生還と報告
ベスパとアロックは地べたに座り込む。
「その二人…生きているのか?」
アロックは二人が致命傷になる怪我を負うところと目の当たりにしていたため、生きていることが信じられなかった。
まさにプラチナチケットを手に入れたベスパは、お構いなしにアルネの胸に耳を当て心音を確かめる。
(うわっ! めっちゃ柔らかい。それに…良い香りがする。)
「あぁ。問題ない…と言いたいが、俺の回復がどこまで効果あるかわからない」
さりげなくホルスの心音確認はスルーする。
「となると…早めに街に帰るべきか。俺は盾を置いていけば、ホルスぐらいなら運べるが、ベスパは…アルネを運べそうか?」
アロックはベスパがゴブリンの頭部を粉砕したことが、余りにも衝撃すぎて思考が停止していた。
「う〜ん。大丈夫そうだ。日が暮れる前に帰ろう」
ベスパは手のひらサイズの卒業プレートをポケットに押し込むと、アルネをおんぶする。おぶられる側の意識がないと結構辛いものなのだが、今のベスパには問題なかった。それにエロモード全開のベスパにとって、背中で感じるアルネのおっぱいは、とても刺激的で興奮する。
(本当に、めっちゃ柔らかい。このままお持ち帰りOK?)
アロックの腰ランプを頼りに洞窟を出ると、太陽の光がベスパとアルネを照らす。
「おい、ベスパ。顔が赤いし、息が乱れているぞ、本当に大丈夫か?」
顔色まで読み取れるようになったアロックが、ベスパを心配する。
「あぁ、俺よりも二人の容態が心配だ。限界までがんばるさ」
帰り道、ベスパは考える。
(どらいアドちゃんのおっぱいも、こんなに柔らかいのかな? でも…あれ、形は良いんだけど、小さいからな…)
ベスパが卑猥なことを考えていると、街の北門が見えた。
北門の衛兵からも小さな冒険者の帰還を確認したのだが、どうやら様子がおかしい。衛兵は詰め所にいる休憩中の衛兵に様子を見るように伝えた。
ホルスとアルネは衛兵に教会に連れて行かれ、アロックとベスパは冒険者ギルドで事情聴取となった。
事情聴取はギルドマスターの部屋で行われた。ベスパは住み込みで働いていても、この部屋に入ったことはなく、少し興奮していた。そんなベスパはうんうんと頷いているだけで、大まかな内容はアロックが説明した。
「大体の事情はわかった。まずはゴブリンを繋いでいた鎖の調査だな。それと…話を聞いていると、ホルスとアルネの傷は深く、いずれも致命傷だと予想するのだが、ベスパ、お前の魔法は全部Lv1だよな?」
「はい。Lv1ですが、それが?」
「あ…いや…何と言うか、Lv1の回復では、そこまでの傷を直す力が無いはずなのだ。まぁ、これは治療している教会の意見も聞いてみないと、何とも言えんな。よし、お前らは、もう帰れ。卒業試験の結果報告は、治療中の二人が回復してからだ」