとはいえ、天羽さんと仲良くなったのも書道部の部活動体験がキッカケだったし。


「なるほど、何か良さそうな部活探してみようかな」

 

「うん、頑張って。お友達できたらお母さんに報告してあげるから、皆でお祝いしようね〜」

 

「それはやめてください、まじで」



 そして、それから数日後……。登校して教室に入ると、すぐに宇月さんから話しかけられた。


「あ、松村くん!ここ、空けてるから、座って座って」


 宇月さんは、用意しておきましたといった感じで、自分の隣の席をポンポンと叩いた。

 

「ん、どうしたの?……ていうかそこ、そもそも俺の席なんだけど」


「あのね、今日はビッグチャンスなんだよ」


 俺は持っていたカバンを机の横に掛け、よっこいしょと席に座る。

 

「……というと?」

 

「ペン見くんが放課後に部活動見学に行くらしいの」

 

「おお、あのペン見くんが?…………ペン見くんって誰……?」


 そんな奇妙な名前の人、さっぱり心当たりがない。


「んもう、さすが松村くんだよ。クラスにいるでしょ?辺見くん」

 

「たしかに辺見君なら知ってるけど」

 

「辺見くん、ペン回しがすごく得意らしいの。最初クラスでちょっと話題になってたんだよ?SNSにアップしてるペン回し動画の再生回数がすごいって」

 

「なるほど、それでペン見って呼ばれてるのね」 


 名誉なのかよく分からないあだ名だな。そして俺はその話題の事、何も知らない。


「私、動画見たんだけど結構すごかったよ。あれが才能ってやつだねぇ」

 

「ペン回しの才能……はとりあえず試さなくていいか。それで、辺見君はどんな人なの?」

 

「ええと……ペン回しが上手な人だよ!」


 それしか情報ないのね。

 

「そっか、わかったよ。で、その辺見君がなんだっけ?」

 

「そうそう。私の得た情報によるとね、ペン見くんは今日の放課後にバスケ部の見学に行くらしいの。これはチャンスだと思ってね」


 宇月さんが腕を組んでキメ顔をしている。

  

「なるほどね、俺もバスケ部の見学へ行ってみたらどうかって話だね。友達になるために」

 

「よくわかってるじゃ〜ん。まぁ私も行くけどね。男女一緒にやるらしいし。松村くんとフリースロー対決しなきゃだしっ」


 フリースロー対決ならいつでもできそうな気がするけど……?

 

 正直、運動部のガツガツした雰囲気はちょっと苦手だから今まで遠慮していた。でもまぁ、クラスメイトの二人がいるなら行ってみるとするか。


「じゃあ参加してみるよ」

 

「よし決まり!放課後忘れないでね」



 

 放課後、俺と宇月さんは一緒に体育館へ向かった。辺見君は既に教室にはいなかったので、たぶん先に体育館に着いているのだろう。


「よく考えたら私達、体操服持ってきてないよね」

 

「そうだね、これだとほんとに見学で終わりそうな気がするよ」


 体育館への渡り廊下を歩いていくと、ダムダムと騒がしい音が聞こえてきた。宇月さんはまた隠れるように俺の後ろからついてきている。先に行けってことね、はいはい。


「失礼しま〜す」


 体育館の重いドアを開けると、すぐそこでバスケ部の男女がパス練習をしていた。コソコソと二人で入ると、長身の先輩らしき男子がこちらに気付いたようで、ニコニコした顔で駆け寄ってきた。


「君たち、バスケ部の見学に来たのかな?」

 

「はい、そうです。1年の松村と言います。こちらは宇月さんです」


 宇月さんが怯えた顔をしながら頭を下げる。この先輩、近くで見ると大きくてとてもたくましい体をしている。例えるならそう、熊だ。クマさんではない、熊だ。


「よく来てくれたね!今日は男女一緒に活動してるから、是非いろいろ見ていってくれ!」

 

「ありがとうございます」

 

「……ところで二人共、今日は体操服持ってきていないみたいだね。試合に入ってみるのは難しそうだから、とりあえず見学ってことでいいかな?後で簡単なやつだけでも体験していってくれると嬉しいな!」

 

「はい、是非お願いします!」

  

 俺と宇月さんはまず雰囲気に慣れるために、体育館のステージの縁に座って練習を見守る事にした。 

 男女ともに活発で、みんな声を出しながら練習している。さすが運動部という感じだ。この中に辺見君も混ざっているのだろうか……。


「ちょっと松村くん。そんなにキョロキョロして、可愛い子でも探してるの?今日の目的忘れてないよねぇ?」


 宇月さんがこちらを睨んでいる。


「今日は私とフリースロー対決する約束でしょ?女の子探しに来たんじゃないんだからね」

 

「いや……辺見君を探してたんだけど?」

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