表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

52/90

22話 ふたつのスキル

昨日、新作短編をアップさせて頂きました!


タイトルは『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ』します!』です。

https://ncode.syosetu.com/n7378gc/


頑張って書きましたので、よかったら読んで頂けると嬉しいです。


『ドラゴンの牙』に魔物災害(モンスター・ハザード)で殺されかけて数日後――。


『魔物誘引剤』を知らされず持たされ35階層ジャングルを走らされたストリートチルドレンの少女、その妹弟の処遇の件もあり、オレ達はダンジョンに潜るのを控えていた。


 彼女達はこのまま領主の館に保護され、教育。

 将来的にはメイド、下男として雇用するらしい。


 助けた側としては、彼女達の将来が保証されて安堵する。


 問題は『ドラゴンの牙』だが……。


「最深部の攻略に向かったのでしたら、最低でも1ヶ月は戻ってこないでしょうね」


 客室のリビングでキリリがお茶を口にしながら、見解を述べる。


 本来従者として給仕に努めなければならないキリリだが、現在は客室リビングというオレ達のプライベート空間のため、帝都離れの時のようにお茶を一緒に飲んでいるのだ。

 キリリとアリスは一時ダンジョン都市で過ごした経験があるため、最深部攻略に向かった者達がどれぐらいの期間潜り続けるものなのか把握している。

『ドラゴンの牙』が戻り次第、オレ自身今回の件に落とし前を付けるため、戻ってくる予想日時を改めて尋ねたのだ。


「最低でも1ヶ月か……結構長いな」

「……戻ってきたら賢者シュート様やレム、一般人の女の子を危険にさらした『ドラゴンの牙』の拘束を自分も手伝う」

「やー」


 アリスは鼻息荒く、語気を強め断言した。

 レムも『ドラゴンの牙』メンバー拘束に参加したいらしく声をあげる。

 それだけ今回の一件に皆、腹を立てているのだ。

 当然、オレもだ。


「オレは拘束だけじゃなくて、あいつらが二度と悪さできないように罰を与えるつもりだ」

「……罰?」


 アリスが小首を傾げる。

 オレはすぐに答えず、お茶で唇を湿らせる。

 カップを置いてから、アリスの疑問に答えた。


「『ドラゴンの牙』に罰を与えるため、新しくスキルを2つ取得したんだ。その2つは――」


 オレが新たに取得したスキルの説明をする。


「けっぷぅ」

「……うわあぁッ」


 キリリはいつも通り口から異音を吐き出し、胃の辺りを抑える。

 普段から子犬のように懐いているアリスですら、スキル説明後、反射的にオレから若干距離を取った。

 それだけオレが新たに取得したスキルは規格外――というよりこの異世界人達にとって『エグイ』しろものなのだ。


「しゅ、シュート様、そ、そんな凶悪なス、スキルを本当に取得なさったのですか?」

「もちろん、オレだって今回の一件は本気で腹を立てているんだ。だから新たに取得したスキルを迷わずあいつらに使うつもりだ。これ以上被害者を増やさないためにもな」


 キリリが青い顔で震えながら問う。

 オレは躊躇わず使うことを断言した。


「……け、賢者シュート様がこ、怖い」

「? ぱぱ、怖い?」

「……普段はとっても優しいけど、怒っている賢者シュート様は怖いの」


 アリスですら怒っているオレが怖いらしく震え、暖を取るようにクッキーを食べていたレムを抱きしめる。

 ある意味、ここまで純粋に怖がるアリスも珍しい。


 オレは2人を落ち着かせるために口を開く。


「『ドラゴンの牙』のような外道共相手ならともかく、誰彼構わず使うつもりはないから安心してくれ」


 微苦笑を漏らしつつ、両手を広げて『安全です』アピールしていると、扉がノックされる。

 キリリが席から立ち、扉を開くと老執事からメモを預かる。

 そのメモをオレへと差し出す。


「ミーリス様から緊急とのことです」

「緊急とは……穏やかじゃないな」


 オレはメモを受け取り開く。

 内容を一読し、驚きで目を大きく開いた。


「……賢者シュート様、メモにはなんと?」

「『ドラゴンの牙』リーダーを領主館地下に移送したから、すぐに来て欲しいだって」

「はぁ!? 『ドラゴンの牙』はダンジョン攻略に向かっていたはずですよね!? なのにどうして地下に居るんですか!? 普通、最低でも1ヶ月は戻らないはずなのに! 意味が分からないんですけど!?」


