2.とある休日の悩み
「んっ、もう、しっかりしなさい。ほんっとにあんた、変なとこばっかり間違えるわよね」
天井を見上げる俺に向かって、隣から呆れたような声が発せられる。
そう、今俺たちは図書館で、定期テストの勉強中だ。
俺たちの学校は月ごとに定期テストがある。
それに備えるために、ふたりで勉強してる。
と言っても、片方が一方的に教えてもらってるだけなんだが。
ちなみに、俺が教えてもらう側だ。
アイツは運動、勉強どっちもできる。
その上同級生からの人気もあると……
どれかひとつくらい、俺に分けて欲しいものだ。
そんな叶いもしない願いを合掌して神に祈る俺に、アイツはため息を漏らす。
「なにやってんのよ。そんなことやってるから、テストが寒いことになるのよ。てか、あんた、平日の小テストとか抜き打ちテストは成績悪くないのに、なんで定期テストだけお寒いことになってんのよ。まったく、気持ちの切り替え、狂ってんじゃないの?」
そう、俺だってしっかりやれば平均ぐらいは取れる。
じゃあ何で定期テストではやらないかって?
それは……
「定期テスト期間が土日をはさむからだよ」
「は? なに言ってんのよ。そこで気持ちが緩むってこと?」
「ったく、もういいよ」
「もー! 相変わらず生意気!」
だって、平日いっつもお前は習い事で忙しいだろうが。それじゃあ、わざと手ぇ抜く意味もねぇよ。今みたいにお前に教えてもらえねぇしな。
と、心の中で俺は長々とつぶやく。
頭はいいのに、こういうことだけ鈍感な幼馴染みに、俺は今日も頭を悩ませる。