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10話 北の魔女へ

『オリーム王国軍+α』との戦いは、それほど時間がかからず終決する。


 最も人数が多いオリーム王国軍については最初からやる気ゼロだったのと、上手く『土魔法LV8』の土城壁(アース・キャステル)で隔離できたのと、キリリが責任者と対話して降伏させたのが大きかった。


 異形兵士達に関してアリス、レムが相手にしてくれたお陰でオレは楽が出来た。


 本命の子供達も無事に全員を無力化。

 変化した約30人の子供達が、『時間操作LV7』で時間を停止され倒れている光景はなかなか壮絶である。


 またアリス&レムが倒した異形兵士達も集めて、『時間操作LV7』で時間を停止させた。

 人数も多く途中で内部に入れられた自爆魔石がいつ起動するかと冷や冷やしたが、なんとか全員を無力化したことに安堵する。


 早速、子供達&異形兵士達を元に戻すためのスキル研究をしたいところだが、まだ最後に本命が残っている。

 オレは思わず指を『ベキボキ』と鳴らし、北へと視線を向ける。


「さて――たまたま偶然、北へ旅行途中で奇妙な怪物達に襲われたり、道に迷ってこんな所まで来てしまっていた見知らぬ団体さんと出会ってしまうなんて本当に今日はついていないな」

「はい、本当に今日はツイていない日でしたね。私達はさらに偶然にも近くを通りかかったアイスバーグ帝国の治安維持隊に任せて北へ向けて改めて旅行に行きましょうか。ねぇ、姫様、レム様」

「……旅行、楽しみ」

「レム、りょこう、たのしみ」


 オレ達は既に土城壁(アース・キャステル)から解放したオリーム王国軍兵士達にわざと聞こえるように声をあげて棒読み台詞を告げる。

 別に巫山戯ている訳ではない。


 先程までの戦闘は別に戦争行為ではない。

 オレ達がたまたま北へ向かって旅行をしていると、見知らぬ怪物達に襲われて撃退。

 さらに運悪く道に迷って南下してきたオリーム王国軍と鉢合わせしたに過ぎないのだ。


『勇者教、エルエフ王国、オリーム王国の3つが宣戦布告』。


 厄介なのは勇者教が『聖戦』を発令するかもしれないと脅してきている点だ。

 実際に発令されたら厄介なんてレベルじゃない。


 しかし今日、オレ達が出会ったのは謎の怪物達&見知らぬ団体だけだ。

 この世界のスタンダード宗教の『勇者教』が、まさか子供を怪物に変化させて嗾ける外道なマネをする筈がない。

 それにオレ達が戦い、撃退したのは見知らぬ怪物達のみ。

 つまり、オレ達は未だに『勇者教、エルエフ王国、オリーム王国の3つが宣戦布告』する軍隊などに出会っていないのだ。


 出会っていないのなら、戦うことも出来ないのだからしかたがない。


 戦っていないのだから、『聖戦』を発令する理由もないはずだ。

 だって戦っていないんだから。


 ――やや強引だが、そんな理由で『聖戦』の発令を誤魔化す算段を立てた。正直、苦しいがやらないよりはマシである。


 またこの場に残されるオリーム王国軍は、のちほど到着するアイスバーグ帝国治安維持隊に身柄を預けられる。

 預けられると言っても、誰1人危害を加えるつもりはない。

 体を休めてもらって、帰りの物資が不足しているならオレのポケットマネーで融通し帰国してもらう手筈になっている。

 この件の話し合いは土城壁(アース・キャステル)でオリーム王国軍を囲んでいる際、キリリに一任していた。

 彼女はスムーズに責任者と話し合いをおこない安全に帰国してもらう手筈を整えたのだ。


 オレやアリス、レムでは出来ない手際である。

 まさに適材適所だろう。


 上空に魔法を撃ち合図を送ると、アイスバーグ帝国治安維持隊が姿を現す。

 彼らに時間停止させた子供達、異形兵士をダンジョン都市『ノーゼル』まで輸送を依頼済みだ。

 またオリーム王国軍トップと問題なく、安全保障の確認をし終えたのを見届けてからオレ達はさらに北へと向かう。


 目指すは『北の魔女』――大魔術師と剣聖アビスが居る森だ。


 もちろん徒歩や馬車で向かうには時間がかかるため『転移』でさっさと移動する予定である。

 その際、アリス、レム、キリリを安全上のため抱きしめて移動しなければならないのだが、大勢の人が居る前では恥ずかしい。


 なのでまずアイスバーグ帝国治安維持隊やオリーム王国軍の目がない場所まで移動する。


「それじゃアリスは右腕に、キリリは左腕で抱き上げるから。レムはアリスが抱きしめておいてくれ」

「……わ、分かった。レム、ぎゅーとしよう」

「ぎゅー」


 アリスはオレに抱きしめられるのが恥ずかしかったのかどもってしまう。

 レムはマイペースにアリスにギュッと抱きついた。


「ではシュート様、失礼しますね」


 キリリは2回目のため、アリスに比べると余裕の態度で左から抱きついてきた。


 オレは3人の重みを感じつつ、上空へ移動しても落ちないことを確認する。


「それじゃ行くぞ『転移』!」


 アリス達が分かり易く声をあげる。


 一瞬で、上空へと『転移』した。


 オレ達はそのまま『北の魔女』が住む森へと一路向かったのだった。


スキルマスターを読んでくださってありがとうございます!

建前、誤魔化しって大事ですよね。特に国際社会では。

シュート達がたまたま北上し、偶然、異形兵士達に襲われたので、偶然倒しただけから!

とまあそんな感じで戦闘部分終了後と出発前部分を書かせて頂きました。

そして次話で再び剣聖&大魔術師親子が登場します!

是非お楽しみに!


また先日『【連載版】信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』をアップさせて頂きました!


本日も2話連続でアップする予定です。

詳しくは作者欄をクリックして飛べる作品一覧にある『【連載版】信じていた仲間達~』をチェックして頂ければと思います。

これからも頑張って書いていきたいと思いますので、是非チェックして頂けると嬉しいです!


では最後に――【明鏡からのお願い】

『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。


感想もお待ちしております。


今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!


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