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LV ミリオン  作者: ハルヨコイ
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2 LV はじまり

LV はじまり


えーと・・・自分のメールボックスから、ナビゲートIDを探す。

「88pw-str25か。この88pwのコーナーに行けばいいのか。」

運営サイドからのメールを確認して、空中に表示されているナンバーをたどりながら歩き出した。

ダイブしたときよりは体の感覚は慣れてきた。

空中表示の見方、拡大、縮小、検索、チュートリアルなども扱いはたやすかった。

ゲーム画面ではなく、様々な表示が、空中に浮かぶことは不思議な感覚だった。

歩き方も体感で歩いている感覚はあるが、早く歩いていなくても景色のほうが早く流れたり、なぜかゆっくりと急に風景がはっきりするときの差が激しく、やはり現実ではないと実感した。おそらく景色でも、すべてが作りこまれているわけではないため、移動に見せかけて場面が連続するように、脳に意識させられているのだろうなと想像した。


そんなことを考えていると、高神の背後から男が呼びかけてきた。


「よう、あんた。」

最初はそれに気づかず、キョロキョロしながらも、高神は自分のコーナーを目指している。


「よう、あんた。あんただよ、緑のハットを被った冒険者のにいちゃん。ちょっと止まってくれないか?話がある。」

ようやく自分のことと気づいた高神は、立ち止まり、男の方へと振り返った。赤い鎧を装備した騎士風の大きな男だった。

顔はいかめしく、アバターながらも目つきはなんとなく悪く、決して良い第一印象ではない。


俺・・・ですか?


「そう、にいちゃんだよ。緑色のハットっていったら、にいちゃんしかいないだろう?」

高神が自分の頭に手をやると、確かに帽子を被っていた。体感では気づかなかった。さすがは仮想世界である。

帽子を外して見ると確かに、それは緑色で、さらに白金にかがやく何かの鳥のフェザーが1つと、何かの刺繍が施されていた。

そのうえで、再度周りを見渡すと、確かに緑色の帽子をかぶっているのは、彼、高神太陽しかいなかった。


「初めまして…だな。俺は、ゲルドムという。あんたは?」

「あっこれは、ご丁寧に。自分は高神です。初めまして。」

彼はためらわず、お辞儀しながら丁寧に言った。

「コ-ガミ?もしかして・・・それ本名か?」

あっ!と言って、彼は口に手を当てた。


「はははは、まあいいや。あんた、この世界初めてなんだろう?心配だよなあ、いろいろ。」

ゲルドムは馴れ馴れしいが、穏やかに話してくれるため、不安がほぐれ、なんとなく最初の印象よりいい人そうに見えてきた。

話によるとゲルドムも、エピロスの門にいたボランティアのように、ここでボランティアのガイドをしている、ということだった。なぜ彼らがボランティアをするのか、仮想世界を楽しんでいないのか、と不思議に思ったが、まあ人それぞれの楽しみ方なのだな、と彼なりにまとめた。


ゲルドムはこれからの見通しを丁寧に伝えてくれた。

だが、しかし・・・と言ってから、男は徐々に高神の格好をいろいろとチェックしだした。

中でも最初のハットの刺繍、何かの印について、小さな低い声で話し出した。


そう、その印だ。それだ。


えっ、これが何か?

少々不安になった。


「あんた、わかってないようだからさ、それで俺が声かけたんだよ。その印は、魔族の印と言って、魔族の一族を象徴したマークなんだよ。どんな設定したら、最初から、そんなレアなアバターになるのか聞きたいと思ってさ。俺もマジじゃなくて、そんなぶっ飛んだ属性になるように、最初に嘘ついて設定にすればよかったんだが、最初はわけわかんねえから真面目にマニュアルの通りに登録しちまったんだよ。そうかー魔族かー。かあ、面白いぜそりゃー。略奪とか、処刑とかよ。あとまあ男の性っていうか、酒池肉林もできるぜ。お楽しみだな、フヒヒヒ。まあこんな人目の付くとこじゃ言えないことだがな、やりたい放題だぜ。羨ましいなぁー」

