7:ギャングとドンパチするのは別におかしい話ではない
手術台のようなベッドに手足を縛りつけられて、奴らに無理やり薬を飲まされる。
体が熱くなって、手首に付けている回路が描かれたブレスレットに勝手に”マナ”が流れて魔法が発動する。
炎や風、水が出ては消えていく。魔法を使う度に体が苦しくなって助けを求めるけど誰も助けてくれない。
魔法が収まると今度はメスで僕の体を切り裂いて、怪我が治っていく様を笑いながらカメラで撮っていく。
痛い、嫌だ、痛い、嫌だ。誰か助けて。
ようやく実験が終わったと思ったら、奴らが一人の男と話し込んでいる。
難しい内容は殆どわからなかったけれど、もう二度と僕は魔法が使えないこと、その原因は薬である事だけは分かった。
助かったと思った。もう魔法が使えないなら、もうこんな実験をされることもないと思ったから、でも男が顔を上げてこんなことを言い出した。
「では、この少年には今後より科学と魔法の発展のために”呪い”の実験台になってもらおう。”呪い”を研究することは”魔法”の法則に解明に繋がるからね。少年は死んでしまうかもしれないが人類の発展には犠牲は付き物だ。仕方ない。」
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「答えろ、薬は誰から貰った!」
「だ、だから、俺の組織で雇った用心棒から貰ったって言ってるだろ。」
「なんで、ソイツがBドラッグを持ってる!」
「し、知らない、本当に知らないんだ。」
魔法が使えなくなった男をボコボコにして数十分、男を殴りながら尋問してるけど全然情報を吐かない。
男が言うには組織で雇った用心棒からBドラッグを貰っただけで、それ以上は何も知らないと男は言うけど、嘘かもしれない。
いっその事、銃で腕の一本でも吹き飛ばしてやろうか?逃げてるときは装填する余裕がなかったけど、予備の弾はまだ数発残ってる。
僕が男を脅すために銃に弾を入れていると、突如左頬に強い衝撃が来て吹き飛んでしまった。
「帰りが遅いから心配してきてみれば、何やってんだオメーは?」
どうやら僕を心配して様子を見に来たラスティに殴られたらしい、痛いじゃないか。
「何って、男がBドラッグを持ってたから、それについて尋問しただけだよ。」
「だからって、限度ってもんがあるだろ。あのままやってたらコイツ死んでたぞ。」
「それならそれで構わないよ。コイツ何人も殺したんだよ。放っといてよ。」
そう言うとラスティが「はぁ」とため息をついて、僕の胸倉を掴んで怒りながら叫ぶ。
「いいか、オメーがBドラッグや”人類進化機関”に因縁があって我を忘れるのはわかる!けどな!俺達はコンビを組んで仕事してるんだ!相棒が我を失ったら止めてやるのが俺の仕事だ!放っといて?放っとけるわけねえだろ!」
「・・・ごめん」
確かにラスティの言う通り自分を見失っていた。今僕達がやらなきゃいけないのは通り魔を捕まえる事なのに、危うく殺してしまうところだった。
「コイツの組織は、ずっと前からウチの奴らが目を付けてたんだ。コイツの犯行が証明できた以上、今頃強制捜査が入ってるだろうさ。そうすりゃ薬のルートも分かるだろ。」
「うん。・・・」
僕がしょぼくれていると、倒れていた通り魔の男がラスティの足にしがみついて、助けを求めている。
多分、通り魔の目にはラスティは自分を助けに来てくれたように見えるんだと思う。
「おいアンタ、誰かは知らないけど助けてくれよ!コイツ俺を殺そうとするんだ!」
「先に殺そうとしてたのはソッチだろ。」
「それだけじゃない。コイツ”呪い”を使ってたんだ!”呪い”を使うのは重罪だ。早くコイツを警察に突き出して、死刑にしてくれよ!アンタもそいつの呪印が見えるだろ早く取り押さえろよ!」
ヴィネリア合衆国だけじゃなくて、世界中で”呪い”を使うことは犯罪になっていて見つかれば死刑か終身刑だ。
なんで”呪い”を使うことが犯罪なのかというと、過去の世界大戦である国が逆転の作戦として”呪い”を使用したら、敵国と自分達の国が消滅したことが原因だとラスティに聞いたことがある。
それ以来、全世界では”呪い”を使うことは犯罪になっている。
通り魔の男がさっきからラスティに色々言っているけど、ラスティは全部無視してる。と思ったら男を蹴り飛ばした。
