13話 不老不死研究の残骸
14本の準亜神剣『クリムゾン・ブルート』攻撃はオレ自身の予想すら超えるほど甚大な被害を叩き出した。
お陰で森に張り巡らされた多数のトラップ、防御結界、改造された魔物の群、細く強固に作られた塔など――丸ごと問答無用で吹き飛ばしてしまった。
しかし『スキル創造』で『非殺傷』と『異相結界』を作製し、使用したお陰で誰1人死なず、建物一つ、地形も変えずにシローネ親子を無力化することに成功したのだ。
本当にスキル『非殺傷』と『異相結界』を創り出し、身に付けておいてよかった。
森を元に戻した後は、行く手を阻む罠、結界、魔物達も居ない森の中を散歩のノリで塔まで移動する。
塔に到着後、扉を破壊し中へ入ると、リビングらしき部屋に見覚えの有る男、スキル剣聖を持つアビスと、彼の顔立ち、雰囲気が似ている中年の女性が床に倒れ意識を失っていた。
彼女が大魔術師ネークア・シローネだろう。
2人に『隷属の首輪』を付けて例外的に相手の任意を得ず強制的に隷属する。
この『強制隷属』は、国からの許可を取らず違法でやった場合、重大な犯罪行為として『スキル創造』者であるオレやアイスバーグ帝国皇女のアリスですら罪に問われ罰せられる。
『強制隷属』かどうかの判別も容易いため、本来は滅多におこなわれない行為だ。
本来、このようなマネをすべきではないが、強力なスキルを持つ凶悪犯罪者を拘束する方法がこの手しかない以上、必要なことだ。
今回は当然だがしっかりと法に則って許可を得て、『強制隷属』をおこなっていることを宣言する。
アビス達に『隷属の首輪』を嵌めた後、逃走させないように手足も縛り、身に付けている武器の類も奪っておく。
「さてシローネ親子の拘束はこれでいいとして……気配的には予想通り地下か……」
この手の外道共が、異形兵士や改造子供達を派兵させた数のみ――とは考え辛かった。
絶対に人質や攻撃人員としてどこか(恐らく地下室だろう)に捕らえていると予想していた。
まさか本当にまだ居たとは……。
「アリス達は塔の部屋を上から順番に見て回ってまだ隠れている、気絶している者達がいないかチェックしてくれ。レムはこのまま2人が逃げないようゴーレムで見張りを頼む」
「やー、わん」
レムはすぐさま返事をしたが、アリスとキリリは黙り込みすぐには口を開かなかった。
「……シュート様、自分も一緒に地下室を見て回る」
「何でもかんでも1人で背負い込まなくてもいいんですよ? 私達だって冒険者として色々キツイ、エグイモノは多々見てきたんですから」
2人にはオレの気遣いを見抜かれたらしい。
『不老不死』を研究するマッド魔術師の地下研究施設なのだ。
正視に耐えないモノがあると簡単に予想が付く。
そんな地下室に連れていく訳にはいかず、オレが泥を被るつもりでいたのだ。
オレは2人の気遣いに頬を緩ませる。
「ありがとうアリス、キリリ。でも大丈夫だ。オレは一応男だからな。こういう仕事は率先して引き受けないと。それに塔の上部にまだ気絶している奴がいて、目を覚まして暴れられるより先に拘束しておいた方がいいから。効率を考えても二手に分かれるべきだ」
塔上部だけではない。
地下にも言えることだが、シローネ親子一味がまだ気絶しているかもしれない。
その手の輩が目を覚ます前にさっさと拘束しておくに限る。
二手に分かれるのが最も効率がいいのだ。
オレの指摘に2人は流石に納得する
これ以上、話し合いをして時間を無駄にしたら意味がないと理解しているからだ。
そしてオレ達は塔の上部、地下に分かれ他にシローネ親子一味が居ないかの確認をおこなった。
☆ ☆ ☆
結論から言うと……本当にアリス、レム、キリリを地下室に連れてこなくてよかった。
「胸くそ悪いにもほどがあるだろう……」
大人の異形兵士をより強化するためか、『不老不死』の研究を進めるためか生きている魔物に人の首を移植する実験がおこなわれていた。
他にも魔物に人の各部などを移植する研究などもおこなわれた痕跡が多数存在していた。
子供達も地下牢に押し込められ、研究材料の一部扱いされている。
飲食も碌に与えられず、一部は餓死寸前に陥っていた。
一部大人は助けられず慈悲を与えるしかできなかったが、子供達は全員衰弱や改造はされているが命に別状はない。
不幸中の幸いと言ってもいいのだろうか?
