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魔法を使えない僕の職業が実は魔法使いをボコボコにする仕事なのはおかしい話ではない  作者: 田中凸丸
魔法を使えない僕の職業が実は魔法使いをボコボコにする仕事なのはおかしい話ではない
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25:私の地位を守るためなら汚いことをするのはおかしい話ではない

 エディとラスティが室長に異議を唱えていた頃、彼ら(カース)にイヴの殺害を依頼した男フランク・ヴィッターマン。


 彼は今、小さな車の中で運転手として()()()()()()の送迎をしていた。


 車内は沈黙が続いており、フランク・ヴィッターマンは何とか話題を出そうとするものも何も思い浮かばず、結局車内の空気は重いままだった。そんな中後ろに座っていた大物議員が口を開く。


「例の極秘物資の破壊の件だが、、」


「ひ!、、は、はい。それなら”カース”の呪い使いのクズ共が破壊したと、、」


「いや、破壊できていないどころか彼らは極秘物資を保護したそうだ。」


 大物議員の口から驚きの言葉が飛び出し、フランクは危うくハンドルを明後日の方向に回しかけてしまう。


 極秘物資の破壊が出来ていないという衝撃の事実に加え、何故大物議員がそのことを知っているのかという疑問も湧いてくる。だが、彼の立場上大物議員に気軽に話しかけることはできない。


「アレの存在は、私の地位を脅かすものだ。もしアレの存在が合衆国だけでなく他国にも知れ渡ったら、どうなるか君も知っているだろう?」


「は、はいそれは勿論。」


「で、あれば手段は選んでいられない。”カース”が使えない以上、こちらも独自の切り札を使う必要がある。」


 大物議員はそう言うと、ほくそ笑む。どうやら彼には”カース”に頼らずとも極秘物資を破壊できる手段があるらしい。


 そんな彼の恐ろしさにフランク・ヴィッターマンは恐怖し手を震わせながらも運転を続けた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 フランク・ヴィッターマンが自宅まで送った後、大物議員は書斎にこもり机の中に隠してある電話で()()()()と話をする。


 この電話は主に政治家として汚い手段を用いる場合に、裏の世界の住人に依頼を掛けるために使用する電話だ。


 そして今大物議員が掛けている相手は、表向きにはもう関りがないはずの組織に所属している人間だ。


「ん、おお何じゃアンタか。どうした急にウチに電話をかけよって。」


「極秘物資の奪取に失敗したな。()()()()。」


 大物議員が電話をかけた相手、それは”人類進化機関”のメンバーであり、とっくに関係を断ち切ったはずのヴェインであった。


「ぐ、べっ別に失敗はしとらん!ただ逃げられただけじゃ!次は必ず奪うわい!」


「私がどれだけ危ない橋を渡って、お前達”人類進化機関”に再度接触を図ったと思う?それだけじゃない、確実に極秘物資の破壊を達成できるよう”カース”にも手を回し、奴らが極秘物資を保護したと聞いた時には”カース”が利用している宿泊施設も調べ上げたんだぞ!なのに未だに極秘物資の奪取は出来ていないだと!ふざけているのか!」


 突如、声を荒げる大物議員。フランクと同じ車内にいた時は余裕があるように振舞っていたが、内心でいつ極秘物資(イヴ)の正体が世間の明るみに出るかビクビクしていたのだ。


「いいか、次は失敗は許されない。”カース”の室長に圧力を掛けてその情報を元に今度こそ極秘物資(イヴ)を破壊しろ。もし失敗したら、”人類進化機関”への寄付は打ち切らせてもらう!」


「お、応。分かったわ。しかしアンタも悪やのう。自分の保身のために娘を殺すとは、、」


「別に唯行きずりの女との間にできた子供と言うだけだ。それが私の地位を脅かすなら始末するまでだ。」


 議員はそう言うと電話を切る。そう彼こそが、密入国したイヴの母親と関係を持ち、母娘を自らの保身と地位向上の為に”人類進化機関”に売り飛ばしたとある大物議員である。


 彼はその後、人類進化機関とは関係を断ち、平和に暮らしていた。しかしある日、娘が生きておりしかも”呪い”を所持し、ギャングによって国外の政治家に取引で渡されてしまう事を知ってしまった。


 それにより、自分の地位と国が脅かされることを知った彼は、”カース”に依頼をしギャングの足取りを追うように指示した。だが、もし失敗すれば意味は無いと考えた彼はもう一つの手段に出た。


 それが”人類進化機関”に協力を仰ぐことだった。彼らとて貴重な実験サンプルを取り戻したいはずだ。彼は”人類進化機関”への寄付を餌に極秘物資(イヴ)を依頼した。


 これで”カース”が破壊に失敗したとしても、”人類進化機関”によって再度モルモットとしての日々に逆戻りだ。


 世間の明るみにはでず、自分の地位も安泰のはずだった。なのによりにもよって破壊を依頼した”カース”の実行部隊の連中がイヴを保護してしまったのだ。


 その後は大変だった。急いで”カース”の連中が利用している施設をヴェインに知らせ、奪取を依頼したのだが、結局は逃げられてしまう。


 しかも”カース”の連中はいけしゃあしゃあと極秘物資(イヴ)を破壊したと言っているのだ。これでは実質的に”カース”の連中に弱みを握られたのも同然だ。


「絶対に極秘物資(イヴ)は破壊して見せる!私の地位を守るためならどんな汚い手でも使ってやる!」


 大物議員はそう叫ぶと棚にしまってある高級酒のうち一本を取り出すと、グラスに中身を注いでいく。


 この高級酒も今の地位があるからこそ手に入れることが出来た酒だ。だが彼の欲望は高級酒だけでは収まらない。


 彼の最終的な目標は、国の頂点”大統領”になる事だった。その為には自分の地位を脅かす極秘物資(イヴ)は邪魔だ。ならば殺すことも躊躇わない。それほどまでに彼は強欲な人間だった。



 

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