「ギャーギャーうるせえな。悪いが俺はアンタを助けるために来たわけじゃねえ、むしろ逆でアンタをしょっ引く為に来たんだ。」
「俺をしょっ引く?どういう事だ?」
「心当たりがない分けねーよな、連続通り魔事件の犯人さん?」
男が”ウッ!”とか言ってる。多分味方だと思ったラスティが実は味方じゃなくて敵だとわかって、切り抜けるために色々言い訳を考えてるんだろう。
でも、どんな言い訳をしようが無駄だ。僕達には通用しないんだから
「い、言っておくがな。俺はこの街一帯を取り仕切ってるギャングのボスの息子だ。逮捕しようとしたって無駄だぞ。警察も俺達の言いなりなんだからな!」
「知ってるよ。だから俺達に仕事が回ってきたんだ。」
そう言ってラスティが男に見せたのは、赤い紙に黒い文字が書かれた紙だった。
これは執行書でこれに書いてある人間を相手の立場に関係なく捕まえる事や殺す事ができるんだ。といっても、僕には字が難しくてあまり読めないけれど。
「な、何だよその紙。」
「これは執行書でね。アンタは此処に名前が書かれてる。そしてこれに名前が書かれた奴を捕まえるのが俺達の仕事だ。」
「だ、だから警察は俺を捕まえられないって、、、」
「生憎、俺達は警察じゃない。俺達はアンタみたいな表じゃ対処できない裏の人間を逮捕、退治するために作られた政府直属の特殊部隊”カース”の一員だ。掃除するのはテメーみたいなクズだけどな。」
世の中には権力を盾にしたり、政治的な問題で逮捕できない犯罪者が沢山いて彼らは好き放題に犯罪を犯している。
そんな奴らを放ってはおけないけど、表立って逮捕することも出来ないから政府のお偉いさんはとても困っていたらしい。
そして一人の政治家があることを考え付いた。表の人間で捕まえられないなら裏の人間を使えばいいと。
国が隠している犯罪者達、重罪を背負った”呪い”使いを使って、そいつらを処理しようと考えてある組織が作られた。
”呪い”の罪に対して刑を免れる代わりに、この通り魔みたいな表じゃ相手にできない権力者や犯罪者を極秘に処理する政府の特殊組織”カース”、これが僕の裏の仕事だ。
僕はこの仕事をすることで死刑にならない代わりに、この通り魔のような奴を相手にしなければならない。
男はポカーンとしているけれど関係ない、こっちも仕事だ。暴れる男を縛り上げて運び出そうとすると出口の方から足音が聞こえてくる。
「こりゃ、不味いな」
「どうしたのラスティ、通行人に見られても殴って気絶させればいいんじゃない?」
「やっぱお前物騒だな。近づいているのは一般人じゃなくてギャングの奴らだよ。お前を探してる時に下っ端を見つけてな、多分コイツのお目付役だったんだろーな、帰りが遅くてコイツを探しに来たんだろーよ。」
「じゃあ、今僕達が見つかったら危ないんじゃ?」
「応、メチャクチャ危ないな。」
足音はどんどん近づいて来てる。このままだと見つかっちゃう。
仕方ない、取り敢えず銃に弾を装填して男を僕達の前に置く。
「っておい、エディ何してる?」
「え?だって見つかるんでしょ。だったらコイツを盾にしてドンパチしながら切り抜けるしか無いんじゃ?」
「いやいや、見つからない方法を考えようぜ。」
「えー、でももう見つかってるよ。」
今僕達の目の前には、銃を構えたギャングの男が10人位いる。このままだと僕達は蜂の巣になるのかな?
「マジかよ。来るの早ーだろ。ったく、しょうがねえ」
そう言うとラスティは、胸のホルスターからリボルバー拳銃と取り出した。確かあれは愛用のマグナムだったはず。
「いいかエディ、絶対殺すんじゃねえぞ。もし殺したら、どうなるかわかってんだろーな。」
「大丈夫、その時はちゃんと事故に見せかけるから。」
「その考えが既に大丈夫かじゃ無いんだが。あーもーさっさと此処を突っ切るぞ!」
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また別作品も投稿していますので興味を持って読んで頂ければ幸いです。
「俺TUEEE勇者を成敗 ~俺にチートはないけれどもチート勇者に挑む~」
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