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神の祝福があらん事を  作者: 利
王都学園と未開ダンジョン
4/4

クエスト4日目→勇者再誕


「おい大丈夫か?」


そう意識を取り戻したダガンに声をかけたのは岩に腰掛けたザックだ。


「うん、大丈夫、ザックは?」


「おう、俺も全然大丈夫!

かー、丈夫だな!!羨ましいぜ。」


少し見ない間になかなかのピンチになっていたようだ。


「これやヤバいんじゃない?」


私はポテチ片手にそう言った。

アーサーもとい、ジークフリードはまだ接触できていないようだ。


このザックとか言う剣士はダンジョン未経験

、生きて生還するのは難しいだろう。


しかし、緊迫した状態のなかザックはにこやかな態度だ。その時、ダガンは斧を持ってないことに気づく。


「あーあ斧無くしたのか、まああっこから落ちたんなら仕方ねーか」


「あんな高いところから落ちたんですね」


ダガンは上を見上げる。相当な高さだよく無事でいたものだ。


「とりあえずよ頼みがあんだけどよ」


「うん」


「お前はとりあえず上を目指してくれねーか」


「一緒じゃないの?」


「まあ、軽装のお前が早いだろうし、ここ多分ダンジョンだ。安心しろ、ダンジョンなんて何回も行ったことがあるしな。」


戸惑うダガンにザックは言葉を続ける。


「大丈夫、大丈夫、上のフレアたちも心配だろ?村人だってそうだ。あのデブ、あれだけ投げたから怪我したるだろうしよ、なにより武器ないのに、魔物でたらどうすんだよ。な!頼むよ」


「ザックは?」


「上に魔物が行かねーように、ざっと調べて戻るよ、ついでに斧も探しといてやるよ。大丈夫心配すんな」


「そっか、じゃあ、先に足を見せてよ」


ダガンがそう言うとザックの笑顔がにごった。


「・・・・・やっぱり、気づかれた?」


「うん、さっきね、全然立とうとしないし、ダンジョンいったことないって言ってたじゃないか」


ザックは足を負傷していた。

出血もしている。それに気づき治療に取り掛かろうと近づくダガンに、ザックは剣を抜き、それを向けた。


「ザック!何を!」


「考えてみろよ、ただでさえ駆除で消耗してんだ。回復で無駄にすんじょねぇーよ」


「何言ってるんだ!!一緒に!」


「近寄るな!!いけ!!」


「いやだ!!」


「分かれよ!!二人で死ぬよ「分からないよ!!」


口論を続ける二人。

剣士の言っていることは至極ごもっともだ。二人死ぬよりも一人でも生き残った方がいい。


足を直しても完治には程遠い。

ザックと共に脱出するのは今のダガンでは難しいのは明らかだった。


そんなことよりも、ザックの態度だ。

痛みを我慢し、笑顔で平然を装いダガンを脱出させようと試みた。それは失敗に終わったが未だ抵抗している。


銅等級にもかかわらずなかなかの精神の持ち主だ。もしここを脱出できたならば、将来もしかすると名を残せるくらいの冒険者になる器があるのかもしれない。


最終的にザックはダガンに押し負ける形になった。このまま言い争うのは無駄と感じたのだろう。


「わかったよ、頼むよ」


「うん、わかった」


いやいやザックはダガンの治療をうける。


流石は私が授けた器。すぐに出血は止まった。

骨を修復までとはいたらないが、もう少し精進すれば、かなりのレベルになるだろう。


「すげぇ、もうほとんど痛くねーわ」


ザックも驚くほどだ。


「もうくっそ、二人とも死んでも俺のせいじゃないからな」


「うん、ごめん」


「うっせ!こうなったら死んでも這い上がるぞ」


そういうとザックは剣をダガンに渡した。


「俺が使うよりもお前が使った方がいい」


「でもザックは」


「短剣がある。片足がダメだからよ、こっちの方が振りやすい」


「うん、わかったよ」


「よし、とりあえず上を目指すぞ」


驚いた、この時、ザックとザックの剣に愛着が付与された。

自分で授けた力ながら感心する。

そうか愛着、お互いに信頼を強めることで発動するのか。


これはもしかすると、、二人でダンジョンからの生還も夢の話ではなくなるかもしれない。



丁度その時、アリシアとフレアは村の住民を避難させていた。穴から這い出てくるかもしれない魔物が出て来ても犠牲が出ないように。


「いい?隣町に着いたら、ダンジョンが現れたって言って!」


村長にこれからのことを説明する。


「アリシアちゃん!あんたも乗って」


「いやです!」


ここでもあの二人のように口論が続き、結局フレアが折れる。


「ダガンさんを見殺しにするくらいなら、私も死にます!」


「・・・・・・はあ、もう、バカねほんと」


「そう言うフレアさんこそ」


「確かに、はあ、ホント」


この二人もそうだ。なぜ人はとても叶わないようなものに挑戦するのだろうか。

そしてなぜ、それを成し遂げることができるのだろうか。

元々人間だったアーサーならわかるのだろうか。最初から神だった私にはわからないことなのだろうか。


アーサーを探し当てた時と同じ感動をこの時私は感じていた。


「行くわよ」


「はい!」


二人は駆け足でダンジョンの穴に到着する。

村から持ってきたロープを枯れた木に結び、そこからダンジョンへと降りる。


災難立て続けに起こる。


先に降りたフレアが、それを知らせた


「下に降りて!!!」


蝙蝠型の魔物がアリシアを襲う、かろうじて下に逃げるが、縄が蝙蝠に掛かってしまう。

振りほどかれたアリシアは転落する、


どうにかフレアが受け止める。

魔物が暴れた結果、縄が千切れてしまう。魔物はアリシア達を索敵する。


その時地上


枯れ木の間を人影が疾走する。

マントをバタつかせ風をきる。

その人影は真っ直ぐ、ダンジョンの大穴に飛び降りた。


魔物がアリシアとフレアを見つける。アリシア、フレアに構えた、ダンジョンの魔物、この二人で太刀打ちできるかは経験のあるフレアでもわからない。しかし立ち向かわなければ殺される。


弓を引いたフレアの視界、魔物頭上から閃光がキラリと見えた。


次の瞬間魔物の首と胴体が別れた。


閃光の主は土煙を上げて地面に着地した。

遅れて魔物の巨体が地面に落ちる。


土煙から出てくる人影、フレア達は息を飲んだ。


剣を携えた一人の剣士がそこにいた。


たっく、遅いのよアホ、と私は笑いながら文句を言った。


そう、この世界に再び勇者が舞い降りた。



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