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12話 準亜神剣の性能

皆様にご好評だったので、今回は3つ(10、11、12話)を12時、14時 17時連続でアップします!(本日3話目)

「ふわぁぁぁ~」


 準亜神剣を作った翌朝。

 オレは欠伸を噛み殺す。


 今朝は朝食も摂らず、外出の準備を終えて離れ裏手出入口へと来ていた。

 今日は準亜神剣『クリムゾン・ブルート(深紅の血)』の性能テストをするため、遠出する予定なのだ。


(まさか自分が既に人間の枠を出て準亜神になっているとか……。まぁ70個以上スキルを得ている時点で『人間の枠を越えている』と指摘されたら何もいえないけど)


 この世界の人が持つ平均は0~2個。

 多くて3~4個。

 表沙汰になっている現在の最高数が剣聖の10個。

 記録上確認されている最多スキル保有数は、勇者の15個だ。


 そんな中でオレは70個以上スキルを得ているのだ。

 称号に準亜神と表示されても納得するしかない。


 ちなみに最初は準亜神剣『クリムゾン・ブルート(深紅の血)』の性能テストを帝国にある兵士の訓練場を借りてと考えたが……『鑑定LV9』で確認した性能が強すぎた。

 皇城内部にある兵士の訓練場で使用するには危険度が高いと判断し、首都から離れた大規模兵士訓練場――という大げさな名前が付いているが、どれだけ暴れても問題がない荒野がある。

 そこに移動して、性能を試そうというのだ。


 既に皇帝には許可を取っている。

 剣聖との決闘騒動もあったため、今回はオレ達だけではなく護衛&馬車での移動となる。

 なので朝食も摂らず、馬車で移動することになった。

 朝食は馬車内部でお弁当を食べるつもりだ。


「おはようございます、シュート様。お待たせしてすみません」

「……お、おはようございます」

「おはよう。別に待っていないから気にしないでくれ」


 キリリがいつもの革眼帯に女性魔術師風衣装姿で顔を出す。

 アリスも見慣れた装備である真っ白な甲冑姿だったが……こちらはなぜか様子がおかしい。

 元気が無いのか俯き気味で、声に力も無く、銀糸の髪からのぞく耳先が妙に赤い。

 体調でも崩しているのだろうか?


「アリス、体調でも悪いのか? だったら無理に付き合わなくていいから、横になっていた方がいいぞ」

「……だ、大丈夫です。た、体調が悪い訳じゃなくて……」

「悪い訳じゃなくて?」

「…………」


 彼女はその後何も言わず、何度か口をパクパクと動かし、さらに顔を赤くする。

 結局、それ以上何も言わず視線を再び逸らされてしまう。

 一体何があったというんだ!?


「あぁぁ~青い春ですね。姫様可愛い。普段もこれぐらい可愛ければいいのに」


 反対にキリリは楽しげにオレ達のやりとりを眺めて、ニヤニヤ笑みを零していた。

 なんか1人で良い空気を吸っている。

 どう考えても彼女がアリスに何かを吹き込んだか、何かしたのだろう。


(他の可能性として『女性特有の日』だからっていうのもあるか……。ここは大人しくしておくのが吉だな)


 藪蛇になりそうなのでオレは沈黙を選択する。

 沈黙は金、雄弁は銀だ。


 あまり目立ちたく無いとの希望を叶えてもらい腕利きの帝国兵士が数名護衛としてつく。

 彼らは既に裏手出入口に待機済みのため、アリス&キリリが揃った所で離れを出る。

 オレ達が馬車に乗り込むと、すぐに出発した。




 ☆ ☆ ☆




 馬車に揺られること約3時間。

 首都から離れた大規模兵士訓練場へと到着する。


 朝の気まずい空気もオレのアイテムボックスに保存していたサンドイッチを食べ、たわいない話をしている間に霧散した。

 お陰で馬車から降りた時にはいつもの雰囲気に戻っていた。


 馬車から降りた後、ずっと座り続けた体をほぐす。

 体がほぐれた所で準亜神剣『クリムゾン・ブルート(深紅の血)』の性能テストを早速開始。


 改めて準亜神剣『クリムゾン・ブルート(深紅の血)』の性能をチェックする。


 クリムゾン・ブルート――ステータスを1.5倍ブースト。魔力を注ぎストックすることが出来る。注いだ魔力を発動ワードと共に解き放つ力を持つ。世界で唯一の準亜神剣。製作者シュート。


「改めて確認すると本当に凄い性能だよな……」

「正直、魔剣『グランダウザー』より性能が高いんじゃないんですか?」

「……こんな凄い剣を作り出すなんて、さすが賢者シュート様、天才」


 キリリが身も蓋もないツッコミを入れ、アリスが手放しで褒めてくる。

 オレは曖昧な笑みを浮かべつつ、性能テストをするため『クリムゾン・ブルート(深紅の血)』に魔力を注ぐ。


 魔力を注ぐと、性能通りどんどん吸い込んでいくが……3000の所で停止する。

 どうやら溜め込める魔力(MP)は3000が限界らしい。


 オレ自身のステータスをチェックする。


 名前:シュート

 年齢:14歳

 種族:ヒューマン

 状態:正常

 LV:51

 体力(HP) :15000/15000(+5000UP)

 魔力(MP) :6000/9000(+3000UP)

 筋力(STR):4200(+1400UP)

 耐久(VIT):4500(+1500UP)

 敏捷(AGI):1500(+500UP)

 知力(INT):1050(+350UP)

 器用(DEX):1350(+450UP)