ゲルドムはニヤニヤと感じ悪く言った。


「え、そうなんですか?魔族・・・魔族だなんて。」

正直、高神は何になりたい、という気持ちは、ゲームを始めようと思った時から全くなかった。

とにかく、不思議な非日常の世界を探検したり、何もない現実世界の暇な時間をつぶせたり、

または、安全に見ず知らずの人と出会い、できれば気の合う仲間ができ、普段の自分とは異なる、素のありのままを、この世界で表現できればと考えていた。自分の人生観や勉強にもなるかもと意気込んでいたのだが、一転して、それが魔族だなどといわれ、内心動揺は隠せず、大きくショックを受けた。


そんな心の動揺をすぐに見透かしたように、ゲルドムはさらに小声で言った。

「なんか心配なのかなーあんたは?」

「こんなこと言うと何なんだけど…魔族だなんて。ついてない、そう思ってしまって。」

彼は正直に言った。

ありのままに、素直に、それはこの世界に来た時の己のルールだったからだ。


「何がついてないだよ。このセインデリア世界は、ゲームといっても、設定を壊すような行動ができないよう、どんなキャラクターにも縛りがあるように設定されているんだ。つまり、見えない鎖があって、基本的にはがんじがらめの、ぐるぐる巻きになってるのさ。でな、この世界で、自由度が高いっつーキャラクターは、神か天使、魔王か魔族、あとはレベルの高さによるんだが、それは、いわゆる勇者クラス、騎士でもナイトオブナイト、あとは王様になった者なんか、ゲームの中でも優秀で、とびぬけて上位に入った奴らが自由にできる仕組みになっている。いうなら、ゲームの中でも、リアルと同じように格差がありやがるから、まったくやんなるぜ。好き勝手やりたいからゲームだと思うのによ。だから、初期設定で魔族や天使に生まれた、なんてレアなことは滅多にないぜ。落ち込むより、うらやましい限りだ、まったくよぉ!」


ゲルドムは、嫌な言い方をした。


「俺は普通が良かった。レベル上げをしないと、いろんなところに行けないんだったら頑張ろうとは思うけど。そうでなきゃ本当に普通にゲームとして楽しめればいいなと思うよ。」

高神は、なんだかこんな格好でゲーム世界に来てしまって、とがっかりした。

だが、一度始めたことを投げ出せない性格だけに、もうやめようとは思えないため、心の葛藤の末落ち込みは深かった。

「魔族でも普通に他のキャラクターは付き合ってくれないかな?いい魔族とか、魔族から何か転生したりするようなイベントか裏技はないか、とか。そうだ、これから行くナビゲートでなんとか設定を変えられないか、課金してもいいから。」


言ったあとに、彼は、あっ!と言って、慌てて口をつぐんだ。


自分の本名や住所、連絡先などのプライベート情報はもちろん、課金など現実的なキーワードは使わない、というのが、この世界でのエチケットだと、マニュアルに赤字で繰り返し書かれていたからだ。仮想世界といえど、みんなが意識しなければ世界は成り立たない、当然のことだ。

彼はゲルドムに、本名や課金と、マナー違反ばかりしている、だから魔族でも仕方ないかな、と思い直しし出した。


「いいから!あんた、くそ真面目だな。そんなんじゃ、これから楽しめないぜ。これはただのゲーム。ゲームなんだぜ。ゲームだから、そんなに自分を縛ってちゃ意味ないぜ。方法はあるから心配するな。」

「えっ?何かあるんですか?」

「そうだ、別に魔族か魔族じゃないかなんてのは、見かけだけのことさ。あんたのハットと、その印が無けりゃ、誰も魔族設定なんてわからねーよ。可愛い坊や顔のアバターが、まさか魔族だなんて思わないさ。あんたが、たぶんあんたはリアルに忠実に設定したと思うから、姿格好も、おそらくリアルとそう変わりないようになっていると思う。だが、素性が特定されないプログラムが働いているから、若干目鼻立ちが変わっていると思うが、微妙にな。鏡見て、びっくりしないことだな。」

