表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

あらすじ

作者: 花林糖

もっとやさしくしてあげなきゃいけないわね…

「わたし、あらすじを書きたいと思ってるの」


「またいきなり何よ」


「あらすじってかっこよくない?なんかこう、事件の始まりみたいな、冒険の始まりみたいな感じが」


「まあ、たしかにかっこいいわね」


「そうでしょ?だからわたし、あらすじを考えることにしたの」


「あらすじって言ったって、そもそもあんたあらすじを考える物語なんてあるの?」


「ないわ」


「ないのね」


「だからわたし自身のあらすじを考えることにしたの。わたしがこの世に生を受けてから今までをあらすじで語ってあげるわ」


「壮大ね」


「じゃあいくわ」


”時は2006年!わたしは産まれた!何にも分からないわたしはどうなってしまうのか!?”


「どおっ?」


「どうと言われましても…」


「何かが始まりそうじゃない?」


「いやまあ始まったばかりだったけど…」


「おもしろそうでしょ!?」


「ぜんぜんおもしろそうじゃないわ」


「なんで!?」


「そりゃストーリーもなにもないからじゃない。よく思い出してみなさいよ。生まれて始まったで終わってるわよ」


「たしかにそうね…それなら次はどうしたらいいのかしら?」


「次ねぇ…親のことでも入れたらいいんじゃない?」


「そうね…それでいってみるわ…!」


"時は2006年!遊び人の父と自由奔放な母から産まれたわたし!子が産まれても遊び続ける父とずっと家にいない母!何もわからないわたしはただひとり家に残されてしまう…!いったいどうなってしまうのか…!"


「いったいどうなってしまうの…!?というかどうやって生き残ったの…?」


「さあ?」


「さあ?って…人生が一気にハードモードになってるわよ…」


「あのときは一生懸命に泣いた気がするわ」


「それはそうね」


「そしたら…!」


「そしたら…?」


「おばあちゃんが来たみたい」


「よかったわね」


「この子たちちょっと抜けてるところあるから大丈夫かしら?って思ってたら案の定だったらしいわ」


「ちょっとじゃないわね」


「おかげで授業参観日は毎回おばあちゃんが来てくれたわ」


「そういえばそうだったわね…」


「もうそろそろ時間ね」


「もう終わりなのね」


「あんまりずっとしゃべってると飽きてくるもの」


「それもそうね」


「じゃあ最後にもうひとつあらすじを言うわ」


「もうひとつ出すのね」


「じゃあいくわね…!」


”はたしてこの物語は続くのだろうか…!”


「次回が待ち遠しいわね」

ありがとうございましたーー!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