子供達を地下から助け出し、地上へと上げる。
周囲をレムとゴーレムに見張らせ、土城壁で防壁を作り、その内側で料理を食べさせた。
大人、子供達の一部は気絶させて時間停止をさせなければならない者達が居た。
彼ら彼女達は今すぐは無理だが、出来る限り早く『スキル創造』で体を治すスキルを必ず開発し治癒する。絶対にだ。
塔のチェックを一通り終わらせて、野外の相手をアリス達に任せる。
オレは未だリビングに転がり気絶しているシローネ親子に向き直った。
ここからはお仕置き&お話の時間だ。
一般人、子供達には見せられない。
オレはスキル『水魔法LV8』で気絶している2人に水をぶっかける。
「わっぷう!?」
「ぷぁあ!?」
シローネ親子は突然、頭から水をぶっかけられたせいで流石に目を覚ます。
最初、なぜ自分達が床に転がされ、手足を拘束されているかが理解できず目を白黒させていた。
アビスがようやく目の前に立つ、オレの存在に気付き短い悲鳴を漏らす。
「ひぃっ! しゅ、シュート!? ど、どうして貴様が僕ちゃんの前に居るんだよ!?」
「貴方がアビスちゃんに恥を掻かせたシュートって小僧なのね……」
頭から水をかけられ化粧が一部落ち、皺が見え隠れするアビス母、スキル『大魔術師』ネークア・シローネが下から睨みつけてくる。
可愛い息子に恥を掻かせたオレに対して怒っているのだろう。
しかし、今回ばかりはオレの方が腹を立てている。
「アビス……決闘で戦う前に約束したよな。『オレが勝ったら、二度とオレ達関係者に関わらない』って。なのにどうして約束を破った上、勇者教やエルエフ王国なんかを巻き込んでオレに戦争を仕掛けてきたんだ……?」
「ひぃ、ひぃいぃ……ッ」
オレの威圧+アビスは決闘時の記憶を思い出し、悲鳴を上げ震え上がる。
一方、母親のネークアは、
「黙りなさい、下郎! 世界の至宝たるスキル『剣聖』、スキル『大魔術師』を持つアビスちゃんとわたくしにこんなマネをして許されると思っているの! だいたい決闘も空気を読んで貴方がさっさと負けていればこんな大事にならなかったのに! アビスちゃんを責める前に自身の行いを恥じなさい!」
彼女が口にした内容は滅茶苦茶な理論だったが本人的には正論らしく、『自分達は一切恥じることはしていない』と顔に書かれていた。
とはいえ、彼女の台詞に納得は出来ないが、根拠を支える骨子の存在を把握することは出来た。
その骨子は自分達がスキル『剣聖』、『大魔術師』だということだ。
勇者教が認めるスキル『剣聖』、『大魔術師』持ちなら、何をしてもいいというのが彼女達の理論である。
ならその理論を根底から覆してやろう。
「アビスが約束を破り、戦争をしかけてきたのは許されないが――それ以上にオレが腹を立てているのは、人を、人間を老若男女問わず実験動物扱いしたことだ。本当に気分が悪くなるマネをしやがって……ッ!」
「? それの何が問題なのよ! スキル『剣聖』、『大魔術師』持ちであるわたくし達の役に立てるのよ! 喜ぶことはあれど悲しむ必要なんてどこにあるのよ!」
「スキル『剣聖』、『大魔術師』持ちなら何をしてもいいのか……そうか……ならその2つをオマエ達から剥奪してやろう」
オレは床に倒れている2人の頭を両手で無理矢理押さえつける。
「は、離せ! な、何をするつもりだ!」
「わ、わたくし達をこ、殺そうというの! 馬鹿なマネは止めなさい! 世界の損失だわ!」
親子がぎゃあぎゃあ喚くが気にせず無視してスキルを使用する。
『ドラゴンの牙』におこなったように力を振るう。
「鬼畜外道をおこなった罰を与える。これを持って自身の行いを悔いろ……スキル『スキル剥奪』!」
スキルマスターを読んでくださってありがとうございます!
ついにシローネ親子確保!
当然、スキルを剥奪するに決まっていますよね(暗黒微笑)。
さらに次話で追い打ちをかけるので是非お楽しみに!
また先日『【連載版】信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』をアップさせて頂きました!
本日も2話連続でアップする予定です。
詳しくは作者欄をクリックして飛べる作品一覧にある『【連載版】信じていた仲間達~』をチェックして頂ければと思います。
これからも頑張って書いていきたいと思いますので、是非チェックして頂けると嬉しいです!
では最後に――【明鏡からのお願い】
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