「なるほど。でも印が・・・そうか!このハットを被らないでおけばいいんだ。アイテム袋にいれておくとか。」

ゲルドムはすぐに首をふった。

「基本設定上のアバターの外装は、アイテムではないから、保管はできねーよ。極端に言えば、もし何らかであんたが、その目立つハットをなくしても、いつの間にか装備し直されている。なんせ、外見上の構成を、簡単にほいほいとかえることができるんだったら、ゲーム途中でキャラクターがどんどん変わってしまったりして、なりすましができたり、ややこしいからよ。この世界の大きなストーリーにも影響するかもしれないからだ、きっとな。」


そうか、だめか・・・

そういえば、手にしていたハットが手元からいつの間にか消えており、気づけば、元の頭上に被っている状態になっていた。


「おいおい、方法はあるからっていっただろ。あんたはほんとにくそ真面目だな。いいか、今からいうことは共同作業だぜ。ハットが外せる時間を見ていたが、恐らく7~8分程度。これは多分、ゲーム内でも公式の場というのがあって、その時にそれを外せないと、やはり失礼になるからな。または、戦闘時に激しさを表現したり、環境の条件で風で飛ばされたり、とか理由はいくつかあるんだろう。だが、とにかく7、8分だ。」




高神は、急いで目標のナビゲートルームへと向かった。


〜やったぞ、誰もいない、よし!〜

そう思って、勢いよくドアを開けようとしたとき、背後の肩越しから誰かが、先にドアノブに手をかけられて、彼の気勢を制止させられた。


ちょっ…何だ?ゲルドムか?

彼は振り返った。

後ろにいたのは、ゲルドムではなく、白い仮面を被ったフードの人物だった。


「え、すみません。自分が先だったと思いますが・・・。あなたは後から来たはず。急いでいますので、どうかここは譲ってください。」

そう言ってもフードの人物は、まったく譲る気持ちはないようで、ドアノブから一向に手を離すことはない。


彼は仕方なく、息をついて思い直して、

〜仕方ない、もう一度後からトライしよう〜

どうぞ、と白仮面のフードに場所を譲った。


白仮面は、コクリとうなづき、彼と入れ替わった。だが、そのまま何をするでもなく、ドアの前に立ち続けているだけだった。


しばらくしても、同じくぼんやりと立ち続けているため、もう一度どうぞ、と彼は声をかけた。しかし、何も変わらなかった。

〜なんの嫌がらせだ?もしかして、危ない奴なのか?そうこうしていたらハットが頭に戻るから、そうしたら失敗だと思って、ゲルドムさんがここにやってくるか。そのときに相談してみるか〜


白仮面は、ずっとドアノブを握り続けて、ただただ立ち尽くしている。

〜なんなんだ一体〜

疑問と苛立ちが渦巻いているが、焦っても事が変わらないときに、よく観察するようにするのが彼の特徴だった。

〜身長は・・・俺より低い。肩幅からすると・・・子ども?か、女性か?いや、そもそもアバターだから、そんな推測自体が無意味か。逆に、もしかして上手くアバターが使えず、ドアノブが回せないとか?それだったら彼か彼女、いま逆に困ってなくないか?〜

そう思った矢先、ハットは自動的に彼の頭上に戻ってきた。


「あっ、戻った。」

小さく白仮面が言った。


え?


