表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第二章 集いし者達

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/585

趣味の再開「小鉢植物園(テラリウム)」

テラリウムを「小鉢植物園」と表記したのは作者の創作です(どこかで誰かがそう表記しているかも知れませんが)。

「何ですの? これは……?」

 鍛冶場のすみに作った棚に乗る無数の、様々な形や大きさの硝子ガラスの器を見てレーチェが言った。メイやユナも器を手に取り、これは何かと話し合っている。

「こんな小さいのは薬入れではないでしょうか」

「でも入り口が広いよね、口が斜めになっているのもあるし……墨入れかな」


 後から来たウリスとヴィナーも、そこへ加わって話し始める。

「でもオーディ……旅団長の作る硝子の器って透明度が凄いよね。これ、売り物に出来るでしょ」

 とヴィナーが言う。

「おっ、そう思うか。透明度──それも答えの手掛かり(ヒント)だが──答えは絶対に分からんと思うわ」


 そう言われると余計に当てたくなったのだろう。「宝石入れ」だの「色の付いた水を入れる入れ物」だの「新しい調味料入れ」だの見当違いな事をずっと話している。

「正解は──その中に「()()()()()()()()()()()だ」

「あなたは何を言っていますの?」

 即行でレーチェが言う。

「まあ待て、この器を持って宿舎に行けば分かる」

 俺はそう言って綺麗な白い石の粒や、輝石きせきなどを持って宿舎の方へ移動する事にした。


 旅団宿舎に向かって、ぞろぞろと通りを歩いてやって来ると、花壇の脇でリーファがシャベルを使って、──苔を剥ぎ取っているところだった。

「こらぁぁああぁ! なにしとるかあぁあぁ!」

「わっ! ……なんですか急に、見ての通り苔を取り除こうと……」

「それを取り除くなんて、とんでもない!」

 俺は彼女にシャベルを置くように言って、硝子ガラスの器に白い石粒を入れて置いた物に。花壇の土(炭を混ぜてある)を少し、その上に苔を一摘み入れて形を整えると、その上に輝石を置き、羊歯しだ白詰草クローバーを入れて見た目を整えた。


「ほら、こんな感じだ」

 と皆に見せるが反応は冷ややかな物だった。

「え──と、それが『世界』ですか?」

「苔と綺麗な石? ちょっと何がいいのかわからない」

「苔と雑草じゃないですか」


 ひ、酷い……まあ、こんな感想だろうと思ったわ。──建造物に囲まれて、息が詰まる様な経験をした事のある奴にしか、分からん物かもしれないな。

「あら、わたくしは好きですわ。こういった物。小さな硝子の器に観賞用植物を入れるなんて──苔を使うのは初めて見ましたけれど──。なかなか良い物だと思いますわ」

「おぉ……さすがだな! 石の壁に閉じ込められて哀しい幼少期を過ごした者は、この感性が分かるのか!」

「ちょっと、ちょっと! 誰が石の壁に閉じ込められた、哀しい幼少期を過ごしたと言うのですか! そんな事……そ、そんな事ありませんわ!」


 後半は明らかに言いよどんでいたが、突っ込まないでおこう。俺は三つの小さな硝子の器に石や土を盛って苔や小さな植物、枯れ枝などを使って飾り付けすると、それぞれ違った小鉢植物園テラリウムを作って見せた。


「あ、なるほど。観賞用園芸と同じですね」とユナが理解を示してくれた。メイは小さな硝子の器に入った、植物の盛り合わせにしか見えない様子である。

 その他の連中も興味はなさそうだ。

「ま、この三つは宿舎の玄関にでも置いておこう。いつかこの良さが皆にも分かるといいな」

 俺はそう言ってユナと話しをし、水はどれくらい与えるのかとか、成長したらどうするのかを話し合った──

この物語のシリーズを『方舟大地フォロスハートの物語』としました。ノアの方舟はこぶねの様な浮島(大陸)ですので。


この物語の外伝や登場人物などの設定をまとめた物を別に投稿しました。

シリーズ名をタッチしてそちらの方も読んでもらえたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