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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第五章 混沌の海と神々の大地

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戦士達の決意

混沌から侵入してきた混沌の軍勢との戦闘──上手い演出を思いつかない……;

 都市ゲーシオンへ向かう道に通じる門の前には、都市を防衛する戦士達と、街に残っていた冒険者達が集まっていた。──全員で四十名くらいだろうか。

 中にはまだ若い冒険者や戦士も居る。


 ここに居る連中の大半が久し振りの混沌こんとんの侵攻に怯え、巨大な影が空から降りて来るのを見た者は、恐怖に戦慄わななき、街の外へ出て戦うのを躊躇ためらっている様子だ。


「ここを指揮する者は誰だ?」

 俺は辺りを見回して尋ねる。

 すると戦士達が集めた視線の先には大槍を手にした屈強な男が立っていた。彼は如何いかにもこの苦境に率先して立ち向かい、フォロスハートの為に、その身を捧げる事もいとわない、といった顔をしている。


 戦士達の隊長らしい男に頷き掛け、彼の前に立つと振り返り、怯えている連中や、戦いに気がはやる者達を見渡した。


「もうあまり時間は無いだろうから、これだけは言わせてくれ。混沌の侵攻から逃げるという選択肢は無いのだという事は明らかにしておきたい。先ほどの空の暗黒を見ただろう、我々の周りは常に混沌が広がっているのだ。それから我々を守っているのは四大神あってのものだ、俺達は神々の為にもフォロスハートの為にも、侵入して来た混沌を打ち倒さなければならない。絶対にだ! フォロスハートを取り囲む混沌から逃げる事など出来ないのだから。我々が生き抜く為にも混沌は必ず倒さなければならない! 生きる為に傷つく覚悟をしろ! 例え腕がもげても残った腕で混沌を倒せ! そうして生き残るのだ‼」


 俺は溢れ出る憤激のままに気を吐いた、多くの血気に溢れる若者達は俺の声に同調し、手にした武器を振り上げて大きなときの声を上げる。

 後ろに居た隊長も大槍を振り上げて門を開けろと声を張り上げた。


 俺達はその勢いのまま開かれた門から街の外へと飛び出して行き、遠くから進軍するみたいに群れを成して進んで来る、混沌の化け物共を視認した。

 混沌の尖兵せんぺい達は黒い鎧を着た人型の者が多く、前衛にざっと二十体ほどが隊列を組んで進撃して来る。


 その後ろに蜥蜴とかげ族や──大きな鬼の姿も見えるが、そいつらは一様に黒っぽい不気味な発光を放ちながら、こちらに近づいている。

 その背後には巨大な影がのろのろと歩を進めていた。──大きな四本脚に支えられた胴体は竜の様だが、その首があるべき所から人間の上半身の様な、大きな黒い影が生え出ており、二本の長い腕を持ったその人影は、頭に不気味なねじれた角を生やし、真紅の眼を輝かせながらゆっくりと近づいて来ている。


 声を上げて走り出す俺達に呼応するみたいに、混沌の尖兵らも駆け出して来た。大型の「混沌の巨獣」はその後方から、のっし、のっしと大地を踏み締めながら近づいて来ていた。


 背中の大剣を抜き放つと、手近な混沌の尖兵を叩き斬る。黒い兜や鎧が鈍い金属音を響かせながら引き裂かれて、戦士らしい相手は崩れ落ちた。

 他の場所でも戦士達が味方を守りながら確実に敵を打ち倒している。


 尖兵達を粗方あらかた倒し終えると、その背後に居た真っ黒な蜥蜴族の戦士達が走り出す。

 そいつらは手にしていた槍や剣で次々に襲い掛かって来て、こちらの戦士にも怪我を負わせられた者が数名出た。戦士隊長は仲間を鼓舞こぶして我々は勝っている、このままあのデカブツを取り囲んで攻撃しろと叫んだ。


 蜥蜴型の戦士を倒すと「混沌の巨獣」と、その近くに居た五体の大柄な鬼に似た化け物だけとなった。

 後方の魔法使いから大きな炎の球や、雷が放たれて敵に次々と襲い掛かる。


 ところがである、その攻撃はほとんど利かなかった。それどころか、相手が手に黒い魔力のかたまりの様な物を作り出すと、それを投げつけてきて、こちらに相当な被害をもたらしたのだ。


 たったの一撃で多くの戦士の戦意を奪った攻撃を、今度は仲間の神官や、魔法使いが魔法障壁を張って守ろうとしたが、強力な攻撃の何割かを防ぐ事は出来たが、完全に無力化する事は出来なかったのである。

 多くの者が脚や肩、腕などを傷つけられて後退を余儀なくされてしまう。


 俺も肩に魔法の弾丸を撃ち込まれ、肩口で爆発した一撃で地面に倒されてしまった。倒れた所を狙って黒い鬼が、片刃の大剣を振り下ろしてきた。

 俺は素早く横に転がってかわし、膝立ちになりながら大剣を薙ぎ払って鬼の脚を斬り裂き、転倒させる事に成功した。


 俺の援護に駆けつけた戦士が倒れた鬼を倒したが、すぐ近くに居た別の鬼の攻撃を喰らって、剣を折られた上に吹き飛ばされてしまう。


「混沌の黒鬼」は力も相当なものだが、魔法に似た力も使い、俺達は苦戦をいられてしまった。

 しかも後方に控えたまま動かない混沌の巨獣は、離れた位置から魔力の塊を何回も撃ち出してきて、我々の戦力を確実に削いでいく。

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