第二話
これは、昔話なの。空想かもしれないわ――――。
冗談めいた言い回しに惑わされたのだ。フォルテューナは呆然として言葉を失った。空想なんて、とんでもない。これは真実だ、間違いなく現実にあったこと。
フォルテューナは椅子から立ち上がって床に膝をつく。そして胸に手を当てて、深々と首を垂れた。これは貴族に対する非礼を詫びる姿勢、謝罪の意をこめた最上位の儀礼だ。
「申し訳ありません。無知ゆえに礼を失しましたことを深くお詫び申し上げます」
「まあ、たとえばどのあたりが?」
「お恥ずかしい話ですが知りませんでした。蜘蛛とは聖女様のことだったのですね」
治癒、回復、浄化に結界。血が薄まると同時に失われたとされる偉大な魔法の数々。かつてそれが使える人間のことを聖女と呼んでいた。彼女は黒いベールの影で満足げに微笑んだ。
「ええそう、他国の悪しき心根を持つ人間を欺くために聖女を蜘蛛と言い換えたの。これを知る人間は当時ですら一握りしかいないのよ。知識の失われた今では、まず知る人はいないでしょうね」
「ですが……」
「それに前置きしたけれど、このお話は全部空想かもしれないのよ? あなたは嘘のような私の話に付き合っただけ。謝罪なんて必要ないわ」
「まさかよりにもよって蜘蛛に置き替えるとは思いもよらなくて……」
「あなた、もしかして蜘蛛が苦手かしら?」
「……はい、実は」
「ふふ、正直ね。だからこそ、あえて人々に忌み嫌われる蜘蛛と呼んだ」
それが狙いだったとは。まんまと策にはまったフォルテューナはしょんぼりと項垂れた。彼女はもう一口紅茶を飲んでから軽やかな笑い声を立てた。
「そんなに落ち込まないで、ただ知らなかっただけだもの。それに今ならあの追悼文には別の目的が隠されていることに気がつくでしょう?」
「はい、想像ですが」
「言ってごらんなさい?」
「間違っていたら恥ずかしいのですが、あの追悼文が刻まれているのは全て聖女様のお墓なのですね」
「当たりよ、やるじゃない!」
よかった、当たってて。意外とノリのいい方だから怒られないとは思うけれど、間違っていたら恥ずかしいもの。フォルテューナの予想では、あの追悼文の目的は二つ。ひとつは蜘蛛が聖女だと知る人間に彼女達の墓であることを知らせるため、そして知らない人間には聖女の墓であること隠すためだ。
「この教会の、あの場所に葬られることも決まっていたの。王族の墓のように厳重な警備体制がとられるわけではないから、暴かれるのを防ぐためにもこういう措置は必要だった」
「ではここには他の聖女様のお墓も……!」
「あら、信じてしまっていいの? これも全部、空想かもしれないわよ」
フォルテューナは深いため息をついた。そんな台詞にいまさらだまされると思います?
「そんなことより重要な秘密をアッサリ私にバラしてもいいのですか!」
「あなた、いい人だもの。しかも筋金いりのおせっかい。あんな古びた墓の追悼文なんて誰も読まないのだから放っておけばいいのに、削りましょうかなんて相当お人好しよ? だからね、秘密をバラしても悪さしないと思ったの」
これは完全に目をつけられたわ。しかも悪さするなと釘まで刺された。フォルテューナは頭を抱える。しまった、見た目よりも闇を抱えた怖い人だ。レースの隙間から見えた寂しそうな眼差しに騙されたわ。いろいろやましいところのあるフォルテューナは、尻尾を丸めてそそくさと退散することにした。
「とりあえず削るのはやめておきます。ではそういうことで」
「あら、削ってはダメと言っているわけではないわ」
「え、そうなのですか?」
「さっき言ったでしょう、それだけ時代が過ぎ去ったという証だと。長い時間が経って聖女の力は失われた。つまりもう失われてもいい情報ということよ。下手に残したら、あなたのように誤解する人がまたいるかもしれないし。振り回されたらかわいそうでしょう?」
失われてもいい情報だと、そう判断できるこの方は一体誰だ? そして墓の主であるオリヴィエラ嬢とはどのような関係がある? 困ったな、これ以上彼女の事情に踏み込むつもりはなかったのに。
「とりあえず詳細はお伺いしましたので、当教会の管理者である修道女様にお伝えして、以降必要であれば修道女様からご連絡を……」
「私はオリヴィアというの。仲良くしてちょうだいね!」
「……ああ、どうして名乗ってしまわれるのですか!」
「あらダメだった?」
ダメに決まっている。これでは簡単に逃げられないじゃないか!
