表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
井戸  作者: 佐分利
4/6

認識と把握②

エレベーターの扉から、黒い何かが入ってこようとしている。

かすかにそれは濡れている。


「もしかして、か、髪の毛?」


もはや、自分の心臓の鼓動や感情を自制することは不可能になっていた。

依然としてコンパスと懐中電灯の調子はおかしい。


「確か聞いたことがある。幽霊のいる場所は特別な磁場があるって...もしかして、エレベーターやコンパスの異変も幽霊がでたからなのか...」


信じたくはなかった。でも、信じざぜるを得なかった。


「幽霊はいる。俺の目の前に。認識と把握をしてしまった...」


そんな俺の悟りを気にせず、幽霊はエレベーター内に入り込んで来ようとする。


ガタンガタンと揺れるエレベーター、パチパチと弾ける蛍光灯、ぐるぐると揺れるコンパス


もう頭はオーバーヒート寸前だ。

これは幻だ。夢だ。そう信じ込んで俺は体育座りになって目を閉じた。


1分ぐらいだろうか...


チーンという音と共に、ゆれも収まっていた。


目を開けるのが怖い。幽霊の番組ならこのタイミングで驚かせにくるからだ。


「でも、このままじゃ、ダメだ。俺は陰キャ。陰の者なんだ。闇は俺の庭だ!」

思い切って顔を上げた。



「い、いない。」



目の前には見たことのない空間が存在していた。

エレベーターがどこについたのか確認するために、エレベーターが現在どこの階にいるのかを示す電灯を見た。


俺は目を疑った。


「どうして、1階よりも左側が光っているんだ。普通は、数字のあるところしか光らないんだぞ。つまり、1階よりも右側しか光らないのに...」


俺は、戻りたくなって2階や3階のボタンを押したが何も反応がない。


どうやら、行くしかないみたいだ。


腹をくくった俺は、真っ暗な空間の中で、光らなくなった懐中電灯を片手に歩き始めた。


とてもここが院内だとは思えないぐらい陰鬱な雰囲気だ。

まるで廃病院のようだ。しばらくさ迷うかのように歩き続けた俺は、あることに気が付いた。


「ん?ある一点だけがスポットライトのように照らされている。」


自然と足が進む。

まるでそこが磁場かのように吸い込まれてしまう。

もう誰も止めることはできない。

もう好奇心は止められないのだ。



たどり着いた。


考えたくもなかった。


どうしてそれがここにあるんだ。


不気味な雰囲気の空間にポツリと置かれている。


それは...


「井戸だ。」


明日も21時に更新します。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