 キリリがツッコミを入れてくるが、オレだって分からない。


 分からないが、『ドラゴンの牙』リーダーのアイゼンが地下に居るなら喜んで行かせてもらおう。

 むしろミーリスには『彼らを捕らえたら、呼んで欲しい』と頼んでいたのだから望み通りである。


 オレは早速、アリス達をその場に残し、部屋外の廊下で待つ執事の案内で地下へと向かった。




 ☆ ☆ ☆




 領主館の地下には酒や食料貯蔵庫、避難通路、籠城部屋など意外と用途に合わせたスペースが存在する。

 その中でもさらに地下深くに尋問室が存在した。


 尋問室は石造りで、扉も外に声が漏れ辛いように鋼鉄製で重い。

 広さは一般教室の半分程度だろうか。

 なぜか床や壁、天井に赤黒いシミがいくつもある。

『尋問』と謳っているが、メインは話を聞くではなく、体に『訊く』場所――拷問室の意味合いが強い。

 だから床などに赤黒いシミがあるのだ。


「……賢者殿の案内ご苦労。下がってくれ」

「畏まりました」


 ミーリスの指示に執事が一礼し、尋問室を出る。

 重い音をたてて扉が閉まるのを耳にしながら、地面に繋がった鎖で体を拘束され、首には奴隷商で使用される『隷属の首輪』を嵌められたアイゼンが座らされていた。


 顔には濃い疲労の色が浮かんでいるが、相変わらず筋肉がガチガチにつき縦にも横にもデカイ。こめかみから頬にかけて走る傷跡が、体格も合わさってより彼の迫力、マッチョ感を演出していた。

 オレに気付くと、ミーリスの手前、声は出さないが親の敵のような視線を向けてくる。


 その目には捕まったにもかかわらず、まだ生きることを諦めないしぶとさが残っていた。


「ご足労頂いて悪かったね、賢者殿」

「いえ、オレが希望したことですから。ところで彼らの帰還が随分早い気がするのですが……」

「賢者殿の言いたいことは分かる。もちろん説明させてもらうよ」


 ミーシャは事前に得た情報を分かり易く開示した。


 41階層で新フロアーを『ドラゴンの牙』が発見。

 中を確認すると、石櫃があり開けたらスライムのような怪物が溢れ出た。

 魔法も使い、切っても再生し声を出す、意味不明な化け物らしい。


 20人以上居た『ドラゴンの牙』が、意味不明怪物に喰われ、追いかけ回されダンジョンを脱出できたのは5人ほどだったとか。

 実力者の副リーダーも助からず喰われた。

 なので生き残った者達は本当に運が良いらしい。


 アイゼンはそんな怪物に襲われ、追われる恐怖を味わいながらもダンジョンから脱出したようだ。

 無事だった他メンバーも拘束済みで、彼らは別の場所で『尋問』を受けている。


「不幸中の幸いは、その『意味不明な怪物』が地上へ向かって進行中だが、『ドラゴンの牙』以外の冒険者が襲われる前に撤退できたことだね。あたいの権限で『意味不明な怪物』の調査が終わるまでダンジョンに入るのも禁止したよ」


 ミーリスがアイゼンへと向き直る。

 その瞳はどこまでも冷たかった。


「アイスバーグ帝国の恩人、世界の宝たる『スキル創造』を持つ賢者シュート殿の命を狙ったんだ。楽に死ねると思うなよ? あたい自慢の魔物コレクションの実験台にしてやるから楽しみにしてるがいい。この世で味わえる最高の苦痛と激痛を楽しませてやるからな」