「失礼ですが貴族の姓も教えてください」
今、わざと言わなかったですよね。
「言わなきゃダメ?」
「教えてください、しがない平民の精神衛生のために」
「オリヴィア・グレース・セアモンテ」
「ああ、やっぱり王女殿下でしたか……」
膝をついたままフォルテューナは完全に沈黙した。この気品、磨き抜かれた所作。オリヴィアって聞いて嫌な予感がしたのよ! しかもこの感じは確信犯だ、いまさら気がついてどうする!
「あなたのことは素敵なお嬢さんだと聞いてきたの。予想どおりでよかったわ」
「素敵かどうかは個人差がありますが……おそらくマウケーニア王国第二王子妃殿下のご紹介ですね」
「大当たり! ほんと勘が鋭いわね。試すようなことをして悪かったわ。でも私達の立場では相手が信頼できるか見極めが大事なのよ」
でしょうね。ああ、チェチーリア様。たしかに教えていいとは言ったけれど、よりにもよってどうしてこの方なんですか! 格が違いすぎて手のひらで転がされる未来しか見えませんよ!
「とりあえず座ったら?」
ころころと品よく笑ってオリヴィア様は帽子を脱いだ。なんというか、貫禄と美のオーラが半端ないな。渋々椅子に座り直したフォルテューナは頭を抱えて深く息を吐いた。
「王女様がこんな寂れた場所に護衛も付けずにいらっしゃるのはどうかと」
「大丈夫、影が張り付いてるから」
「営業妨害です」
「あら、店の営業許可を取り消すわよ?」
おそろしいこと普通に言ったよ、この人!
「っ、それでお求めの商品はなんでしょうか? 古今東西の珍品から日用品まで、魔道具であれば幅広く取り扱っております。ごく一部ではありますが魔法薬や魔法書のお取扱いもございますよ?」
「あら、買い取りはしていないのかしら?」
「買い取りもしておりますよ。ただ商売なので商品は選ばせていただきますが」
するとオリヴィア様のまとう空気が変わった。
……ああ、愚かな私。好奇心は猫をも殺すという素晴らしい格言があったのを忘れたか?
「愛を買い取ってくださらない?」
やっぱりか、そんな気はしていたんだ。しかもこの口調はお願いベースの命令だ。フォルテューナはため息をついた。しょうがない、愛のためだ。ただそのまえに確認しなければならないことがある。
「それは誰の愛ですか?」
「どうしてそう思うの?」
「オリヴィエラ嬢の墓に花を捧げる理由につながるのではないかと」
「ほんと勘がいいわね、気に入りました」
気に入られてしまった。でも全然うれしくない!