「だから帽子が戻ってきたのよね。良かったわね。じゃ、お行きなさい。先にどうぞ。今度はわたしがそういうわ。」

白仮面は、特に悪びれず、だがその口調にはまったく嫌味はなかった。むしろ、何か感謝しなければならないような、そんな気持ちにさせた。

そうこうして、どうにも後にも先にも行けないと思っていると、視界に、ゲルドムが見えた。

彼は、白仮面の肩越しから、ゲルドムに向かって手を振り、手招きした。


「およしなさい。あれに関わっては、ろくなことがなくってよ。」

またも、口調はさわやかだが、今度は毒気が混じって聞こえた。むしろ、ゲルドムを軽蔑しているような印象だ。

「ふー、あなたわかっていないわね。あれは、あの人は、あなたをだまそうとしたのよ。」

「えっ?なぜ?」

「わからない?うーん、そうね。まっわからないから、大事な帽子を、そう、それ渡しちゃったんだよね。あぶないとこだったのよ。わかる? あっそうか、わからないから簡単に渡しちゃったんだものね。なんだか、わたし同じことばっか言ってる。馬鹿な子だな、って今思った?」

白仮面だが、その口調や態度から仮面越しに、十代か二十代くらいの若い女性のような印象をのぞかせたため、彼は一瞬ドキッとした。

質問に対して、彼は首を振った。


「なら、いいわ。じゃあお行きなさいよ。とにかくセーフだったから。」

「ごめん。」

「いいのよ、気にしなくても。お礼なんていらないから。」

仮面越しに、なにかコロコロと笑顔で、悪びれずに笑っているように見えた。

「い、いやそうじゃなくて。先に行くのはいいんだけど、あそこの人に、ゲルドムさんというんだけど、あいさつしていかないと。気持ちはありがたいけど・・・。だから、ごめんなさい。」

高神がそういうと、一瞬で空気がかわったように感じた。

白仮面が怒っている・・・ように見えた。

沈黙が続いた。


「あの、だからさ。君の好意はありがたいけれど・・・」

というが早いか、彼女は切り返した。

「あのさ、人が親切で言ってることわからないの? わかるように言ってないこっちが悪いんだけど、もう!じゃあ、あの人とわたしと、どっちが信じられる?」


彼は、かたや最初は悪い印象で親切にいろいろと教えてくれたゲルドムと、まったくわけのわからない、しかも説明のできない、顔の見えない白仮面とを見比べた。

最終結果からいえば・・・

と前置きしてから、発表しようとしたとき、それを遮り


もちろん、わたしですよね? と、白仮面は胸を張った。


「いや、その、君には悪いけど・・・」

「だから、わ・た・し、わたしでしょ。」

「なんでかな?」

二人の空気は再度固まった。


「えー!もしかして、あれ? あれっていおうとしたの? あっちのドムドムにしようと?」

「い、いや、ゲルドムさんだし。」

ちょっと言い返した・・・が、白仮面は続けた。


「いい? あっちは、いかつい騎士で、なおかつ怪しいじゃない?これが一点目。」

自信たっぷりであるが、根拠は薄い、とすぐに彼は思った。

「次!こんな始まりの場所に、すでに登録を終えた人がいつまでもいる、ってのがおかしいじゃない?」

エピロスの門にもいたので、うーん根拠がないな、とさらに思った。

「最後に!あいつは帽子を預かり、いいえ、あなたから巻き上げ、わたしは戻ってきたことを確かめて、あなたを先に進めようとした。」

それは、何か根拠になるかも・・・彼は思った。


「この帽子は、緑のハットは何か意味があるのかな?」


白仮面は、一瞬、口ごもった。だが、何か手探るような回答をした。

「それは、それは、うーんいえないわ。でも大切な帽子よ。間違いないわ。」

「なぜ?」

「うーん・・・言ってもいいけれど・・・でも・・・。」

「らしくない!」

「えっ?」

「らしくない、って言ったんだ。」

「な、なにが?」

「君はそんなキャラじゃないじゃないか。謎のキャラクター、か、それともNPCなのか?」

「な、な、な、なに言ってのよ! プログラムじゃないわよ! 失礼よ!」

白仮面は腕組みして、反対を向いた。ツンデレキャラのように見えて、何かかわいらしい気がした。


「おもしろくなくなるじゃない!」

「なんのこと?」

「だから、それを聞いたら、せっかくあなたのゲームの大事な核っていうか、たいせつなキーポイントだから、自分で感じるほうがいいと思の。だから・・・。」


~ あっそうなのか。この子?この子は、俺にキャラクターがなんなのか、教えられるけど、それをしてしまうと俺が楽しくないからと思って、だから説明できなくて、というか説明しないようにしてくれたんだ ~


信じるよ。


はっ? だから信じなさいよ、このわたしを。


うん、だから、君のほうを信じるから。


だ・か・ら! えっ? あっ、いいのか。それでいいの。そうしてください。お願いします。


ああ、ごめん。そうするよ。違ってても。


なに? 疑っているけど、まあいいや、めんどくさいからってこと?