「待ってくれ! いえ、待ってください領主様! 誤解です! 俺様――俺達はそんなガキの命など狙っておりません! 信じてください!」

「言い訳は不要だ。既に証拠は賢者殿が抑え済みだ。これに見覚えがあるだろ?」


 ミーリスは『魔物誘引剤』が入った小箱を見せる。

 さすがにアイゼンも顔色を変えた。


「この小箱を持たせた少女を賢者殿がお助けになったんだ。彼女はうちでちゃんと保護しているぞ。自爆用の魔石も押収済みだ。大人しく罰を受けろ」

「……領主様、それこそそこのガキの戯言、狂言なんです! 俺達『ドラゴンの牙』を嵌めるため、そこのガキが仕組んだ罠なんですよ! 信じてください!」


 アイゼンは必死にミーリスへと訴える。

『魔物誘引剤』も、自爆魔石も全てオレに押しつけてなんとかこの危機を切り抜けようとしているようだ。

 証拠は揃っているというのに、なんという生き汚さだ。


 ミーリスが冷たい目でアイゼンを見下す。


「……ならば首輪に問おう『汝の発言に嘘はないか』」

「グゥッ!」


 アイゼンの首に嵌められた『隷属の首輪』が締まる。

 今までの発言が全て嘘だという証拠だ。

 しかし、アリスが嵌めているような最高級品ではなく、一般的な『隷属の首輪』なのと、アイゼン自身が無駄に高LV、ステータスのため耐えられるようだ。

 彼は『効いていない』と言いたげに笑みを浮かべ断言する。


「俺はやっ、やってませんよ、領主様」

「チッ、諦めの悪い奴め……ッ」


 ミーリスが苛立ち舌打ちする。

 証拠はそろっているため、このまま処刑しても問題は無いが『俺はやっていない! 嵌められた』と騒ぐ相手を処刑するのは外聞が悪いのも確かだ。

 まずアイゼンに罪を認めさせる必要がある。


 そのためには彼の拠り所、自信の源である根元を奪う必要がある。


 オレが前に出る。

 ミーリスが口を開きかけたが、結局何も言わず閉じて見守ってくれる。

 オレは冒険者ギルド以来再びアイゼンと向き合う。


 彼は不機嫌そうにオレを下から睨みつける。


「けッ、上手く領主様に取り入って俺様達を罠に嵌めやがって……ッ。オマエこそが犯罪者じゃねぇ――ぐっぇぁ!?」

「黙れ外道が。……正直、大人しく罪を認めていればここまでやるつもりはなかったが、どうやらオマエに気遣いは無用のようだな」


 恥も外聞もなく非難してきたアイゼンを殴り黙らせる。


「オレの命を狙ったことに対してはあまり怒っていない。結果だけ見れば良いLV上げになったしな。だが無知で幼い少女を利用し、あまつさえ証拠隠滅のため自爆魔石まで使う――そんな鬼畜な所業、絶対に許さん!」

「ゆ、許さんって何をするつもりだ。ご、拷問でもしようっていうのかよ? えぇ、皆様が賞賛し持ち上げるスキルマスター様がよ!?」


 アイゼンはオレから睨まれ、殴られてもまだ強気な発言を繰り返す。

 オレは気にせず、無造作に彼の頭を掴む。

 アイゼンが拠り所にしている自信の源、根元を奪うためにだ。


「鬼畜外道をおこなった罰を与える。これを持って自身の行いを悔いろ……スキル『スキル剥奪』!」


 オレは新たに取得したスキルの一つを早速行使するのだった。



スキルマスターを読んでくださってありがとうございます!

シュートが対『ドラゴンの牙』用に準備したスキルは2つあります。

その一つが『スキル剥奪』、そしてもうひとつは――という感じです。

スキル剥奪だけでは終わらず、その先にもまだあるので是非明日のお話をお楽しみに!


さて、昨日(3月27日)にアップさせて頂きました新作短編――『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ』します!』

https://ncode.syosetu.com/n7378gc/


感想や評価、登録をしてくださってありがとうございます!

皆様のご声援のお陰で今日(3月28日)、総合短編部門1位を取ることが出来ました!

これも日頃、皆様が応援してくださってくれるお陰です。

本当にありがとうございます!

まだ読んでいない方は是非読んで頂ければ嬉しいです!


これからも頑張って書かせて頂くので、今後もお付き合いして頂ければと思います。




では最後に――【明鏡からのお願い】

『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。


感想もお待ちしております。


今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] ミーシャは事前に得た情報を分かり易く開示した。 [一言] ミーリスでは?
[気になる点] 物語の都合上なんだろうけど、なんで抵抗できる一般用の隷属の首輪なんて嵌めたんだろ? 前から思ってたけど、この世界の人類種って知能に問題が有る? それとも今迄の冒険者が隷属の首輪を嵌め…
[良い点] 外道にはいい罰ですね [一言] もう1つのスキルなんだろ? 自分的には「ステータスオール1」とかだと絶望感があっていいかな。 その状態で拷問なり、炭鉱奴隷なり、ダンジョンに放り込むなりすれ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