フォルテューナは深々と息を吐いて、話の先を促した。
「まずは私に起きたことを話さねばなりません。ちなみにこれは空想ではなく現実に起きたことです」
オリヴィア・グレース・セアモンテは現王の末娘だ。王太子である長兄クラウディオ、姉が一人いるがすでに他国に嫁いでおり、その下に次兄のロレンツ、そしてオリヴィアがいる。
幼いころから他国との婚約が決まっていた姉と違い、オリヴィアには婚約者がいなかった。他国に年齢のつり合う王子がいなかったことが主な原因だが、父王が聡明で美しいオリヴィアを溺愛しており、なんとなく先送りしていたのもある。とはいえ社交界デビューのときに婚約者がいないというのは、いくらなんでも外聞が悪い。
そこで身分の釣り合いが取れる国内の貴族に降嫁させるという方針で婚約者を決めることになった。それが、十二歳のとき。そしてとある公爵家子息が婚約者に決まったのだが、相手が体調を崩し、若くして亡くなってしまったのだ。婚約者を愛していた王女は深く嘆き悲しみ、公務に差し障ると判断した国は一年の間は喪に服すと発表した。
それ以降、喪が明けても彼女は婚約者の死を悼んで喪服や黒いドレスを選んで着ている。自国では比較的知られている話なので、もちろんフォルテューナの耳にも届いていた。
「つらかったですわね」
「そうね。政略だけれど心通わせていたから余計に悲しかったわ。とはいえ三年も経てばさすがに周囲の反応も変わってくる。喪に服すのは、もう十分だろうと」
そして父王が主導して再び婚約者選びが始まった。
「では今回愛を捨てたいと願うのは、オリヴィア様の亡くなられた婚約者への……」
「いいえ、違うわ」
オリヴィアはきっぱりと言い切った。その口調の強さにフォルテューナは不穏なものを感じ取る。
同じ婚約者選びでも今回は前回とはずいぶんと周囲の環境が違っていた。同じくらいの年齢の人間にはすでに婚約者がいたからだ。すでに成立している婚約に王家の権力で横槍を入れる訳にもいかない。そこで国外にも周知して王女の婚約者を募った。すると予想以上に多くの人間が名乗りをあげたのだ。なぜならオリヴィアは国内外に聡明で愛情深い王女と有名だったから。そして最終的に候補者は二人に絞られた。
一人は農業や畜産が有名な中立国の王弟殿下。
もう一人は最近頭角を現してきた商業国の公爵閣下。
どちらも申し分ない身分ではあるが両名ともにオリヴィアよりも歳は十歳以上離れている。王弟殿下は一度結婚しているが、奥様を病で失い今は独身、子供はいない。そして公爵閣下は前公爵の弟で大人の事情により兄から公爵位を引き継いだ。ちなみにこちらも独身、しかも初婚になる。
両名ともに歳上であるが条件は悪くない。両国との関係も、どちらかを選んだからといって悪くなることもなさそうだ。そうなるとあとは当人同士の相性だけ、初婚であるし若い娘が嫁ぐのだからオリヴィア本人に選ばせよう。そう思った王は両国に提案し、応諾を得た。つまりお見合いで婚約者を決めることになったのだ。
「まあ、王女様をめぐって殿方による一本勝負……ときめきで胸が高鳴ります!」
「ところがそうでもなかったのよ」
「そうなのですか?」
「まあ、別の意味で盛り上がったのだけど」
両国は良いところを知ってもらおうとオリヴィアを自国へ招待した。それぞれが自慢に思う場所で顔合わせさせることにしたのだ。まず、王弟殿下の元を訪れたオリヴィアは、景色が一望できる高台の迎賓館に滞在した。農作物の揺れる様子や小鳥の囀り、絶えず流れる川のせせらぎ。まさに自然の描く絶景に囲まれて王弟殿下と二週間を過ごした。
「国柄と同じくおだやかな気質の方でね。さりげない気遣いもできる紳士だったわ」
贈り物も宝石や服などの贅沢品ではなく、庭に咲く花や、地元でとれた農作物を加工したお菓子や工芸品といったささやかでも心のこもったものばかり。王弟という絶大な権力を持ちながら、贅沢に慣れた傲慢さとは無縁なところに好感が持てた。