 スキル:『スキル創造』『剣聖』『時間操作LV1』『騎士LV8』『光魔法LV8』『気配遮断LV8』『隠密LV8』『気配察知LV8』『健脚LV8』『逃走LV8』『韋駄天LV8』『直感LV8』『剣術LV8』『格闘LV8』『火魔法LV8』『水魔法LV8』『風魔法LV8』『土魔法LV8』『闇魔法LV8』『身体強化LV8』『HP強化LV8』『MP強化LV8』『頑強LV8』『魔力耐性LV8』『物理耐性LV8』『精神耐性LV6』『鑑定LV9』『ステータス擬装』『スキル経験値増大』『LV経験値増大』『裁縫LV8』『皮加工LV8』『鍛冶LV8』『生産技能LV8』『抽出LV8』『索敵LV8』『槍術LV8』『斧術LV6』『回復LV8』『超回復LV8』『MP回復速度LV8』『攻撃魔法強化LV8』『アイテムボックスLV8』『魔力ボックスLV7』etc――。

 称号:廃嫡貴族(準亜神)




「さらに滅茶苦茶強くなったな……」

「1.5倍ブーストですか……。実際に上がった数字を知るとエグイですね……」

「……強いことは良いこと。賢者シュートが強いことは凄い良いこと。賢者シュート様が強くなって自分も嬉しい」


 オレとキリリが若干ドン引きし、アリスは自分のことのように喜ぶ。


 ちなみに警備に付いて来てくれた帝国騎士達は馬車付近で待機している。お陰で馬車から距離を取って会話をしているオレ達の話し内容は聞こえていないため、オレの怪物的ステータスが知られることはない。


 魔力を注ぎ溜められることも確認した。

 ステータスが1.5倍にブーストしたのもチェックした。

 次は本命の『注いだ魔力を発動ワードと共に解き放つ力を持つ』というモノだ。

 恐らく魔法が使えない剣士の遠距離攻撃、切り札的性能なのだろう。


「それじゃ早速試してみるか。2人とも危ないからちょっと離れていてくれ」


 この指示に2人は大人しく従い距離を取る。


 オレは2人が十分離れたのを確認して、準亜神剣『クリムゾン・ブルート』を上段に構え、発動ワードを唱えながら振り下ろす!


「全てを深紅に染めろ! クリムゾン・ブルート!」


 剣先を振り下ろしたと同時に、真っ赤な極太レーザーのようなエネルギーが発生。

 地面を地平線の彼方までガリガリと削り、最後は大爆発を起こし、爆風を馬車まで叩きつけてくる。

 馬が音や振動に怯えて暴れるのを帝国騎士達が慌てて宥めた。


 煙が晴れるとそこには抉られた地面が延々と地平線の彼方まで続いていた。

 恐らく限界まで溜め込んだ魔力(MP)3000を全て放出したせいで、これほど酷い被害が出てしまったのだろう。

 それにしても予想以上の威力だ。


 強化された聴力によって、護衛についてきた帝国騎士達の驚き、賛辞が勝手に耳に入ってくる。


「なんという威力だ……これが賢者様のお力なのか……」

「スキルを極めると人はここまで強くなれるのか……。騎士として、これほどの力を持つ賢者様が恐ろしいと感じると同時に、憧れる気持ちが抑えられん!」

「分かるぞ! 俺もだ! 騎士として、いや男としてあの人の強さに憧れてしまうのをやめられない!」

「あれだけの強さを持ちながら、尊大な態度を取らず常に謙虚な態度を取る姿勢……。強者だからこそ心にも余裕があるのだろうな。さすが賢者様だ」


 騎士達は剣の威力に戦きつつも、憧れの気持ちも強くしたようだ。

 背後から熱い視線が突き刺さる。

 アリスからもキラキラとした尊敬の眼差しを向けられる。


「……賢者シュート様、格好いい、超格好いい! 自分もさっきのやってみたい!」


 アリスがヒーローショーで正義の味方と初体面した少年のごとくキラキラと瞳を輝かせる。

 彼女が『超格好いい』と口に出すほど興奮している所悪いが……。


「あははは、喜んでもらえて嬉しいよ。でも、アリスの魔力(MP)だとやるのはちょっと難しいかも?」


 現在のアリスの魔力(MP)は15しかなく、MP回復ポーションを飲み200回は繰り返さないとならない。

 またオレの魔力(MP)を溜めて、アリス――他者が先程の放出攻撃が出来るのかチェックする必要はあるが。


 唯一、キリリが尊敬や憧れではなく、頭痛に呵まれた表情をしていた。


「……とりあえず、今回の実験について後ろの騎士達に口外しないよう釘を刺して来ますね」

「すまない、キリリ。苦労を掛ける」

「それは言わない約束ですよ」


 こちらの異世界にも前世日本のようなネタが存在するのか、キリリが笑みを零しつつ返答する。

 彼女は警護に来てくれた帝国騎士達に、現在おこなっている実験について口外しないように改めて釘を刺しに行く。


 オレはその背中を見送りつつ、次の実験に頭を悩ませるのだった。


スキルマスターを読んでくださり、誠にありがとうございます!

準亜神剣をブッパするシーンは書いてて楽しかったのですが、これはどう見ても『約束された勝利の』――これ以上はいけない。

さて、もうすぐ剣聖との決闘が開始します!

どんな戦いになるのか是非お楽しみに!


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― 新着の感想 ―
[気になる点] ステータス 称号 廃嫡貴族神……きさま、廃嫡貴族の守護神かなんかなのか……。 そういう予定じゃないなら()じゃなくて分離したほうが……というより種族変更か種族側に()なのでは……。…
[気になる点] 最初からステータス擬装に引っかかってるんじゃないかねー。 [一言] 危ない、試合でいきなり使ってたら街が。。。
[良い点] ざまあ系は大好物です。 [一言] スキル強奪かスキルデリートは創造しないのですか? 調子にのった相手が全てを失うところが見たいです。
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