いや違うよ。根拠はわからなかったけど、でも君のほうが、あのいかついおっさんより、ずっとずっとかわいいなって、思っただけだよ。


か、か、か、かわいい? ちょっ、ちょっと何それ。顔ばれてる系? これ? 仮面してないの、わたし?

あわてて、彼女は仮面を確認した。仮面は確かにはまっていて、それを感じて、彼女はやっと落ち着いた。


そういう意味じゃないよ。顔とかじゃなくて、なんか、君は正直で、素直で、たぶんほんとは優しいんだけど、うまく説明するのが苦手とか。だから、かわいいと思った。


白仮面は、あきれたように返した。

「何いってるのか、さっぱりなんですけど。だけど、わかってくれたらいいのよ。あの人ゲルゲロ?は、こっちには絶対に来ないでしょ。あなたが、あっちに行くのを待ってるのよ、見て。」

ゲルドムだが…わざとか。そんなに嫌なんだ・・・と思いつつも、確かに距離にして拡大視しないと見えないぐらいの遠い距離に立ち止まっている。さっきの場所から動いていないようだ。


なぜかわかる?

彼にわかるはずもなかった。


答えは、このエリアが監視エリアなのよ。


監視エリア?


そう。運営側がモニターを継続して、異常をおこさせないようにしているエリアってこと。


なんで?


なんでって、重要だからよ。


だから・・・


「もお! わからないの? アバターの設定を変更できる場所なのよ。ここに何か細工が入ったら、自由にアバターを変化させて、悪いことする人がでるかもしれないじゃない。だから、そんなキーポイントになる場所は、すべて監視エリアなの。監視エリアかどうかは、ほら、ここにpwってつくエリアなの。」


IDを思い出して、彼は納得した。そして、白仮面に経緯を説明した。

すると、また白仮面は固まった。ほんとに怒っているように見えた。

だが、彼にしては、それは怖いというよりも、なにか頼もしさや信頼感につながった。


「あのね、外装は確かに、これもアバターの一部なんだけれど、でも他人の手にある時では、実はアイテム化して実体として、一時置き換えられるの。多分なんだけど、ナビゲートルームにあなたが入って、そして、外装上の不具合として、あなたのアバターが見えたとしたら、どうなると思う?」


「えーと、わからないけど、注意されるとか?」


「馬鹿ね。プログラムは注意なんかしないのよ。たぶん、リペアして、帽子を戻して、設定を終えるんじゃない? 」


で?


「でっていうか、わからないの? 残ったあなたの本来の帽子は? どうなると思う?」

「うーんなくなるのかな?」

「ふだから、そうじゃないのよ。一時的にしろ、存在が確定していたら、完全にそれはそこに実体化しているのよ。同じものになるかはわからないけど。いわゆるバグったことになるわね。」


バグ・・・ウィルスになるのかな?


「まあそうね。バグは、何にもならないものもあれば、一つ間違えば、開いてはいけない扉が開いてしまったり、魔王クラス、絶対不可侵のドラゴンを倒せてしまったり、するかもしれないわ。なんでも、最終兵器として集めているっていう悪いパーティーもあるとか・・・あくまでネットの噂だけど。でも、なんだかあなたと、あのゴムゴムを見ていたら、きっと騙されているわ、って思ったら、やっぱり帽子を渡したじゃない。だから、あわてて追いかけてきて、帽子なく、設定のナビゲートルームに入らないようにしてたの。」

































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