「お互いに労わり合いながら家族揃っておだやかに暮らせたら幸せじゃない?」
「素敵じゃないですか、何がいけないのですか?」
「こっちはいいの、もうひとりの方よ」
「ああ、商業国の公爵閣下」
この男こそオリヴィアにとって要注意人物だった。写真を見た段階で気がつかなかったのが悔やまれる。プラチナブロンドの髪に同じ色の瞳。見た目と雰囲気は優しいが、視線は常に周囲を冷静に見渡すような切れ者という雰囲気の男性だ。
「何があったのですか?」
「会った瞬間、既視感があったの。どうしてかなって考えていたら、次の瞬間、相手に耳元で囁かれたわ」
ようやく見つけた、私の蜘蛛。
「続けざまに彼の口がオリヴィエラと動いたところをはっきりと見たわ」
「……、まさかこのときに?」
「そう、記憶が戻ったの。オリヴィエラの……蜘蛛と呼ばれていたころの自分の記憶がね」
なだれ込む記憶に翻弄されて思わず口走った――――旦那様、と。
あのときの彼のうれしそうな顔は今でも忘れられない。
「私が記憶を取り戻したことを相手もわかっているなんて、最悪よ」
オリヴィアは困惑した顔でため息をついた。フォルテューナにも気持ちはわかる。だっていまさらだもの。いまさら何しにきたと問いたい。だがオリヴィアの困惑は、フォルテューナの想像していたものと違っていた。
「他国の格言で百年の恋も冷めるというでしょう? 相手の情けない姿や醜い姿を見たからという理由でね」
「ええ、そういいますが……あたりまえですよね。相手のほうが先にあなたを捨てたのだから」
「そう、それがあたりまえのはずよ」
「……っ、もしかして」
「そのもしかして、よ」
オリヴィアの表情が歪んだ。それは年相応の途方に暮れた少女の顔だ。
「まだ愛しているの。死んだ日、そのままの愛がこの胸の奥に」
嫌いになって死んだわけではないから、その反動だろうか。
「記憶とともに愛情がよみがえった気がするわ。だからまさに死んだタイミングで転生したようなものね」
あのときのことを思えば今も胸の奥が苦しい。こんな自分が気持ち悪いと思うけれど、恋しく思う気持ちは止められなかった。
「だから、あの二週間は地獄そのものだったわ」
表向きは友好国の王女と公爵、波風を立てずに過ごさなくてはならない。ところが二人きりになると、公爵閣下はオリヴィアをオリヴィエラと呼ぶのだ。かつて聞いたことのない甘やかな声でオリヴィエラに愛を囁く。そして旦那様と呼ぶよう懇願されるのだ。まるで失った時間を取り戻すかのように……。
「でも私はオリヴィアよ、オリヴィエラじゃない」
オリヴィアはオリヴィエラであったころの記憶を取り戻している。けれどオリヴィアには、すでにオリヴィアとして暮らした十五年間の蓄積がある。オリヴィエラとは生まれた時代も環境も違う別の人間としての記憶が……。
これぞ悲劇だとフォルテューナは思った。公爵閣下が愛しているのはオリヴィエラで、オリヴィアは自分が愛されないとわかっている。それでも愛することを止められないのだ。これ以上の苦悩があるだろうか。
「だから私は自国に戻って不安に駆られるたびにオリヴィエラの墓に参るのよ。死者に花を捧げ、自分はオリヴィエラとは別人であることを認識する。そのために、どうしてもあの墓が必要だった」
「だからある日突然、墓参りがはじまったのですね。白バラは過去の自分に捧げた」
「白いバラはオリヴィエラの好んだ花よ。今の私は赤が好きだわ」
別人なのだから、趣味趣向だって違って当然だろう。育った環境が全く違うのだからそれが普通だとフォルテューナは思った。だが公爵閣下は、そんなわずかなズレすら許せないらしい。
「さすが商業国よね、見たことのない珍しい品や貴重な品がたくさんあるの。それを見て知るのは面白かったわ。でも、実際に商品を選ぶとなると苦痛なの。なぜだかわかる?」
