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8話 vsオリーム王国軍+α

 オレとアリス、レム、キリリは周到に準備を終えるとダンジョン都市『ノーゼル』を出発する。

 北上して目指すは街道沿いにある平野だ。


『オリーム王国軍+α』側も斥候を出しているため、オレ達の存在に気が付く。

 距離を取りつつ、オリーム王国兵士達が農民達に指示を飛ばし、戦争準備を整えていく。

 オレ達は手を出さずその様子を大人しく見守っていた。


(スキル『非殺傷』を持つオレ達はともかく、下手に奇襲をしかけて場が混乱して同士討ちを始めたら目も当てられないからな……)


 それを避けるためにも相手側には気が済むまで戦準備をしてもらう。


(なんというか……戦争というよりオレ達vs『オリーム王国軍+α』のような感じだな)


『オリーム王国軍+α』は準備が整うと――舌戦もなく戦いをしかけてくる。

 しかもオリーム王国軍は槍ぶすまを作り、騎兵を温存、弓を手にしているが動かない。

 逆に異形兵士達が放たれた猟犬の如くオレ達に向かって駆け出してくる。


「おいおい、まさかオリーム王国軍は異形兵士に全て任せる気か? 戦う気が無いのか、ここまでわざわざ移動してきて……」

「士気が低いと聞いてはいましたが、戦闘放棄するほどとは……想像以上ですね」

「……賢者シュート様、キリリ、敵が来る。作戦に変更は?」


 士気が低いオリーム王国軍のあまりのやる気の無さにオレとキリリが肩透かしを喰っていると、アリスが釘を刺し指示を仰いでくる。


 最初の計画ではキリリの魔術でオリーム王国軍を足止め。

 オレの魔術で隔離して、主力だろう異形兵士&子供達を倒して回る予定だった。


 作戦変更を余儀なくされ、オレは一瞬頭を悩ませる。


「アリス、レム、異形兵士の相手を頼む。キリリはオレと一緒にオリーム王国軍を隔離後、彼らの相手を頼む」

「……了解、レム、一緒に頑張ろう」

「やー」


 オレの指示を聞くと、アリスも放たれた矢の如く、『ゴーレム・ソード(大)』を手に突撃する。

 そんな彼女に返事をしつつ、ウサギ耳集音装置ゴーレム&バックパック給弾式PKM(擬き)姿のレムがトリガーを絞る。

 吐き出される亜音速で発射される銃弾型ゴーレムが、次々異形兵士へと襲いかかった。


「うがあぁぁあぁッ!」

「がぁぁぁっあぁあっッ!」

「アアァァッウァウアァ!」


 本来なら銃弾型ゴーレム(正確には短矢型ゴーレムだが)は敵内部に突き刺さるとスキル『火魔法LV1』を自動的に詠唱。自分もろとも敵内部で自爆する。

 しかしレムはスキル『非殺傷』を得ている。


 放たれた銃弾型ゴーレムは、スキル『非殺傷』の力によって爆発はするが異形兵士を殺さず気絶、どんどん無力化する。


 一方アリスも、背後から発射される銃弾など一切気にせず異形兵士に突っ込む。


「キイイイイィイィ!」


 右腕がカマキリの異形兵士が、悲鳴のような金切り声を叫びカマを振り下ろす。

 アリスは躊躇わずに踏み込み『ゴーレム・ソード(大)』を振り抜く。

 本来、重量、小回り的にも先に攻撃をしかけたカマキリ異形兵士の攻撃が先に届くはずだが……なぜかアリスの一撃が先制。

 兵士の胴体をとらえて、くの字に折り曲げ吹き飛ばす!


