21:彼女が呪いを使えるのはおかしい話ではない
イヴの叫びと共に彼女の体が光る。そして彼女の火傷の痕からもの凄い勢いで爆炎が発生して、周りの全てを焼き尽くそうとする。
特にオッサンなんかは彼女の近くにいたせいで、直撃を喰らっている。
「ギャアアア」
服に引火し、叫びながらオッサンが転げまわると僕を潰そうとしていた鉄板も塵に代わって霧散した。多分集中力が持たずに魔法を解除したんだろう。
そして、彼女から発生した爆炎はまるで意思を持っているかのように僕とラスティを襲っていた奴に向って動き出して、彼らを焼き尽くそうとする。
これ以上はまずい。このままだと全員殺してしまうどころか大火事で関係ない人も巻き込んじゃうかもしれない。
「止まってイヴ!これ以上は駄目だ。」
僕の必死の呼びかけにイヴも周りの惨状を見て、我を取り戻す。
「はぁはぁ、エディ私」
イヴは周りの惨状を引き起こしたのが自分だと知って困惑しているけれど、今はそれどころじゃない。
「二人共、逃げるぞ!」
ラスティがそう言うと僕を背負い、イヴをわきに抱える。確かに今の状況なら逆転は無理でも逃げることは可能だ。オッサンたちは自分達に引火した火を消すのに精いっぱいで僕達の事なんて眼中にない。
道路の方を見ると、丁度大型のトラックが僕達の前を通り過ぎようとする。僕は大型トラックの荷台に向ってナイフを投げて、呪いを発動させる。
”刃磁界闘技”、この呪いは僕に向って刃物を引き寄せる呪いだけど、刃物が動けない状況にあった場合は逆に僕が引き寄せられる。そしてトラックの荷台に刺さったナイフと僕達ではトラックの方が重いから僕達が引き寄せられることになる。
体が浮かび、トラックに荷台に向って飛んでいく僕達をオッサンは火傷まみれの顔で恨めしそうに睨んでいた。
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逃げた後、僕達は急いで帰りの列車に乗り込んで今は帰路の途中だ。因みに骨折した腕は今適当な木の板で補強してある。
列車の席では、僕とラスティが隣り合って、向かい側の席にイヴが座っている。でも彼女はさっきからずっと喋らない。もしかしたら自分が人を傷つけた事にショックを受けているのかもしれない。
「あー、嬢ちゃんさっきはありがとな。おかげで助かったぜ。」
「で、でも私、あんなに沢山の人を傷つけて、、」
「向こうも殺してきたんだし、自業自得、正当防衛だよ。」
彼女はオッサン達に対して罪悪感を感じているかもしれないけれど、その必要はないと僕は思ってる。
オッサン達は僕達を殺そうとしてきたんだから、自分達が殺されても文句は言えないし”人類進化機関”のメンバーだって事は、色々と後ろ暗い事もやってきたはずだから罰が当たったと思えばいい。
それでも、イヴの表情は暗いままだった。多分彼女はとても優しい人なんだと思う。僕達とは大違いだ。
正直、この後の質問をするのは心苦しいけど、これは聞かなくちゃいけない事だ。
「ねえ、イヴ。一つ聞きたいことがあるんだけれど、良いかな?」
「聞きたい事、それって何エディ?」
「イヴがさっき使ってた炎、あれって”呪い”?」
彼女が出した炎、一見あれは”魔法”に見えるけれど、あの時彼女の体には回路ではなく、呪印のような模様が浮き出ていた。
もしあれが”呪い”でそれが彼女を殺さなきゃいけない理由だったら、もしかしたら彼女を救うことが出来るかもしれない。
それは余計に彼女を傷つけることになるかもしれない。でも訳も分からず殺されるのよりはマシだと思う。
「む、無我夢中だったから、詳しくは分からないけれど、多分”呪い”だと思う。」
僕とラスティは顔を向き合わせる。やっぱりあれは”呪い”らしい。
「ねえ、ラスティ。僕の考えてることわかる?」
「ああ、嬢ちゃんが殺されなければいけない理由が”呪い”にあるのなら。」
「「イヴは助かる!」」
僕達がそう言うとイヴは驚きで目を見開く。そんな彼女に僕は一つ提案をする。
「ねぇ、イヴ。もしよかったらカースで働かない?」
”呪い”使いである彼女に”カース”に入ってもらって国の保護を受けてもらう。元々僕達も表立って出歩けない立場だし、そこら辺は彼女と変わらないだろうから彼女も入隊の基準には入ってる。
そうすれば、国のお偉いさんも迂闊に手は出せないし、ゴリラ室長もああ見えて、結構人情家だから黙って殺されるイヴを放ってはおけないはずだ。
イヴの性格を考えたら、実行部隊には向かないかもしれないけれど、別に戦うだけが仕事じゃない。
書類仕事や武器の開発、補充もある。そっちで働いてもらえばいいかもしれない。
取り敢えず、これが今僕達に考えられる最高の彼女を救うアイデアだった。
感想、ご意見どんどん募集してます。
また別作品も投稿していますので興味を持って読んで頂ければ幸いです。
「俺TUEEE勇者を成敗 ~俺にチートはないけれどもチート勇者に挑む~」
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