「公爵閣下は王女殿下の欲しいものではなく、オリヴィエラ嬢の好みに合わせるからでしょうか?」
「そう、そのとおりよ。たとえば今の私は赤のような派手な色が好きなの。でもねオリヴィエラは桃色のような淡い色味が好きだった。だから公爵閣下が選ぶものは全部桃色なの。ドレスも装飾品も、部屋の家具や壁紙まで全部」
桃色が好きなのは見ていたからわかるよ、と。贈り物を捧げながら公爵閣下はオリヴィア様に言ったそうだ。うわー、気持ち悪い。フォルテューナはわかりやすくドン引きした。
「それは……、さすがにちょっと引きますね」
「私も決して桃色が嫌いではなかったの。でもあの二週間のせいで桃色が大嫌いになったわ」
オリヴィアは眉間に皺を寄せる。どちらも自分だけれど、昔の自分と比べられるのは苦痛しかなかった。しかも大抵の場合、生者は死者の思い出には勝てない。
「それでも嫌いになれないの。だから余計に自分が嫌になってしまって」
二週間過ごして戻ってきたあと、心労のせいでオリヴィアは寝込んだそうだ。ようやく回復して、父王にどちらがいいか聞かれてためらいもなく答えた。
王弟殿下に嫁ぎます、と。
「だって公爵閣下に嫁いでも間違いなく幸せになれないでしょう?」
「それは激しく同意します」
「きっと私を囲い込んだら閉じ込めて、オリヴィエラにするつもりなのだわ。あの二週間でよくわかった」
若いけれどしっかりした人だ。情に流されることもなく、未来の自分がどうなるかまで見据えて決めた。この思慮深さと決断力は王が溺愛したというのもうなずける。
「それにね、王弟殿下は別れ際にこうおっしゃってくださったの」
――――過去を無理に忘れる必要はない。思い出に寄り添いながら、新しい関係を二人で築いていこう。
「胸が震えたわ。この方は公爵閣下のように死んだ婚約者なんて忘れろとは言わないのだと」
死者を忘れるのは簡単ではない。それを知るからこそ公爵閣下のオリヴィエラにこだわる気持ちも理解ができる。でも自分はオリヴィエラに囚われているくせに、オリヴィアには忘れろなんて理不尽が過ぎると思うのだ。そう思う時点でオリヴィアの中で答えは出ていた。
「いくら愛があったとしても無理。かつての自分をなぞらえるように生きるなんてできないわ」
オリヴィアは今を生きている。だから王弟殿下と互いを尊重するような人生を共に歩んでいきたい。
「答えは出ているようですね、ではどうして我が店に?」
なんの障害もないじゃない。このまま決まれば数年後には国を挙げて豪華な結婚式を挙げることだろう。国が絡むことだから、本人は何もせずとも周囲が地ならしをしてくれる。もはや道筋は見えているに等しい。
「断りを入れてからすぐに、公爵閣下から会談の申し入れがあったの。国を経由して正式な手順を踏んだものよ」
商談を兼ねており、縁談は流れても遺恨はないというアピールのためだというのが表向きの理由だ。だがフォルテューナは眉根を寄せた。
「それはタイミング的に十中八九、復縁のお願いですね」
「私もそう思うの。会談は侍女や使用人は控えるけれど、話をするのは二人だけの予定よ。何を言い出すかわかったものではないわ。この胸の奥に燻る残火に気づかれたら、あらゆる手を使って落としにくるでしょうね」
そして愛があるからこそ、絶対に流されないという自信もない。
「会談はいつですか?」
「明後日よ」
ずいぶんと急ぐ話だ。もっと前もって打診してくれたら別の手があるものを。フォルテューナは深々と息を吐いた。公爵閣下としては、猶予を与えないことで精神的に断れない状況へ追い込むつもりだったのだろうか?
「私はもう二度と愛の証として命を捧げたくないの」
だから早急にこの愛を買い取ってほしい。
オリヴィア様の悲壮感漂う眼差しがフォルテューナを射抜いた。
さて、どうしよう?




