退院
わたしは長らくこの病院にいるが、久々に嬉しいニュースが飛び込んできた。
術後の経過も問題なく、身体の調子も悪くないとのこと。
顔色、食欲ともに良さそうで、問診に訪れた担当医も驚いていた。
「これなら来週にも退院できそうですね」
医師も自然と笑顔がこぼれる。
ついつられてわたしも笑ってしまった。
「これからは、もっと自分の健康に気を使わないといけませんね」
わたしは来たるべき退院の日に備え、ベッドのまわりを軽く片づけると、
軽く眠りにつくことにした。
数日後、お迎えにやってきた家族とともに、最後の片づけを終わらせると
「記念に」とわたしは一緒に写真を撮ってもらうことにした。
お別れを済ませたあと、彼は退院していった。
わたしはまた軽い眠りにつくことにした。
(すこし・ふしぎシリーズ『退院』 おわり)