12:列車内でトラブルに巻き込まれるのはおかしい話じゃない
室長から任務を受けて、僕とラスティは直ぐに準備をして、翌日朝の列車に飛び乗り、今は物資がある国境方面に向っている。
「っで、今回は失敗が許されねー危険な任務なんだが、一つ聞きたいエディ。」
「わに(何)?」
「お前今何喰ってる?」
「ふぇひへん(駅弁)」
早朝の出発で朝ご飯を食べる余裕がなかったから、今僕は駅で買った駅弁を食べているんだけど、それが何かおかしかったのかな?
ラスティはため息を吐くと急に目つきを鋭くして、書類を僕の目の前に出す。
「お前こんな仕事回されて、よく飯食えるな。ある意味その図太さは尊敬するぜ。」
「腹が減っては枕を高くして寝れぬだよ、ラスティ。」
「それを言うなら、腹が減っては戦は出来ぬだ。はぁ、まあいいや俺は目的地まで寝るから、着いたら起こしてくれ。」
そう言うとラスティは窓に寄りかかって、寝始めた。勿体ない、せっかくのきれいな景色なのに。
それから弁当も食べ終わって、暇なので景色を眺めていると僕の隣にお婆さんが腰かけてきた。
「ごめんよ、お嬢ちゃん隣いいかい?」
「別に構わないけど、僕男の子だよ。」
「ああ、そうかい、それはごめんね。所でそっちで寝ているのは、君のお兄ちゃんかい?」
「う~ん、まぁそんなとこかな。」
それからお婆さんと話していたけど、どうやらお婆さんはこの度仕事を定年退職して余った貯金でいろんな所を旅しているらしい。
いいなぁ、僕もそんな生活を送ってみたい。多分無理だけど。
暫く、お婆さんと話していたけれど、突如列車が停止して、客室内にサイレンが鳴り響いて列車内が騒ぎ出す。一体何だろう?
そう思っていると、列車内に銃を持った男が複数人入ってきた。全員顔を隠すマスクをしていて表情がわからない。でもまあ怪しいことはわかる。
「よく聞け!乗客共!俺達はマイルド・キック強盗団だ!この列車は後部車両が現金輸送車になっていてな、それが目的でこの列車を襲わせてもらうぜ!ついでにアンタらからも金を貰うぜ!」
何とも丁寧に自己紹介をしてくれる強盗団の皆様は、この列車に乗っている人達からどんどんお金を奪っていく。
まずいな。このままだと列車が駅に到着するのが遅れるどころか、停車したまま一日潰れるかもしれない。
そうなったら、物資の取引現場に行けなくなって、今回の任務は失敗してしまう。
別に任務に失敗して、この国が滅んでも別に気にしないけど、失敗するとシェラやラスティに迷惑が掛かってしまう。
あまり目立ちたくないけど、此処は仕方ない。強盗団を取り押さえて駅で警察に引き渡そう。
僕が強盗団の撃退の為に銃やナイフをこっそり準備していると、強盗団が僕達の傍に近づいてきた。
ラスティにも手伝ってもらいたいけど、ラスティはずっと眠ったままだ。どうしよう、起こそうかな?でも目的地に着いたら起こしてくれって言われたし、まだ起こすのは早いかな?
「おい、そこの嬢ちゃんと婆さん。命が惜しけれりゃ有り金全部出しな。」
「えー、僕そんなにお金ないから、別の物じゃダメ?」
僕はそう言うと、強盗団の男は不機嫌そうな顔をするけど、実際今はお金が無いから渡せるものは無い。
「別の物ってなんだよ?」
「お金の代わりに鉛玉を上げるよ。」
そう言って、僕は強盗団の一人に銃弾を放つ。男は吹き飛んだけど少し距離があったせいか、命に関わる程の怪我を負っていない。
「な、なんだ!このガキ。野郎どもぶち殺せ!」
驚いた強盗団が僕やラスティに向って、銃を乱射してくるので急いで椅子の背に隠れる。
強盗団は僕の反撃を恐れてか、距離を取って銃を乱射してくるけど、他の乗客が椅子に隠れたり別の車両に逃げたりしているお陰で人質になる心配はなさそうだ。
「ごめん、お婆さん。巻き込んじゃって。取り敢えず椅子の下に隠れてて。」
「なあに、気にしなさい。長年生きてるとね、色々とトラブルに巻き込まれるのさ。」
そう言うとお婆さんは鞄から、リボルバー拳銃を取り出して応戦しだした。
う~ん。のんびりしたお婆さんと思っていたけど、中々ロックなお婆さんだったようだ。
僕とお婆さんが強盗団を相手にドンパチしていると、ラスティが目を覚まして驚き始めた。
「って、おい!何だこの状況、俺を挟んで銃撃戦が始まってんぞ!」
「あ、目が覚めたラスティ、目的地にはまだ着いてないよ。」
「それどころじゃねーだろ!!」
それから、僕とお婆さん、ラスティと強盗団三人組のドンパチが始まっけど、武器だけを見ると僕達が不利かもしれない。
強盗団は最新型の自動小銃、一方こっちは携帯できるリボルバー拳銃しかない。このままじゃ弾切れで、こっちが負けちゃう。
「っち、おいエディ!俺が視るから、お前は俺の指示通りに突っ込んでいけ、このままじゃジリ貧だ。」
そう言うとラスティは、眼帯を外して強盗団の方を向く。それと同時にラスティの目が光り輝く。
「わかった。ちゃんとナビゲートしてよ。」
そう言って僕は、強盗団に突っ込んでいく。強盗団は僕に向って銃を向けるけど、もう意味はない。
ラスティが僕に向って、どこを走れば銃弾が当たらないか教えてくれるお陰で僕は無傷で強盗団の懐に入りこめた。自動小銃は確かに優れてるけど、相手に近すぎると逆に小さい拳銃の方が強いんだ。
ドパンッ!、ドパンッ!、ドパンッ!
一人一発、それで強盗団三人は沈黙した。
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あの後、他の列車を襲っていた強盗も無事捕まり、僕達は目的地についた。
「中々面白い経験だったよ。それじゃあね、兄弟仲良くするんだよ。」
お婆さんはそう言ってサムズアップをしながら、駅を後にした。かっこいいお婆さんだ。
「それじゃ、こっちも仕事を始めるか、うちの奴らが調べた情報だと物資を盗んだギャングは、取引の為に国境近くの倉庫を貸し切り状態にしているらしい。直ぐにそこを襲撃するぞ。時間との勝負だ。」
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