 アリスもスキル『非殺傷』を得ているため、どれだけ強く攻撃しても敵は死ぬことはないが……一切の躊躇いなく剣を振るうのはどうなのだろうか。


「……次」


 レムの攻撃で周囲が派手に燃えているのも気にせず、アリスは次の獲物を探す。

 レムもアリスが近くにいるのに躊躇無くトリガーを絞り続けるのにも驚きだが、銃弾が側をかすめているにもかかわらず表情も変えず淡々と戦うアリスも大概だ。


「姫様、レム様……ッ! 今回に限っては非常に頼もしいのですが……こう、納得がいかないというか……」


 キリリが両手で顔を押さえて前線で暴れ回るアリスとレムの将来を憂う。

 と、とりあえず、今回は非常事態で彼女の指摘通り非常に頼もしいのも事実だ。

 彼女達に異形兵士達を任せてオレ達も仕事にとりかかろう。


「それじゃキリリ、行くぞ。舌を噛まないように気を付けてくれ」

「りょ、了解しました!」


 オレはキリリを抱きかかえると、『転移』で上空へと移動。

 アリス、レムの戦いっぷりに見入っているオリーム王国軍を上空から視界にとらえる。


「少し余裕を持って周囲を囲まないとな」

「シュート様! 馬車から子供達が出されています! 姫様達の戦いに焦ってすぐにでも投入するつもりですよ! 早くしないと!」

「! ありがとうキリリ。それじゃ行くぞ! 土城壁(アース・キャステル)!」


 オレは上空から『土魔法LV8』で観戦していたオリーム王国軍の周辺を取り囲み隔離する。

 スキル『土魔法LV8』で城壁のように巨大で分厚い壁を作り出したので、ちょっとやそっとでは破壊は難しい。


 突然の事態に動揺し浮き足立つオリーム王国軍を見下ろしつつ、土壁上に『転移』で移動する。

 無事に土壁上に到着すると、抱きかかえていたキリリを下ろす。


「キリリ、後は頼む」

「お任せください! オリーム王国軍の説得と、下手に動いて被害を受けないよう大人しく壁内側に居るよう注意しますね!」

「話を聞かず抵抗してきたら容赦なく攻撃していいからな。あくまでキリリ自身の身の安全を第一に考えてくれ」

「うふふふふ、分かっていますよ。いいですね、好いた殿方に心配されるというのは~」

「……アリスが聞いたら、怒られるぞ」

「それは怖いですね。では早速真面目にお仕事をしましょう」


 オレは照れ隠しでツッコミを入れると、キリリは『分かっています』と言いたげに含み笑いを漏らし、オリーム王国軍の説得に当たる。


 オレは彼女をその場に残し、再び『転移』で上空へと移動。


 戦場を物理的に俯瞰する。


「……クソ! やっぱり子供達を投入するつもりか。本当に気分が悪くなる!」


 そんな気分が悪くなる戦いを担当するのはオレの仕事だ。

 こればっかりはアリス、レム、キリリの誰にも任せられない。

 戦力的な心配ではなく、心情的な問題だ。


 オレは準亜神剣『クリムゾン・ブルート(深紅の血)』を取り出し、握る。

『クリムゾン・ブルート』を秘匿するために『ゴーレム・ソード』を作り出したが、今回ばかりは出し惜しみ無しだ。

 ステータスが1.5倍にブースト。


 眼下で小さな体の子供が巨大な魔物に次々姿を変えていく。


 奥歯が『ギリッ』と鳴るのを自覚した。


「さっさとこんな気分の悪い戦いを終わらせて、『北の魔女』が居る森へ向かおう。そして落とし前を付けさせてやる!」


 オレは怒りを呑み込み、まずは眼下の異形兵士達を無力化するため上空を駆けるのだった。


スキルマスターを読んでくださってありがとうございます!

ついにシュート達が『オリーム王国軍+α』とぶつかりました!

さらに次話では、シュートvs魔物に変化する子供達との戦いになります!

是非お楽しみに!


また先日『【連載版】信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』をアップさせて頂きました!


本日も2話連続でアップする予定です。

詳しくは作者欄をクリックして飛べる作品一覧にある『【連載版】信じていた仲間達~』をチェックして頂ければと思います。

これからも頑張って書いていきたいと思いますので、是非チェックして頂けると嬉しいです!


では最後に――【明鏡からのお願い】

『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。


感想もお待ちしております。


今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!


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