表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/90

6話 金額は?

 あの後、騒ぎを聞きつけた勇者教騎士団がアビスと合流した。

 どうやらアビスがオレ達を発見した後、護衛である騎士団に一言も告げず抜け出したため、彼らは慌てて探していたようだ。

 護衛なら護衛でしっかり最後まで見張っていて欲しかった。


『スキル創造』所有者と剣聖アビスが決闘すると知り、その場に居た全員が顔色を青くしていたのが印象的だ。

 アビスが勇者教騎士団に引き取られた後、オレ達もレストランで食事をする雰囲気ではないためすぐに離れに引き返した。


 その後――オレvs剣聖アビスの決闘はすぐさま全世界に広まった。


 自分達の宣言を無視して、『スキル創造』所有者に接触しスキルオーブ製作を依頼した剣聖に対してアイスバーグ帝国は正式に抗議。

 勇者教も『いつか訪れるかもしれない人類存亡の危機を救う協力をしない、彼を囲い込む帝国に遺憾の意を表明する』と発表し対抗した。


 互いにメンツがあるため当然の流れだ。


 とはいえ片や世界の3割を支配する大国。

 片や最も広がっている宗教の総本山国家。

 正面から激突した場合、お互いただではすまず、周辺国も甚大な被害を被る。

 結局、アビスが提案した『決闘によって決着を付ける』という流れに落ち着くのだった。




 昼間の暖かな日差しが地上へ降り注ぐ。

 いつも訓練などに使っている裏庭に設置されたテーブルと椅子に座りアリス、キリリと向き合う。

 テーブルの上にいくつものスキルオーブを置いた。


 アリスはいつも通りだが、キリリが緊張した面持ちで喉を鳴らす。


「し、シュート様、これって……」

「見て分かる通りオレが創ったスキルオーブだ。2人にはこのスキルオーブを使って自身を強化して欲しい」


 テーブルにはアリス、キリリに合わせて創ったスキルオーブが並べられる。


 アリスには『騎士LV1』、『剣術LV1』、『格闘LV1』、『怪力LV1』、『気配遮断LV1』、『隠密LV1』、『気配察知LV1』、『健脚LV1』、『逃走LV1』、『韋駄天LV1』、『HP強化LV1』、『回復LV1』、『魔力耐性LV1』、『物理耐性LV1』、『精神耐性LV1』、『スキル経験値増大』、『LV経験値増大』。


 キリリには『光魔法LV1』、『風魔法LV1』、『土魔法LV1』、『闇魔法LV1』、『気配遮断LV1』、『隠密LV1』、『気配察知LV1』、『健脚LV1』、『逃走LV1』、『韋駄天LV1』、『HP強化LV1』、『身体強化LV1』、『頑強LV1』、『回復LV1』、『超回復LV1』、『MP回復速度LV1』、『攻撃魔法強化LV1』、『魔力耐性LV1』、『物理耐性LV1』、『精神耐性LV1』、『スキル経験値増大』、『LV経験値増大』、『直感LV1』、『アイテムボックスLV1』、『魔力ボックスLV1』。


 以上だ。


 アリスに比べてステータスの低い&一通りの魔法を覚えさせるため、キリリの方がスキルオーブの数が多い。

 ちなみに彼女の現在のステータスはこんな感じだ。




 名前:キリリ・マルチネル

 年齢:14歳

 種族:ヒューマン

 状態:正常

 LV:45

 体力(HP) :450/450

 魔力(MP) :500/500

 筋力(STR):35

 耐久(VIT):30

 敏捷(AGI):20

 知力(INT):60

 器用(DEX):15

 スキル:『魔眼』『鑑定LV6』『火魔法LV6』『水魔法LV6』『MP強化LV5』

 称号:帝国3女の従者(帝国1の苦労人)




