25話 凶化暴走水精霊
『意味不明な怪物』を無事、25階層で発見した。
鑑定をおこなうが――。
名前:凶化暴走水精霊
年齢:■■■■■■■■
種族:水精霊
状態:凶化、暴走、狂乱
LV:80
体力 :50”0=/50<?>
魔力 :10@3b00/1000#%
筋力:bなおいhgは/がばもうhぐhぐg
耐久:¥00*b/¥00`@
敏捷:あぽおjg@いq/を@4いjgみ
知力:>*POJ*O/ぼいmwふぁw
器用:l@bそk/q@あががわw
スキル:『スキル暴食』『火魔法LV8』『水魔法LV8』『風魔法LV8』『土魔法LV8』『闇魔法LV8』『身体強化LV8』『回復LV8』『超回復LV8』『MP回復速度LV8』『攻撃魔法強化LV8』『再生LV8』『生命感知LV8』etc――
称号 :なれはての精霊
準亜神剣『クリムゾン・ブルート』で自身のステータスをブーストするも、やはり鑑定は上手くいかなかった。
相手のLVが高く、今のオレでは鑑定しきれないのだろうか。
(もしくは状態の『凶化、暴走、狂乱』でステータスがバグっているから、『鑑定LV9』でも把握できないのか?)
その可能性は棄てきれない。
不幸中の幸いは、スキル欄だけは確認することが出来たことだ。
特に注目するべきスキルは『スキル暴食』である。
『スキル暴食』――補食した相手から一定の確率で所持しているスキルを奪い取ることが出来る。
本来一度与えられたスキルを第三者が奪うことなどできない。
一部例外を除きそれは神の領域である。
オレ自身、『スキル剥奪』を持つ一部例外だ。
そしてこれはあくまで予想でしかないが、もうひとつ例外に心当たりがあった。
ミーリスから教えてもらった――『昔、勇者でも倒せなかった「スキルを吸収する魔物」が居たって。結局どこかの地に無理矢理封印したらしい』。
(『スキル暴食』やLVの高さ、スキル数から考えてほぼ間違い無い気がする。まさかノーゼルのダンジョンに封印されているとは……。『ドラゴンの牙』め! 本当にろくでもないことばかりしやがって!)
『ギギピビィギッバジャオアバオガウィエオアガアウィジ!』
『ドラゴンの牙』に対する怒りで殺気、怒気でも漏れてしまったのか、『意味不明な怪物』――改めて『凶化暴走水精霊』がその触手を高速で伸ばしてくる。
1本、2本の話ではない。
確実に補食するためか数百本単位で迫ってくる。
触れただけで終わりそうなため、楯で防ぐこともできない。
普通なら捕まり、取り込まれて終わりだが、
「全てを深紅に染めろ! クリムゾン・ブルート!」
剣先を振り下ろしたと同時に、真っ赤な極太レーザー的エネルギーを放出し、向けられた触手の槍を赤い光に飲み込む。
触手槍は抵抗する暇もなく、『ジュッ』と熱した金属に水を垂らした時のような音を立て蒸発する。
「このまま『クリムゾン・ブルート』を連発して、ごり押しすれば倒せるか?」
と、淡い期待を抱くが、
『ピギィギィィィポビィアイィリアィジョアイガアバワギィッギ!』
凶化暴走水精霊はあまり効いた様子もなく、元気一杯に攻撃を再開してくる。
オレは大地を高速で駆けて、触手槍や魔法攻撃を回避しつつ漏らす。
「このまま転移で1階層まで戻ってもいいんだが……もう少し、戦って情報を引き出させてもらうか!」
最後の言葉に合わせて、短距離転移。
一瞬で上空に移動する。
目標を見失った凶化暴走水精霊は、オレを探して右往左往――なんてせず、コンマ1秒で位置を捕捉。
再び触手槍、魔法攻撃を向けてくる。
(一瞬で上空に移動したのに、すぐさま追撃してくるってことは、生物のような『視覚』で動きを捕らえている訳じゃないようだな。これは注意事項として気を付けておこう)
オレはすぐさま転移で、上空を高速移動しつつ攻撃を回避しながら『アイテムボックスLV8』から攻撃武器を取り出す。
「槍には槍で! ゴーレム爆槍!」
スキル『火魔法LV3』を覚えさせたゴーレム型の槍を投擲!
凶化暴走水精霊内部に突き刺さり、自爆し内側から内部を炎が包み込む。
1度では終わらせず、2度、3度、4度と立て続けに投擲する。
『jbジャイアジャw:gm:wピgヒwg!』
声帯も無いはずなのに、鳥肌が立つような気味悪い叫び声を上げる。
効いているのか、いないのか……。
いまいち判断が付かない。
「なら次はこっちならどうだ? ゴーレム氷槍!」
次はスキル『水魔法LV3』を覚えさせたゴーレム型の槍を投擲する。
先程のように内部深くまで突き刺さり自爆すると、内側から凍り付いていく。
さらに数本投擲して、完全に凍らせた上、
「全てを深紅に染めろ! クリムゾン・ブルート!」
地面に着地後、全力全開で準亜神剣『クリムゾン・ブルート』必殺の一撃を放つ!
赤い光が凍った凶化暴走水精霊を呑み込み、破壊、蒸発させる。
「これで倒せた――なんてことはないよな、やっぱり」
『ピギィギィィィポビィアイィリアィジョアイガアバワギィッギ!』
「……これでも再生するのかよ」
どうやら細胞らしき物が一つでも残ったら問答無用で再生するらしい。
下手をすれば蒸発した状態からでも復活している可能性すらある。
この不死身的再生能力なら確かに勇者すら倒しきれず、『封印』という手段を選択したのも納得できる。
飽きもせず凶化暴走水精霊は魔法攻撃とオレを喰らうため触手を高速で伸ばしてくる。
千日手っぽくなってきたのでここらが潮時だろう。
「ゴーレム氷槍!」
攻撃を回避し、アイテムボックスにあるストック全てを叩き込み氷漬けにする。
これで暫くは足止め出来るだろう。
オレは氷山のように凍り付いた凶化暴走水精霊を横目に、転移で1階層へと移動する。
いつもの1階層広場に移動したことで、緊張感が体から抜け出た。
「はぁ~……とりあえず相手のステータス、特性、状態なんかの情報を得ることは出来たな」
また何より戦ってみて『思った以上ではなかった』ことに安堵の溜息を漏らしてしまう。
「とはいえ準備期間と実験が必要だから今すぐって訳にはいかないけど……。LVが上で、鑑定が効かないのには驚いたが、なんとか思いついた対処方法でいけそうで本当によかったよ。あれならきっと簡単に倒せる筈だ」
オレは再度溜息を漏らし、アリス達が待つダンジョン出入口へと歩き出したのだった。
スキルマスターを読んでくださってありがとうございます!
シュートが戦って見て凶化暴走水精霊を『簡単に倒す方法』を発見!
その方法とは――。
次の話でその方法は登場します! なので次話も是非是非お楽しみに!
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