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この生活を守るためなら無気力な俺と破天荒な妹は全力を尽くします

この世界には多くの種族が共に生活している。

人族、妖精族、獣族、大小人族などなど多すぎて名前も覚えれないが、そんな俺は何族にも所属していない。

元々親が分からないことも関係しているが、俺の身体は自分でも分からないことが多い。

そんな俺には妹がいる訳だが、こいつもこいつで何族か分からない。

説明が遅れたがこの世界には魔法も存在すれば異能も存在する。

魔法と異能で違うところと言えば魔法は妖精族の力を借りて使う能力であり、異能は己の内から湧き出す魔力を源として能力を扱う。

この魔法と異能は体内で共存出来ずどちらかしかはたまたどちらも使えないことが一般的というか当たり前なんだが、俺はまぁ俺たち兄妹はどちらも使えてしまう超特異体質なわけだ。


「にいちゃ、これ、どう?」


「あぁ、似合ってるぞ」


妹は現在多分13歳ぐらいなんだろうが身体の形が安定せずスライム状の時もあれば今日はふわふわのウルフスタイルだ。

まぁ可愛いから良しとする。

俺は人族スタイルが割としょうにあっているので人の姿をしているが妹同様様々な変化が可能だ。どれが自分の姿なのかは分からないが

いつになく外が騒がしい、ここは人里離れた山奥だと言うのに。わざわざ狐の連中のお迎えとは中央師団もご苦労な事だ。

俺たち兄妹は意外にも喉から手が出るほど欲しい存在らしくたまにこうしてお迎えがやってくるのだが、

ドダンッと大きな音を立てカタカタと机の上のコップが揺れ壁にかけてた絵がかたりと傾く。

窓の外には山がふたつに裂かれた様子が見え、煙がもくもくと上がっている。


「にゃはは、僕の勝ち」


いつものごとく妹の圧勝だ。

狐の数はおおよそ10人程度、俺たちを甘く見ている証拠だな。


「にいちゃ!勝った!」


「そうだな、強いなぁお前」


少し赤みがかった茶髪をふわりと撫でると緩む笑顔に自分の表情も緩むのがわかった。

俺たちが生活しているグラトニアは極わずかな人が生活している小規模師団である。

師団は街で組み立てられ、その街に住むにはその師団に所属しなければならないし、もちろん入団試験だってあったりする。

まぁそんな試験なんてするようなところは中央かアキキラのどちらかぐらいか

中央師団は師団の中でもトップ中のトップの強さが1番でなければならないと豪語している師団だ、確かに強ければ強いほどその街には国から期待金と師団金両方が出る。

この期待金欲しさに様々な師団は順位を争っている。

期待金があることないことではあつかいのさがでてしまうからだ。肉や米、水なんかは支給制そこにこの国の汚いところが出ている。金を積めば質のいいものを多く、金がないのなら食べるなそれがこの国のシステム。

ただ、抜け道も存在する。その抜け道が俺たち兄妹なわけだ。

囲い金。国を滅ぼす危険性のあるものを匿い保護し捕らえておくことでこの金が発生する。

この街は小規模師団だが、俺たちを匿うことで囲い金が国から出る。それで街を守っているのだ。

俺たちがこの街に来るきっかけといえばこの街の師団長であるおっさんが関わってくるのだが


「にいちゃ、来た」


「来ちゃった?」


扉の前にはバンダナを頭に巻き白い毛を眉と顎に伸ばしたおっさん


「シトラバ、カリヤ、無事か?」


ニカッと白い歯を見せて笑う。


「無事だよ、アルダリヲ」


ふわふわと妹の頭を撫でながら、俺の前の椅子に座る。

いつもの事だけどこの人暇なの?


「まーた派手にかっ飛ばしたなぁ、カリヤ」


「カリヤはまだ加減知らないから」


アルダリヲは師団の中でも腕利きの魔法使いだ。

奥さんの火合成の妖精の力を借りて能力を発動する。

魔法使いの場合契約する妖精の力量もだいぶ影響するからこの人が強いってよりこの人と伴侶が強いって解釈のがあってんだけど、そんな細かいことは置いとこう


「で、今回はなんの用?」


「あぁ、またややこしい以来なんだが受けてくれるな?」


「それがこの街に居座ってる理由だからね」


「ほんとに助かる、、もううちの師団にゃ俺以外戦えるやつがいないからなぁ」


いつになく項垂れるアルダリヲが気にはなるが


「これが、依頼書だ

森の奥を、ずっと進めばシスラギの泉が存在する。国が所有しているが最近それを盗むやつが出てきたらしくてな国からの依頼だ。」


国から、ね、

まぁ、最近あの辺の気が乱れることが多かったから大方検討はついてたけど


「これ、カリヤいる?」


「どちらでもと言いたいが、ここにカリヤを置いて行くのは賛成できんな」


加減のできないカリヤを残して俺が1人で依頼に行く

そうなればお留守番したことないカリヤが泣きわめき、森だけでなく街まで無くなる。そんなとこだな。


「分かった。連れていくよ、街の平和のためにな」


「心遣い感謝する」


おっさんが頭下げるなんてカリヤお前すげーよ兄ちゃん泣いちゃう。、


「それで、これいつまで?」


「早急にとの事だ」


「今日出発系ね」


「本当に毎回すまないな」


師団長って立場上この人が国とやり取りするわけだけど、だいぶ頑張ってくれてるよなぁ

このおっさんいなきゃ俺たちだって今頃中央師団のいい犬になってただろうしカリヤなんて処分されてる可能性もあるし、そんな申し訳なさそうな顔しなくても兄妹で住まわせてもらえているだけでこっちのが感謝しなきゃって感じなんだけどな

アルダリヲとの出会いは約5年前、国から毎日のように送られてくる狐や狸、式神のせいで身体も心も疲弊しきっていた俺は幼い妹を背中に背負ったまま途方に暮れていた。

物心ついた時から自分の身体がぐにゃぐにゃと変異することも出会った妖精と仲良くしていたら勝手に契約されて魔法使いになっていたことも契約していなくても異能が使えたことも

どれも望んだわけではないし、自分に当てはまる何かを探してずっとさまよっていたのだが、当てはまるはずもなかったのだ。なぜなら俺たちが生まれたのはつゆからだったからだ。この地に生まれしものたちの心がこぼした本音のつゆから生まれたからだ。この世界のあらゆる生命体の心から生まれたから当てはまるものがないのだ。

兄妹だと言いつつも俺たちの身体には血が流れていない。血の繋がりは無いのだ。

気づいたのは雨が降り注ぎながら俺たちの身体を濡らし始めた頃だった。

思い出したかのように頭の中に流れ込んでくる映像に身体の力が抜けた。

背中の妹がずり落ちそうになる。分かっていても身体が動かない。


「おっと、、こんなとこで何してんだ?」


これがアルダリヲとの出会いだ。、

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