20話 準亜神血の効果
皆様にご好評だったので、今回は2つ(20話、閑話2)を12時、18時連続でアップします!(本日1話目)
準亜神剣『クリムゾン・ブルート(深紅の血)』を創り出した日の夜。
オレは食事、お風呂を終えて寝る間際。
離れの自室でこっそり『アイテムボックスLV8』から器具をいくつか取り出し、準備していた。
器具を取り出し何をするかというと……。
「オレの血――準亜神の血を混ぜたら準亜神剣『クリムゾン・ブルート』を作ることが出来た。ならこの血を材料に、他の例えば回復ポーションや消費アイテムを作ったら一体どうなるんだ?」
『絶対にろくなことにならない』と分かっているが、好奇心は止められない。
だから、アリスやキリリが居る目の前ではなく、こうして離れに宛われた自室でこっそり作製しようとしているのだ。
「ヤバイ物が出来ても『アイテムボックス』の肥やしにすれば良い訳だし。将来的に何が起きるか分からないから、切り札的な物になるならいくらあっても困らないしな」
自分自身に言い聞かせ早速、作業へと入る。
一応、スキルで自室を監視、盗聴している存在が居ないのは確認済みだ。
ここならどんなヤバイ物が出来ても、自分の内に納めることが出来る。
とはいえ作業と言ってもスキル『ポーション作製LV8』や『薬師スキルLV8』、『調合LV8』に従い大森林で溜め込んだアイテムとオレの血(準亜神の血)で製造するだけだ。
約10分でまず回復ポーションを作り出す。
「まず回復ポーションからだな。『鑑定LV9』で鑑定っと……」
準神話級回復ポーション――シュートの血(準亜神の血)を混ぜ製造されたポーション。ひと舐めするだけであらゆる傷が回復する。欠損部もこのポーションを飲むだけで新たに正常な部位が生えてくる。不老不死に至る秘薬の材料。
「……けっぷぅ」
自分が想像していたより3段階ぐらいヤバイポーションが生み出された。
「準神話級回復ポーションって名前は分かる。ひと舐めでどんな傷でも回復するのも分かる。欠損部分が回復するのも、分からなくはない。でも『不老不死に至る秘薬の材料』ってなんだよ!?」
前世の世界でも権力者が求めた『不老不死』。
恐らくこの異世界でも権力者は『不老不死』を求めるだろう。
その材料の一つをオレは作り出してしまったようだ。
「このポーションがっていうより、オレの血が『不老不死』を完成させる材料の一つなのかもしれないな……」
回復ポーションだけで、もうお腹いっぱいになるレベルだ。
しかし、お陰で例え手足が欠損しても問題なく回復させることが出来るポーションを作りだすことが出来た。
これで例えアリスやキリリが負傷し、手足を失ったり傷跡が残っても元に戻すことが出来る。
「やはり今後のためにも、他消費アイテムをオレの血を材料に作って確認しておいた方がいいな」
気を取り直し、回復ポーション以外の消費アイテム開発に着手した。
準神話級状態異常回復ポーション――重度の猛毒やステータス異常、病気ですら治すポーション。
準神話級MP回復ポーション――一般的な魔術師の魔力ならひと舐めで全回復する。故に過剰摂取には気を付けること。
準神話級猛毒薬――常人の場合、ひと嗅ぎで即死。毒物無効化スキル所持者でも毒化可能。回復させる場合は、『神話級状態異常回復ポーション』が必須。
どれもこれもヤバイ物が出来てしまった。
「まさかここまで厄介な物ができあがるとは……」
『準神話級状態異常回復ポーション』と『準神話級MP回復ポーション』は、確かに厄介だがまだ許容できる範囲だ。
むしろ『準神話級回復ポーション』に比べればまだ効能は大人しいレベルだ。
……いい加減、凄いのを見過ぎて感覚が狂ってきたと思ったら負けの気がするため気にしない。
しかし『準神話級猛毒薬』はヤバ過ぎる!
「なんで毒物無効化スキルがあるのに、毒化可能なんだよ……。毒物無効化の意味が無いじゃないか」
あくまでオレの予想だが『毒物無効化スキル』をオレの血(準亜神の血)がある程度無効化、もしくは弱らせるせいで毒物が効果を発揮してしまうのではないだろうか?
本当に効果が出るのか確認したくはあるが……。
まさか自分や人で試すわけにもいかない。
とりあえず『準神話級回復ポーション』、『準神話級状態異常回復ポーション』、『準神話級MP回復ポーション』、『準神話級猛毒薬』の4つは『アイテムボックス』に秘匿しておこう。
「しかし思った以上にオレの血は厄介だな……」
血だけでこれほどの効果があるのだ。
重要器官である心臓などの内臓なら?
骨や眼球、髪の毛、皮膚にはどのような効果があるのか?
もしこの事実が世間に知られたら――オレは稀少なドラゴンのように狩られる対象になる可能性が非常に高い。
冒険者、権力者などに命を狙われる日々。例え死んだ後でも、死体は『素材』として一片残らず綺麗に解体され、武器、防具、消耗アイテム化され、権威付けや敵を斬り殺す武器になったりするのだ。
命を狙われるのはスキルで強化できるためあまり恐怖を感じない。
だが、死後自身の死体が『稀少素材』扱いされるのは何とも嫌な寒気を覚える。
「『スキル創造』だけでも大概なのにこれ以上ヤバイ事実は表に出せないな。絶対に漏れないように隠蔽しないと……ッ!」
そのためにも剣聖との決闘は仕方ないとして、準亜神剣『クリムゾン・ブルート』は今後あまり表に出さない方がいいかもしれない。
とはいえ準亜神剣『クリムゾン・ブルート』を手にした今、ただの魔剣では心許ないのも事実だ。
決闘後、オレは自分だけではなく、皆を護るためにも準亜神剣『クリムゾン・ブルート』に代わる剣を開発することを誓ったのだった。
スキルマスターを読んでくださってありがとうございます!
シュートの血について番外編的なお話を書かせて頂きました。
時間軸的には決闘前、準亜神剣を作った当時の夜ですね。
さて次の閑話で逃走した剣聖アビスの話をアップさせて頂きますので、是非チェックして頂ければと思います。




