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魔法を使えない僕の職業が実は魔法使いをボコボコにする仕事なのはおかしい話ではない  作者: 田中凸丸
魔法を使えない僕の職業が実は魔法使いをボコボコにする仕事なのはおかしい話ではない
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34:好き勝手やった報いを受けるのはおかしい話ではない

「どういうつもりですかな?」


「どう、とは?」


 表向きは清掃会社として、その実態は”カース”の支部として機能している建物の一室、そこでカースの室長と彼らと”人類進化機関”の両方にイヴの抹殺若しくは強奪を依頼した大物議員が向かい合っている。


 部屋には二人以外誰もおらず、テーブルにはコーヒーが置かれているのだが二人共口を付けておらず、冷めきってしまっている。


「今回の依頼である極秘物資の破壊。それを拒否するというのはどういうことですかな?」


 大物議員が此処にやってきた理由、それは”カース”が突如として彼の依頼を打ち切り、極秘物資である少女、イヴの抹殺を拒否したからだ。

 

 彼女の存在は大物議員である自分の立場を脅かす者でもあるが、同時に国に危機をもたらす存在でもある。

 それは彼らも分かっているはずで、だからこそ当初は難色を示したが抹殺の任を受けてくれた。それなのに急に打ち切るとはどういうことなのか?それを問いただすためわざわざ自分が足を運んできたのだ。


「言葉通りの意味ですよ。我々”カース”はあの極秘物資、イヴと言う少女の抹殺と言う任務を放棄いたします。」


「そんな事許されると思っているのか!あの少女がどれだけ危険な存在か君の分かっているはずだ!」


「ええ、ですがその必要は無くなったのですよ。」


「何?」


 声を荒げる大物議員に対して、”カース”の室長は冷静な口調のまま話を続けていく。


「そもそも我々が貴方の依頼を聞き届けたのは、彼女が”呪い”使いであるからです。我々の業務は国に危機をもたらす”呪い”使いや権力を盾に犯罪行為を繰り返す者の粛清です。それは貴方もお分かりのはずですよね?」


「当たり前だ。だからこそ君達に依頼をしたんだぞ!!」


「逆に言えば、”呪い”使いや犯罪者でなければ我々は動く必要はありません。あの少女はもう”呪い”使いではありません」


「へっ?」


 訳の分からないことを言い出した室長に思わず、大物議員は間抜け面をさらしてしまう。だがそれも仕方のないことだ。


 自分の存在を脅かす人間を殺すために”呪い”使いである事を理由にしてきたのに、”呪い”使いではないと言われてしまっては冷静さを失ってしまう。


「ウチの人間に一人いるんですよ。他人から呪いを奪い取る”呪い”使いが、そいつが彼女の”呪い”を奪いましてね。あの子はもう”呪い”使いではないんですよ。よって仮に存在が世間にバレたとしても責められるのは身勝手な行為をした貴方個人だけで国は責められません。まあ流石に大騒ぎになるんで暫くは”カース”で保護しますが。」


「な、な、な。」


 室長の言葉に唖然と大物議員は唖然としてしまう。”カース”はイヴを殺さないどころか彼女を程すると言っている。


 それはつまり自分の弱みを握られたも同然であり、今後もし彼らの気分を害するような事があれば自分の政治家生命は終わりだ。


「私を脅すつもりか?」


「いえいえ、とんでもないです。唯私はできるだけ部下の意思を尊重してやりたいと考えているだけですよ。」


「部下、、だと?あんなまともに”魔法”も使えない屑共をか?」


「ええ、確かにアイツらは馬鹿です。極秘のはずなのに朝刊に記事が載ったり、ドアノック代わりに銃をぶっ放したり、平気で命令違反もする。ですけどね。」


 室長は一旦、間を置き”フー”とため息を吐く、そして続きを述べる。


「アイツらは絶対に権力に屈しないし、権力に抗うんですよ。私はそれが羨ましい。だからアイツらの事は出来る限りサポートしたいんですよ。」


「っ!後悔するなよ!」


「それは私の台詞じゃないですかね?」


 室長の言葉に議員は歯を食いしばりながら部屋を後にした。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「!貴様ら!」


「やっほー。」


「始めましてクソ野郎。」

 

 建物を後にし駐車場に止めてある車に乗る寸前、煙草をふかし気分を紛らわそうとしていた所に、二人の男が大物議員に近づいてくる。

 一人は女のような見た目をした十一歳ほどの少年、もう一人は片目に眼帯を装着している十六歳ほどの青年だ。彼らこそ今回の事件の中心人物、エディとラスティだ。


「貴様ら、よくも、よくもやってくれたな。」


 火のついたタバコを地面に落とし、彼らを睨みつける議員だが二人は意に介した様子もなく議員をおちょくる。


「で、どうだい大物議員さんよー。自分の企みがぜーんぶ無駄になった気分は?」


「良い気になるなよ!私にはまだ切り札が、、」


「あ、”人類進化機関”の奴らは一人を除いて全員死んだよ。」


「何!」


「急に僕達のアパートを襲ってきたから返り討ちにしたんだ。まあ正当防衛かな?」


 彼ら(カース)がもし抹殺を失敗した時の為に用意していた切り札、それすらもが既に彼らによって潰えていたことに驚きを隠せなくなり、思わず彼らに殴りかかろうとしてしまうが、自分では敵わないことを悟り、拳を降ろす。


「覚えていろ!」


 怒りの表情をしながら車に乗り込み、”カース”を後にする大物議員。そこにはエディとラスティ二人だけが残っていた


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「あれれ~、見てラスティ。こんなところに火のついたタバコが落ちてるよ。」


「おお~ほんとだ。こっちもみろよエディ。議員が乗っている車のガソリンタンクからガソリンが漏れて、議員の車に続いているぜ。」


「わ~、これでもし風が吹いて、煙草が転がってガソリンに引火したら大変だ~。」


 もの凄い棒読みで会話しながら、煙草と漏れたガソリンを眺める僕ら。”人類進化機関”の奴らを倒した後、大物議員に痛い目を見てもらおうと僕達は考えて、今日議員が此処にやってくることを知って早速行動に移した。


 議員が室長と話している間にガソリンタンクに穴を開けて、ガソリンが漏れるようにしたんだ。後は議員が煙草を吸ってくれるかどうかだったけど、吸わなかったら自分達で火をつけただけだ。


 そうこうしていると、風が吹いて転がった煙草が見事にガソリンに引火し始めた。後はそのままガソリンを導線代わりに議員が乗っている車にどんどん近づいて最後は車のガソリンタンクにたどり着く。


ドガァァァン!


 大きな爆発と轟音が響くけど、この時間帯は人も車も殆ど通っていないから議員以外は怪我をすることは無いと思う。


「死んだかな?」


「だったらいいな。」


 



 



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