 まさに『魔術師』といったステータスとスキル構成である。

 気になるのは『魔眼』だが……。

 オレの人類最高峰である『鑑定LV9』を使えば、詳細を把握するのは難しくない。

 しかし大げさな眼帯で隠しているのを見る限り、あまり触れられたくない部分なのだろう。

 パワーバランスを崩すようなスキルならばともかく、他者の秘密を暴く力があるからと言って無闇矢鱈に鑑定を使うのは間違っている。

 なので下手に触れず、オレは『魔眼』の詳細をスルーした。


 話を戻す。


 オレのオリジナルスキル『魔力ボックス』も入っているため、もしこれらスキルオーブの合計を金銭に換算すると……正直金額の値段が付かない天文学レベルになるだろう。

 仮に『魔力ボックス』が無くても天文学的な金額が付く。なぜならこの異世界、王侯貴族含めてこれだけ稀少なスキルオーブが目の前に並べられることなどないからだ。

 まさに『スキル創造』所有者の面目躍如である。

 だからと言って、彼女達に金を請求するつもりは微塵もない。


 理由を説明する。

 剣聖アビスとの決闘はいいとして……今回の一件で2人を危険にさらしてしまった。

 2人のLV、ステータスはかなり上の方ではあるが現時点では上には上がおり、絶対ではない。

 色々お世話になっている2人が、命を落とす姿など見たくない。オレの精神的安定のためにも受け取って欲しい――と説明するが、


「……受け取れない。自分達の身を案じてくれるのは嬉しいけど、大恩を返すためにも賢者シュート様の安全が全てに優先される」


『変装スキル』を提示した際も、すぐに断られた。

 理由として『……自分がスキルオーブを頂いたら、賢者様の奴隷になってスキルを得ようと帝国貴族達が娘や孫娘なんかを送ってくる。自分にはスキルオーブを贈って、なぜ自分達の娘や孫娘は駄目なのかと騒ぎ出すのが目に見えている。そういう隙を生み出さないためにも、スキルオーブは必要ない』とのことだった。


 オレとしても隙を与えて、延々とスキルオーブを作り続ける口実など与えたくない。

 なので前回は直ぐに引いたが、今回はアリスとキリリの安全に関わる問題だ。


 アイスバーグ帝国建国の父とも言える『スキル創造』所有者の遺言に従いアリスは、オレに対してやや過度な忠義を示している。

 キリリも口では文句を言いつつも、主君であるアリスに忠誠を捧げているため彼女の意見に従う傾向が強い。

 故にオレの安全を第一に考え、自分達のことは二の次にする。

 その気持ち自体は非常に嬉しいのだが、先程も説明した通り2人には世話になっているから死んで欲しくない。


(素直に要求を飲んで欲しかったが……まぁ予想通りだな)


 スキル関係だけは頑なのは簡単に予想できていた。

 なので大人しく引き下がる演技をしつつ、事前に考えていた台詞を口にする。


「……了解。今回の一件は大人しく引くよ。代わりと言ってはなんだが……剣聖との勝負でオレが勝ったら一つだけお願いを聞いてくれないか?」

「……? 賢者シュート様が当然勝つ。何よりお願いなんて使わず、言ってくれれば実行する。だから遠慮無く言って欲しい」

「アリスにそこまで信じてもらえて嬉しいよ。でも万が一ってこともあるし、何よりご褒美があった方が燃えるだろ?」

「……賢者シュート様のやる気が出るなら良いこと。お願いを聞く」

「ありがとう、アリス。受け入れてくれて」


 よし! これで言質は取った。

 後は剣聖アビスに勝利して、この約束を楯にスキルオーブを押しつけることが出来る。

 問題があるとするならオレが剣聖アビスに勝利しなければならないことだが……。


 次の話し合いは『対剣聖アビス』についてだった。


前書きにも書いた通り、皆様にご好評だったので4つ(4、5、6、7話)を12時、14時、16時、18時に連続でアップします。読んでくださったみなさま、本当にありがとうございます!


次の7話は18時にアップする予定なので是非チェックして頂けると嬉しいです。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] はいはい 3割3割 もうちょっと表現の幅増やしたら?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