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3話 単独偵察

 より詳細な情報を得るため、オレは単独で南下している敵軍『オリーム王国軍+α』の様子を見に行く。

 衣服を動きやすく地味な色合いの服装に着替えて、ダンジョン都市『ノーゼル』を出た。


 ある程度距離を取り、人目がないのを確認すると『転移LV7』で移動を開始。


 転移も地味にLVが上がってはいるが、一度も行ったことがない場所への移動は当然できない。

 では、どうやって『転移』で移動するのか?


 まず邪魔な障害が無い上空へと移動。

 視界に広がる空に座標を指定し、短距離転移を繰り返す。

 あとはこれを繰り返し、前へ進むのだ。


 魔力の消費は高いが、地上を駆けるより圧倒的に速い。

 地上の場合、どうしても障害物によって真っ直ぐ進むのは難しいため、空を進んだ方が速いのである。


(……でも考えてみれば、今回のために『空を飛ぶ』スキルを創ればよかったのか?)


 短距離転移を繰り返しながら、つい余計なことを考えてしまう。

 空を飛行するスキルがあれば、わざわざ『短距離転移』で移動する必要はないが、創れたとしても飛行し続けている間は魔力を消費しするだろうからどちらも同じだろう。


 また魔力が減っても『準神話級魔力(MP)回復ポーション』があれば一舐めすれば一瞬で回復する。

 最初は『厄介な物を作ってしまった……』と頭を抱えたが、ダンジョン探査や魔物災害(モンスター・ハザード)などの戦闘でも大いに助けられた。


 瓢箪から駒ではないが、本当に作っておいて運が良かった。




 余計なことを考えながら進んでいると――半日で目標と思われる集団をスキル『気配察知LV8』で捕捉する。


 上空からかなり遠目でのろのろと地上を移動する集団を発見する。


 かなり高度を取って移動しているのと、スキル『気配遮断LV8』、『隠密LV8』などで相手に気付かれる可能性は低いとは思うが、極力見つかるリスクを減らすため、ある程度距離はあるが隠れながら観察できそうな森林へと移動。


 ギリースーツのごとく草葉などを纏って、『気配遮断LV8』、『隠密LV8』で存在感を薄めつつ、スキル『鷹の目』の補正で遠くを移動する軍隊の様子を窺う。


(オリーム王国らしき軍隊は2000……いや、2500ぐらいはいるか? しっかりと武装を整えている兵士だけじゃなくて農民から徴発された人達も大勢いるな)


 兵士達は死ぬことも仕事の内だ。

 しかし農民達は話が違う。

 自国を侵略してくる敵ならともかく――勇者教は『魔剣グランダウザー破壊の責任を負わない、スキル創造者を誅するため』。

 エルエフ王国は『勇者教に賛同し、また戻らぬ臣民に国家として責任を果たすため』。

 そして自国のオリーム王国は『義によって参戦する』という、本人達的の生活に全く関係ない理由で徴発されたのだ。

 農民達は皆一様に暗い顔をしている。

 心底嫌々で出兵されたような空気だ。

 むしろこれで士気を上げる方が難しいだろう。


(まぁ農民だけではなく、兵士達も一様に士気が低いようだけどな……)


 統一された装備品で身を固めたオリーム王国兵士達の表情も基本的に暗い。

 自国が意味不明な理由で戦争参戦を謳っているのも原因だろうが……。


 そしてそれらとは別に、兵士&農民含めた一団と距離を取り移動する異形が存在する。

 右腕がカマキリだったり、上半身の右半分がコオロギだったりする一団が存在した。

 皆、目が一様に暗く首には『隷属の首輪』が嵌められている。

 あの一団がミーリスの口にしていた『北の魔女』、スキル『大魔術師』が研究する『不老不死』の副産物なのだろう。


 剣聖アビスの母親は『不老不死』の研究をしているらしい。

 彼女は『魔石の力で食事を殆ど摂る必要のない魔物』の存在に着目して、奴隷や重犯罪者で人体実験を繰り返している――とは聞いていたが、その研究の副産物を実際に目にすると非常に気分が悪い。


 そんな怪物達が100人ほど死んだ目で歩いている。


 オリーム王国兵士&農民達も異形の怪物達と肩を並べて一緒に戦わなければならない。


(一応、異形の兵士達の首には制御装置用の『隷属の首輪』が嵌められているが、いつ暴走して自分達に襲いかかってくるか分からない。そんな彼らと長距離移動しながら、寝食を共にするとか……士気を上げろっていう方が無理だろう)


 実際、オリーム王国兵士&農民達はまだ遠い先に居る敵より、距離を取り離れている本来は味方の異形兵士達に敵意に近い警戒心を浮かべていた。


 だが、それ以上に距離を取っている幌馬車の存在に気付く。


 オリーム王国兵士&農民達は異形兵士より嫌悪感を抱くと同時に、同情的な視線を幌馬車に向けている。

 取る距離も異形兵士以上だった。


(兵站物資を運ぶ輜重(しちょう)部隊か? いや、さすがに3台の幌馬車だけでそれは無いか……)


 にもかかわらず、兵士&農民達は異形兵士より警戒していた。


 またオレの直感が異形兵士より警報を鳴らす。


(あの中でアレが一番ヤバイ気がする……。絶対に中に何があるのか確認しないと)


 そのためにも夜を待って、野営している最中に気付かれる可能性があるが敵軍隊内部に乗り込む必要がある。

 危険度は高いが決して確認しない訳にはいかないと、オレの直感が警報を鳴らし続けたのだった。


スキルマスターを読んでくださってありがとうございます!

シュートがとりあえず敵と遭遇!

なぜか幌馬車がヤバイと感じているようですが、その中身とは……。

明日も引き続きアップするので是非是非お楽しみに!


また以前からお伝えしていた『【連載版】信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』をアップさせて頂きました!


本日も2話連続でアップする予定です。

詳しくは作者欄をクリックして飛べる作品一覧にある『【連載版】信じていた仲間達~』をチェックして頂ければと思います。


頑張って書きましたので、是非チェックして頂けると嬉しいです!


では最後に――【明鏡からのお願い】

『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。


感想もお待ちしております。


今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!


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― 新着の感想 ―
[一言] 高所からの落下に備えて飛行や浮遊は取得しておきたいですよね。 偵察開始! 敵軍の士気が低すぎる! 奴隷兵士が不気味すぎる! 秘密兵器(仮)があやしすぎる! 徴兵された農民さんなんか捨て駒に…
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