鵜方
4月の三重旅行の内容です。
某滋賀在住ヴァーチャル配信者のある動画を視聴し、私は『志摩スペイン村』へ行く計画を立てる。最近よく足を運んでいた大阪より東にあり、1日かけて三重を目指さなければならない。
4月上旬、大阪、鶴橋までフェリーと電車を使って辿り着き、そこから快速列車に乗り換えた。約3時間、窓から見える景色を眺めたり、友人に勧められ購入した『万延元年のフットボール』を読んで過ごした。
田畑の風景が、旅行の彩りを演出している。駅名をアナウンスされても、チリに疎い私は近畿圏のどこか把握出来ず、頭の片隅から消え去った。大和が奈良の地名を指す事だけ理解している。
三重の『鵜方駅』に到着した頃は、すっかり昼間の中程となっており、飲食店探しが難航しそうだ。駅周辺を散策し、白塗りの寂れた商業施設を見つける。
並行世界へ転移したり、屍人が跋扈していない事を願いながら入り、営業していそうな店を探す。2階の喫茶店は昼休憩も無く、まだ営業していた。少し緊張しながらそこへ足を運んだ。
こじんまりとした店内は数人しか客がおらず、とても観光客向けと思えない。店員にメニュー表を渡され、一通り確認した。伊勢うどん玉子丼を組み合わせている『アベック丼』は三重らしい料理だ。
昭和の時代に流行した言葉、アベックは男女の2人組を指す。注文した『アベック丼』の伊勢うどんが予想以上に太く、驚いてしまう。汁はたまり醤油を使っているため、黒い。
それぞれ左右に付いた丼へ盛り付けており、中央に仕切りを設けていた。普段食べているうどんよりコシが無く、一部地域の人間はあまり好まないだろう。
日曜日午後の様式美と化している、競馬中継を見ながら食事した。某ブラウザゲームを嗜んでいない私の食欲を掻き立てる良い番組だ。馬刺しやさいぼしはすりおろしたニンニクとよく合う。
昼食を済ませた私が次に向かう場所は、寿司屋とたい焼き屋を兼業する店だ。やはり、店内で別の競馬中継を流していた。かつて、日曜の午後に、洋画を放送する時代を懐かしく感じてしまう。
キャラメル、チョコ、クリーム味のたい焼きを購入し、早速店の外で食べた。地元のホームセンターからたい焼き屋が撤退してしまい、滅多に食べられない。中の熱された具は味を引き立てている。
しばらく、宿代わりに使うインターネットカフェ探しを行った。スマートフォンの検索で出すマップや案内の看板を頼りに歩くも、重度の方向音痴の私がその恩恵をあまり受けられない。
ようやく見つけたインターカフェは、バッティングセンターと併設されている。周りに目ぼしい場所も無く、早速店内へ入った。地元のインターネットカフェとほぼ変わらない料金の仕組みだ。
まだ余力があった私は作品の最新話を1話だけ執筆し、その後、動画鑑賞を楽しむ。個人ビデオ店やインターネットカフェを利用する事が旅の定番となりつつあった。
自前のブランケットを使い、深夜1時頃に雀の涙程しか無い睡眠を取る。もし、不眠のまま、次の日に活動すると、午後辺りに急な睡魔で、志摩スペイン村を十分楽しめないだろう。
ありふれた街並みを歩く事も旅の醍醐味です。